ハラスメント
日本にいる時は、自分には遠い事として真面目に考えたことがなかった、ハラスメント。通ってる英語学校でそれについての授業があった。
私のクラスは半分近くがチャイニーズ、4割ラティーノ、あとはわずかにアラブ、コーリアン、カザック、ジャパニーズの私だ。ハラスメントの話題は人種問題に集中。
チャットで会話の練習中にチャイニーズ女性が話してきた。
去年の3月、コロナ問題が浮上してきた時、あるクラスで若い中国女性がコロナの件で男性生徒に難癖をつけられたと。
想像に易しい言い草で
『中国から出たウィルスなんだって?』『触ると染るんだろう』
それをそばで聞いていたそのチャイニーズ女生徒は怒った怒った。大勢で授業が終わるや否や、二人の男性生徒に詰め寄り
『触ると染るんだったら、あんたが着ているパーカとデニムは中国製だから、脱いで』『あんたが履いてるナイキも中国製』『携帯だって中身は中国で作ってる』『そのリュックも雲南省で作ってるから』最後には『学食のヌードルも食べないで、中国ヌードルだから』
この話を聞いて、私も話すことができた。
実は、私はこの三月、路上でいきなり知らないおじさんに殴られていた。
アジア人への嫌がらせなのかも全くわからなかったけど、すれ違いざまに横顔にパンチ一発。マスクが吹っ飛ぶ勢い。一瞬何が起こったのかがわからなかった。それぐらい油断していた。私がこんな目に遭うなんて思ってなかったからだ。
幸い、傷になることもなく大したことはなかったけど、いまだにその場所は通りたくない、殴ったホームレスぽい白人の小柄な男性を見るのが怖い。そんな感じだった。
殴られたことを伝えると 彼女はこう返してきた。
『mamiはジャパニーズじゃん、殴った男は絶対日本のもの持ってるよ、車とか炊飯器とか、日本製は良いものいっぱいあるから。mamiを排除しようとするなら、日本製のものは使わないでって言えばいい』
おー、論点はズレているけど、頼もしい意見。
『もし見つけたら、その男の家まで行ってあげる、家に日本製のものがあったら、使わないでってみんなで言うよ』と。
おー、論点はズレているけど、頼もしい意見, again。
日本にいる時は自分がハラスメントやレイシズムに関わるとは思わなかった。だからなかなか受け入れ難いものがあり、公に話すのに抵抗があったんだな。でも話してよかったなー。
自分が差別されたかもしれないショック。そして暴力。そんなこともあるもんだと頭では理解できていたけど、心が傷んでいた。それを全くの他人に話せて、自分の状況がよく分かった。だからこの件についてもっと楽になれると思う。
おまけ。
コロナ前、私が外出時に、車に乗った男性が中指を立てながら
『ASS HOLE!』と叫んできた。
唖然としている私に、前を歩いていた男性二人が日本語で話しかけてきた。
『聞いた?あいつ肛門って言よったで、肛門て、公やで、ここ』
『うちら大阪人』
ああ、関西の方のスルー力ってすごいなあ。