【アタッチメント理論】子育て中の親御さんへ:感情的な子どもとの向き合い方
はじめに
子育てをしていると、子どもの機嫌が良いときには楽しく過ごせても、泣きわめいている子どもをなだめるのが苦手という方も多いでしょう。今回は、そんな時にどう対応していけばいいのか、いくつかのポイントをお伝えします。
1.子どもの気質を理解しよう
まず、子どもにはそれぞれ生まれ持った気質があります。たとえば、新しい場所に行くときや初めての経験をする場面で、特に時間がかかる子どもがいます。こうした子どもは、突然の変化や新しい刺激に対して不安を感じやすく、泣いたりぐずったりすることが多いかもしれません。
しかし、こうした子どもは、たとえば新しいおもちゃにじっくりと興味を持ち、細かいところまで観察したり、絵本を読んでいるときに登場人物の気持ちに共感して涙を流したりするなど、深く物事を考えたり感受性が豊かだったりします。
今は感情の調整に時間がかかるかもしれませんが、例えば、親がそばにいて安心感を与えることで、次第に新しい環境にも慣れていくでしょう。公園で他の子どもたちと遊ぶことに不安を感じていた子が、何度か親と一緒に行くことで少しずつ慣れていき、最終的には親なしでも楽しく遊べるようになる、といった具合です。
このように、安心感を得る体験を重ねることで、子どものアタッチメントは安定し、いずれは「ひとりで大丈夫」になっていくでしょう。
2.大人の感情も大切
大人がイライラしていると、子どもにもその感情が伝わり、ますます泣きやぐずりが激しくなってしまいます。たとえば、仕事で疲れて帰宅したときに、子どもが泣き始めると、ついイライラしてしまうことがあるでしょう。
しかし、そのイライラが子どもにも伝わり、泣き声が一層大きくなることがあります。まずは、大人自身の気持ちを落ち着かせる工夫が必要です。深呼吸をしたり、一度別の部屋に行って気持ちをリセットしたりしてみましょう。
また、子どもの「泣くこと」は自己主張の手段であり、たとえばお腹が空いたり、おむつが濡れていたり、単に寂しかったりすることを伝えています。泣いて自分の不快さを訴えるのは健全な状態だと理解しましょう。
親が冷静になって、「お腹が空いたのかな?」と問いかけたり、「おむつを替えようね」と対処することで、子どもは安心し、泣き止むことが多いです。このように、子どもの泣き声に対して冷静に対応することで、親子の信頼関係も深まります。
3.試行錯誤を重ねる
子どもの望みどおりに対応できないこともありますが、それは当然のことです。たとえば、子どもが夜遅くにお菓子を食べたがって泣きわめく場合、健康のために「今日はもう寝る時間だからお菓子はダメ」と言うことがあります。試行錯誤を重ねながら、子どもとのやりとりを通じて、子どもの心の力を伸ばしていきましょう(「心の力」の詳細はこちら)。別の日には、「お菓子はおやつの時間に食べようね」と説明し、理解してもらうこともあります。
また、子どもの泣き声に苛立ちを感じる時は、親自身が追い詰められて余裕がなくなっているのかもしれません。たとえば、仕事で疲れているときや家事がたてこんでいるときに子どもがぐずると、どうしてもイライラしてしまうことがあります。
その際は、パートナーに「少しの間、子どもを見ていてもらえる?」と頼んだり、祖父母や友人に助けを求めたりすることが大切です。周囲の協力を得ることで、親自身もリフレッシュでき、子どもに対してより冷静に接することができるようになります。
4.共感的なかかわりを意識する
疲れ切っていると、子どもに向ける表情がこわばりがちになります。たとえば、長い一日が終わって家に帰ったときに、子どもがぐずり始めると、どうしても笑顔で対応するのが難しくなります。そんなときには、子どもの表情をまねてみるなど、共感的なかかわりを意識的に心がけてみてください。
たとえば、子どもが泣いているときには、「○○ちゃん、悲しいんだね」とその表情を少し真似しながら話しかけると、子どもも自分の気持ちを理解してもらえていると感じやすくなります。
また、うまく対応できなかったと感じた時は、互いに落ち着いた後にその時の感情を振り返りながら話すと良いでしょう。たとえば、夕食の準備中に子どもが泣きわめいて、思わず大声で怒鳴ってしまった場合、その後に「○○ちゃん、さっきすごく怒っていたよね。お母さんもどうすればいいかわからなくて怒鳴っちゃった。ごめんね」と伝えることが大切です。
このように、自分の感情を正直に伝え、謝ることで、子どもとの信頼関係が深まります。
5.甘やかしすぎ?バランスを見つける
「甘やかしすぎだ」と批判されることもあるかもしれませんが、特定の誰かにくっついて不安を解消する経験を重ねれば、子どもはやがてひとりでいられるようになります。たとえば、夜寝るときに子どもが「ママと一緒じゃないと眠れない」と言って毎晩一緒に寝ている場合、周囲から「甘やかしすぎじゃないか」と言われることがあるかもしれません。しかし、子どもが安心して眠れるようにしてあげることが大切です。
「甘やかしすぎかも」と思ったり、周囲から指摘されたりして迷いが生じると、一貫性のない対応になりがちです。たとえば、ある日は一緒に寝てあげて、別の日は「ひとりで寝なさい」と言うと、子どもは混乱してしまいます。不安からくる求めには十分に応えることが、結果的にくっつきを減らす一番の近道です。毎晩一緒に寝ることで、子どもは徐々に安心感を得て、自分からひとりで寝たいと言うようになることがあります。
ただし、わがままと感じられるような場合は、「ここまではいいけど、これはしません」と丁寧に伝え、行動の枠を示すことも大切です。たとえば、夜遅くにお菓子を食べたがる子どもに対しては、「16時まではいいけれど、お菓子はもう終わりだよ」ときちんと伝えることが必要です。
このように、子どもに対して一貫性のある対応を心がけながら、不安を解消するためのサポートをしていくことが大切です。
6.後追いやしがみつきへの対応
後追いやしがみつきは、乳幼児期には誰でも多かれ少なかれ見られるものです。たとえば、人一倍怖がりな子どもは、親が部屋を出るだけで激しく泣いて後を追うことがあります。
また、養育者の対応がまちまちだと、「気を引きたい」としてその行動が激しくなることもあります。たとえば、ある日は子どもが泣いたときにすぐ抱っこするけれど、別の日には放っておくと、子どもは混乱してしまい、ますます泣き叫ぶことが多くなります。
さらに、なにかにつけて「あれやって」「これやって」と助けを求める子どももいます。こうした行動に対しては、すぐに手を貸すのではなく、どうすればできるか一緒に考えたり、応援したりすることが大切です。たとえば、子どもが「おもちゃを取って」と頼んできた場合、「自分で取ってみようか?」と声をかけ、一緒に取りに行くことで、自分でできることを増やす手助けをします。
しかし、不安が強い時には、十分にくっつかせてあげましょう。たとえば、夜寝るときに子どもが不安で泣いているなら、しばらくの間一緒に横になって「大丈夫だよ、ママはここにいるよ」と声をかけてあげると、子どもは安心して眠ることができます。このように、子どもの不安を受け止めながら、自立を促す方法を模索していくことが重要です。
最後に
子どもとのかかわりは、親にとって試行錯誤の連続です。大切なのは、子どもの気持ちに目を向けながら、親自身も無理をせずに対応していくことです。どうぞ、お子さんとの時間を楽しみながら、大らかな気持ちで接してあげてください。
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