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餃子の王将に打ちのめされる
もやし炒めである。
もう一旦区切りをつけて、もやし炒めに対して改めて冷静に向き合っていこうと決意したところである。
僕の中の小さくなっていた炎に再び油を注いだのである。
王将のポテンシャルは、こんなところにまで及んでいたのか。
王将で何気なく出されるもやし炒めの旨さが、私を打ちのめす。
考えてみる。
このシャキシャキで美味いもやし炒めの秘密を、なんとか言葉にしてみる。
まず、キクラゲの存在は大きい。
庶民がキクラゲをふんだんにもやし炒めに使えるような社会でない。
それが4つ、大きなキクラゲが鎮座している。
このぬるんとした食感がもやしのシャキシャキ感を高めている。
恐るべし、キクラゲ。
しかし、決してそれだけではないことに、あなたは気づいているに違いない。
キクラゲを入れるだけで、こんなにも美味いもやし炒めが出来上がるわけではない。
そこに、中華3000年の歴史が詰まっている。
ニンニク感、生姜感、これは確実にある。
紹興酒?中華特有の風味である。
肉も少なからず入っている。
僕が作ったのはハムを入れたから、そこはちゃんとした豚バラぐらいが必要なのだろう。
それらが渾然一体となって、油でコーティングされている。
そう、油で炒められたのではない。
高温の油で包まれている。
油に抱かれているもやしたち、と言う図式が、王将のもやし炒めを口に含んで噛んだ瞬間に見えたのである。
背景が見える料理。
恐るべし、なのは王将なのか、はたまた、俺なのか。