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「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどん VS. トマトの冷製カペッリーニ

何も VSヴァーサス.  なんて大仰なタイトルじゃなくても…

A 対 B、A か B か

「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどん 対 トマトの冷製カペッリーニ!

「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどん 
か トマトの冷製カペッリーニ か?



「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどん


山形の郷土料理「だし」はもちろん知っている。
食べたのは十年ぐらい前で、スーパーの野菜販促試食だったと思う。
丁寧に刻まれた野菜はきれいで美味しいと思ったけれど、味付けがバリバリ化調で残念だった舌の記憶。

八月、福岡市中央区薬院にある 豊前ぶぜん裏打会うらうちかい  萬田うどん(本店) のうどんが絶品!と友だちに教えてもらい、お昼時に訪れた。

どこか北欧を思わせる爽やかで広めの店内、さすが行列のできる人気うどん店だわと店内を見まわし、メニューを見る。
冷やし肉うどんに玉蜀黍の天ぷら!
いやいや、やはり夏限定メニューの「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどんでしょ!

おお!カラフルです
トマト、パプリカ、なす、オクラ、胡瓜、茗荷、青紫蘇、刻みがごめ昆布
山形だしは1㎝ぐらいの角切りかな?
揚げなすと青葱、おかか、海苔のトッピング

「いただきます」

腰がないのが特徴の博多うどん ではなくて豊前ぶぜん裏打会うらうちかいのうどんというだけに、独特の手打ちと寝かしのうどんは、見るからに美しく、透明感のある食感。
讃岐うどんほどの力強い腰ではなく、柳腰??かもしれないな。
初めて食べる夏限定「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどんを、中々この組み合わせはいいもんだわと味わった。


これはうちで作らねば!

某日お昼時、買い揃えた夏野菜を細かく刻んで、「山形だし」を作る。

山形だし
胡瓜、パプリカ、なす、茗荷、青紫蘇、生姜、
オクラ(冷凍したオクラが食感もやわらくなっていて◎)
みついしきざみ昆布が旨みとほどよい粘りを足してくれる
味付けは塩麴とお醤油少々


あとは冷凍うどんを茹でて、冷水でしめて水気を切って、丼に盛る。
薬味を用意して、なすを揚げる。

うどんにぶっかけうどん用つゆを少しかけて
山形だしをたっぷりとのせ
揚げなす
おろし生姜、青葱、おかか、刻み海苔トッピング


うどんが見えないくらいの具沢山
うどん@うちだからこそ
冷やし中華でも素麺でも焼きそば、焼きうどんでも、うちは具沢山好き


混ぜて混ぜてま~ぜ~て


はいっ いただきま~す!
ちょっとつゆを足そうかな

「うん、こりゃいい。こういううどんもいい」
「でしょ?」


野菜を丁寧にていねいに刻む。
切り方でケの野菜がハレの野菜になる。

例えば、それは岩手県南部地方の「ウコギのほろほろ」であり
青森県津軽地方の郷土料理「けの汁」
だ。

ひと手間かけた野菜たちは、晴れやかな顔をしていて、滋味深い。


トマトの冷製カペッリーニ Capellini alla checca


パスタの中で最も細いのがカペッリーニcapellini、髪の毛を意味するcapelli に由来するパスタ。
このパスタがいいのはゆで時間が短いこと。
夏の暑いとき、短時間でゆで上がるというところは素麺といっしょ。

上:日本の誇るソウルフードナポリタンスパゲッティ用のスパゲットーニ 2.2mm
Volcanoスパゲッチ 日本のパスタメーカー!

下:DECECCO Capellini 0.9mm


十年くらい前からカペッリーニといえば桃のカペッリーニ!
というブームになっているけれど、私にとってのカペッリーニはやはりトマトの冷製カペッリーニ!

1985年。イタリアンの傑人、山田宏巳シェフが、友人からオリーブオイルのお礼にともらった高知の堀田商店のフルーツトマトの虜となり、このトマトの素材を活かすなら冷たくしたまま出したほうがいいという信念から「冷たいトマトのパスタ」が生み出され、シェフのスペシャリティとなる。

・甘みと酸味の強いトマトを使う
・トマトの甘みが足りないときは、バルサミコ酢を加える
・トマトをマリネするには少なくても1時間、理想的には3時間くらいかけて、オイルやにんにくの味となじませる


リストランテ・ヒロでおまかせランチコースで二度いただいたことがあり、山田シェフのサーブだったこともあり、特別な料理の記憶となった一皿。

”イルマーレ” 依田隆シェフの修行時代の味!「トマトの冷製カッペリーニ」のレシピで作ってみた。

糖度はフルーツトマトというだけあってかなり高い
すごいのはオリーブオイルなどでマリネしたときの味の完成度の高さ
甘いだけじゃないトマトとしての主張がじわじわ感じられるから不思議


素材を生かした一皿
日本人の夏は冷たい麺!という趣向を表現したパスタ料理です


甲乙つけがたいパスタ VSヴァーサス

これで終わりじゃないんです。
実は  VSヴァーサス. があるんです。


「山形だし」と揚げなすのカペッリーニ


故郷ですか?
山形の庄内地方の、とある町です
十年前からどうしても暮らしてみたかったフィレンツェで働いています
山形の両親は会社務めで、専業農家ではないですが
ささやかな家庭菜園をもっていて
夏になると
畑の夏野菜を採ってきて
父がだしをよく作ってくれたんです
真剣な表情で、背の高い父が少し猫背で
丁寧に野菜を細かく刻んでいた
そんな父の後ろ姿
今でも思い出しますね

ふと
父のだしを作ってみたくなったんです
もちろんここはイタリアですから
カペッリーニに合うような
イタリアで暮らす私のだし
作ってみたくなりました

私の妄想です…


イタリア風の山形だしを作ってみました
山形だしと同じ材料にするか迷ったんですけどね
胡瓜、なす、ズッキーニ、パプリカ、紫玉ねぎ、万願寺唐辛子、ちょっと多めにトマト
グリーンオリーブ
シンプルなバジルソース(バジル、にんにく、EXVオリーブオイル、塩)
塩麴で調味


にんにくとアンチョビをオリーブオイルで炒めて、粗熱が取れたらゆでて冷水で洗ってしっかり水気を切ったカペッリーニを加えてこのソースをまとわせる。

カペッリーニをお皿に盛りつけて
イタリア風山形だしをたっぷりかけて
揚げなすとバジルをトッピング



混ぜて混ぜてま~ぜ~て


いただきま~すのご挨拶
あっ
ハラペーニョソースかけなきゃね

「面白い。うん、彩りもよくて爽やかなパスタ」
「いいかもね、これ。にんにくとアンチョビとだしがいいわ」

「山形だし」と揚げなすのぶっかけうどん VS.「山形だし」と揚げなすのカペッリーニ


いや、だからどっちも好きなんだって。

*レシピは最後に添付しています。


おまけ:カペッリーニで作るエジプシャンライス

カペッリーニはゆでて食べるだけじゃなく、ポキポキ短く折って炒めて、お米といっしょに炊いても美味しいです。

シャアリーヤという短く折ったカペッリーニのようなパスタを
サムナギーで炒めて米と炊いたライスです
かるい食感にしたいときは私はオリーブオイルを使います
エジプシャンライスは正しくは Ruz bil She’reyaパスタ/ رز بالشعرية 




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