清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : タイムマシンOSHIIRE
我が家にOSHIIREという名のタイムマシンがありましてね。先日チョット覗いたら、三十数年の時を経て、懐かしい箱が目に飛び込んできました。カセットテープの箱ですが、確かに時々箱買いしてましたね。この箱のデザインが妙に懐かしいです。これはノーマル・ポジションですが、ハイポジションもよく買っていたように記憶しております。というか、使い分けておりましたね。
一緒にこんなヤツを帯同しておりました。クルマに積んでいたカセットテープがケースごとというヤツです。昨今カセットテープがブームになっていると言いますが、あれはセルテープのはなしですよね。私は円盤好きなので日本国内でセルテープを買ったことがありません。カナダでレンタカーを借りて遊んでいたときに、1ドルで売られていたクルセイダーズの「The Good And Bad Times」とカンサスの「Power」をガス・ステーションで買って、繰り返し聴いたという経験はありますけどね。…あの2本だけですね。
自分の場合は1970年代終盤、ニューウェーブやフュージョンが流行っていた頃から、アナログレコードを買ってまずカセットテープに録音して、主にテープで聴くというスタイルでした。クルマに乗るようになって、テープ作りは最大の楽しみのようになっておりましたからねぇ。走っているときのBGMとして適しているか、これがレコードを買うときの選定条件の一つ、それもかなり大きな決定要因だったと思います。ノリがいいロック中心ですね。このことがジャズにのめり込むことを遅らせたような気もします。ジャズはドライヴのBGMには向きません。
先日、日経新聞にADSLサービスが3月末で終了するという全面広告が載っておりました。「なんだっけこれ?」というコピー、思い切りウケてしまいました。22年も経ったのかということに、あらためてしみじみしております。Asymmetric Digital Subscriber Line、非対称デジタル加入者線、1999年ですか。電話線を使った通信サービスですが、随分速く感じました。技術というよりアイデア的な部分でインターネット接続の高速化に貢献しましたが、そこがスピード競争の始まりみたいなものでした。今となっては笑ってしまうほど遅いんですけどね。…その後「情報システム課」という名の部署で6年の歳月を過ごしたものですから、しかも配線屋みたいなこともしょっちゅうやっておりましたから、やはり懐かしいことは懐かしいです。…それにしても、随分時間の使い方が変わりましたね。あらためて感慨深いです。
最近はヒマが嫌で文章も書きまくっております。日々雑事に忙殺され、のんびりとは程遠い老後ですが、セカンド・ライフのあり方としてはこれも一興です。ヒマにしていたら、あっという間にボケる気がします。しかも年寄りの一日は、若いころの一日の何分の一といった短さに感じます。文章を書くことがクリエイティヴかというと、あやしいところもあります。惰性的に書き散らかしていると、ちいともクリエイティヴではありません。やり方次第ではそれなりにアタマも使いますから、その辺を意識してやらないといけません。…そうしております。
脳の記憶野を刺激しながら、いろいろな物事を整理しながら書くような文章は、ボケ防止にはかなり効果的かと思います。ついでに調べものをしながら書くのもよろしいかと思います。何かしらインプットしながら文章を書くことは、意外にアタマを使います。記憶を書き出すだけとは大違いです。そして、OSHIIREから出てくる懐かしいものは、瞬時に脳を刺激してきます。…もの凄い攻撃能力です。この刺激を文章化する作業はエンドレスですが、シンドいと同時に楽しいことも多々あります。なかなか止められません。
さて、今日で年度末、カフェに年度は関係ありませんが、やはり明日からは新人歓迎会みたいなことをランチでやっていらっしゃる方々が増えます。ディナータイムの飲み会的な歓送迎会のご利用は、コロナ前はそこそこありましたが、今年は一件もありませんでした。一昨日はいきなりワインのボトルを3本も空けていった連中もおりましたけどね…。飲み会の減少は、やはりコロナ後のライフスタイルの変化が見て取れる代表的な部分かもしれません。
年度がわりでは様々な法改正対応というものもありますが、今年は特に気をつけないといけないものがないので、ちょいと拍子抜けです。一方明日からいろいろなものがまた値上がりするのでしょう。本来ならパスタ・プレートは2倍程度に値上げしないと割が合わないのですが、お正月にちょっとだけ値上げしておりますから、ここでは据え置きです。まったくもってトマトもオリーブオイルも、手に入ればいいかという状況がいつまで続くのでしょうか。…堪らんですね。
なかなか花見にでも行くかという気分にすらなりませんが、今はこれでいいかという自分がおります。常に時間が勿体ないという感覚を携えております。飲食店オーナーというものは、案外こんなものかもしれません。「老後はのんびりカフェでも…」なんて有り得ない気がします。…もうしばらくこんな態勢で走っていることでしょう。
ここ数日のSNSでは、3月いっぱいで退任とか定年退職といった方々の書き込みを目にします。お疲れ様でしたという気持ちももちろんありますが、「よーし、次行ってみよー」という感覚の方が強いです。自分も早期退職とその後が意外に面白いことになっていると言われておりますから、お楽しみはこれからという希望的観測の目を向けていたいと思います。もちろん若ければ若いほど選択肢の幅も広がり、可能性も大きいのでしょうが、気持ち次第で人生のセカンド・ステージ以降も案外楽しいものです。老後の不安などを煽るメディアには閉口しますが、何とでもなるように考えています。…楽天的過ぎですかね?
OSHIIREにアタマを突っ込むと過去に戻れるなら、選択肢が増えて楽しいかもと思わなくもないですが、ループ系の映画のようなことは実際あり得ません。可能性も含め、道は自分自身が切り開くもの、気持ち次第で楽しい老後が待っていると思いたいです。世の中その辺は妙に平等にできていて、みんな同じように終わりがきます。頑張ったと言い切れない人には不安まみれの老後が待っていると。…実際どうなのかということは別にして、やっぱり気持ち次第でしょ。
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