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良夜かな

僕が考える良き夜について。

水曜日、週の中ほど、まだ週末は遠くに霞んでいる。
仕事終わりにLINEが届く。
ほとんど話もしたことのない、ただLINE交換をしただけの相手で、なんの気まぐれか、よほど暇だったのか、知らないけれど、飲みに行かないかとの誘いである。
(この時、僕は独身でまだ30ぐらいの若者とする)

なになに、どういう意図だろう、と訝しがる。
大体顔をほとんど覚えていない相手である。
あれは確か、と記憶を辿ってみると、出会いは居酒屋で、僕は数少ない友達と酒を飲んでいて、その友達の知り合いが隣の席にやってきたことをきっかけに、合流し、なんだか意気投合したわけである。
僕はいい具合に酔っ払っていて、何を話したのかほとんど覚えていないが、何か共感できる題材があって、また今度、とLINE交換をしたのだろう。

確かに、彼女の印象は悪くない。
むしろ、どうして今までこういう風に僕から連絡を取らなかったのか、と少し後悔しながら、了解、と返信する。

場所は駅近くの、地下酒場、と言っても隠れ家でもなんでもなく、ただの居酒屋ローカルチェーン店であるが、僕は割と気に入っていて、それが彼女からの提案だったから、なおさら楽しみになる。

歩いて行こう、と職場を出る。
少し時間があるので、やはり駅近くにある図書館に寄る。

楽しいYokanの待っている隙間時間に行く夕方の図書館、これ良き夜かな。

(続きます)


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