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春ピリカ メモのお蔵出し
今回の春ピリカも、大盛況のうちに幕を閉じました。
なんと言ってもご参加いただいた方、お友達に参加をおすすめいただいた方、note運営をはじめとして記事でご紹介いただいた方、そして春ピリカ運営と審査員のみなさま、ありがとうございました。
「指」というお題に対して111作品👆👆👆
偶然とはいえ狙ったような作品数にびっくりするやらうれしいやらで、全作品拝見いたしました。
わたしは募集前の記事で「創作のお祭りです」と申し上げましたがこれを言うだけではお祭りになりませんで、これだけ多くの方に実際に投稿いただき、盛り上げていただいたことで、ほんとにお祭りになったと実感します。なんと副賞までついているのですから。
■副賞
受賞18作品には、いぬいゆうたさんによる朗読の副賞がありまして、作品を立体的に味わうひとつのきっかけになると思います。文字だけではないニュアンスや、朗読ならではの「時間」というファクターが入った面白さが感じられると思います。
さて
今日は昨日に続き、メモを紹介いたします。昨日お知らせしたような情報を頭に置きつつ、いったいわたしはどんなメモをしていたのでしょう。作品を特定しない形でちょっと紹介いたします。参考までに、前回夏ピリカのときの記事はこちらでした。
※前回、今回いずれのメモも審査員の統一見解ではなく、あくまでわたくし個人の意見ですのでご承知おきください。
■今回の個人メモ
あらためて確認しましたら、ひと作品あたり平均で190字のメモをしたようです。つぶやき一回分とちょっとですね。時間が経つと自分のメモでも「こういうこと書いてたのか、ほほう」と思います。
ご応募いただいた作品を拝見しますと、わたしの頭の中で絵本やマンガ、動画といろんな形でビジュアライズされました。ご応募いただいた作品それぞれの豊かな表現あってこそだと思います。作品を特定せず挙げてみます。あれかな?、これかな?、と想像する楽しみをご一緒に。
・このままショートフィルムになり「次回へ続く」となりそう。
・漫画になったら面白いだろう。
・この作品に挿絵をつけるとすれば和田誠だろうか。
・絵本ならクウェンティン・ブレイクあたりのテイスト。
・漫画や映像にするよりは挿絵を加えて少年文庫に入れておきたい。
・「笑ゥせぇるすまん」のようなタッチでアニメ化してみたい。
・羽海野チカの絵柄が思い浮かぶ。
・30秒のCMになりそうな作品。
・浦沢直樹の20世紀少年のようなタッチで漫画にするとおもしろそう。
・ヨシタケシンスケのテイスト。
・昔のディズニーアニメのような画を想像した。
・マンガ「地元最高!」における現実と描写とのギャップを思わせる。
・長新太の絵柄が思い浮かんだ。
・テレビのショートコントなんかでありそうな場面。
つぎに、作品を特定せず内容に踏み込まない程度に、どのようなメモだったのかをランダムに切り出してみます。
前回のお題は「鏡」という道具でしたが、今回は「指」です。指はストーリー構築において道具としても使えるし身体器官の一部としての使い方もある。この違いがあるため、今回の作品群から「指」の捉え方はひととおりに収まるものではないと感じました。ものがたりでの位置づけとしては、意思の伝達手段、心のありか、といったものが多かったように思います。もちろん道具としての捉え方もあって、ハッとさせられたり展開のうまさに唸ったりしました。そういった特徴あるそれぞれの作品へのメモですので、メモの切り口もさまざまで一見すると支離滅裂ですけど、こんな感じです。
・言い切らないことで今後の展開を期待させる。
・ものがたりにしかあり得ないことは何も起こっていない。それでいて十分にものがたりとして成り立っている。
・おもちゃ箱のような文章の展開は、次に何がくるのかわくわくさせる。
・静かな調子の文章で心地よい。
・淡々とした文章のなかに芯があるように思う。
・放哉の句集を眺めているようにも思える。
・不思議でちょっと不気味で、それでいてほっとさせる。
・時間の描写を効果的な道具として活かしている。
・日常の一場面を切り取って綴られている。
・誰にもある経験を個人的なものに落とし込んだ。
・業の深さがあるのか、と想像すると恐ろしくなる。
・若さを表現した。
・何気ない風景を描写することも作品を完成させる上でたいせつな技術である。
・絵画と同じで、全てを克明に描写することが必ずしも是とはされない。
・想いやノスタルジーを感じさせる文章になっている。
・小道具が妙な現実味となって読後感に残る。
・どうなっていくんだろう、と思わせる魅力がある。
・清涼剤のような掌編。
・男女の力関係における一般論のような気もして、苦笑してしまう。
・勘違いや「気のせい」は、ナラティヴとなってその人の生き方に大きな影響を与える。
そして、お会いしたことのない書き手の皆さんのことも想像されました。少しだけ。
・この書き手にかかると、どこか洗練された雰囲気をまとう。
・コミカルな描写は書き手のやさしさだろうか。
・シュールな世界観が素敵。
・知らない相手のことを想像するのは楽しい。
最後に、全体を通じておもったことをメモから切り出してみます。
・指というテーマは、自分の外側にあるもの(ありたい姿、本来そうであったはずの自分、あるいは他人の存在)を求める人間の姿を描くのによいものだったように思う。
・上手い書き手は1200字で本当にものがたりを完結させる。
・ものを書く人の想像力は底が知れないと思わされる。
改めまして、たくさんの良質な作品👍👍👍のご応募まことにありがとうございました。
■魅力を発見しよう
みなさんも、ご自身の好きな作品のことを、コメントやご自身の記事で書いてみてくださいね。下書きのままでもいいと思います。自分の「好き」を言葉にすることで新しい発見がありますし、そこには書き手と違う目線だからこそ見える魅力があります。それは未来の素敵な創作へのきっかけにもなるでしょう。
またいつか「お祭りだー」と号令がかかりましたら、そのときはお目にかかれる……かもしれません。それではまた。