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あの頃の愉しみ方が懐かしい
いま、AMラジオって、どうなんでしょ。
ラジオを聴く機会がなくて……いや、嘘だな。FMは聴いている。AMを聴かなくなった。というより、FMが70年代以降のAMに近くなっていて、音楽よりおしゃべりが増えた気がする。まあ、いいんですよ。
FMの愉しみ方も、大きく変わった。
役割も変わったのかも知れない。地域FMなんて、昔は学生のサークルや、部活の中で回っていたことだったり、そういう知識のある人の商店街ツールだったりと、とにかく世界の小さなフィールドの奥行きを拡げるアイテムだった。
いまのように放送局も多くはなかった。NHK-FMとFM-TOKYO、AMだけどFENが音楽の発信源。CMも音楽に特化したものが多くて、時報毎のインフォメーションもオシャレだった。
よく音楽は聴いた。
でも裕福な人じゃなかったから、レコードは年に数枚買えればラッキー。You&Iが画期的だった。でも、レコードで飽和を満たせるほどのことはない。そういうときに癒してくれたのが、FMだった。
むかしは、こんな雑誌売っていたね。
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若い方に昭和ソング、シティポップなどと、メディアが煽り立てているけど、まあ、その時代の雑誌だ。基本的にはFMの2週間分の番組ガイドで、あとはミュージックシーンの情報を盛り込んでいる。洋楽も、邦楽も。
FMの番組表で何するのかって?
放送する音楽プログラムを事前に知って、FMをラジカセで録音したんだ。エアチェック、だね。録音媒体はカセットテープ。FMの音源がステレオだったから、クロムテープを使って、お気に入りは保存するけど、FMステーションには丁度いい付録が付いていた。
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これで、カセットケースを自分だけの個性で飾った。裏面に罫線があって、手書きで曲名を書いた。そのうちミニコンポなんか出てきて、エアチェックのグレードも、レコードやCDからのダビングも容易になった。
いまの配信音楽なんて、まだ夢か魔法かと思ってしまう、そんな時代の、必死に流行を探して捕まえるアイテムだった。
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鈴木英人のイラストが、いつもウエストコーストやハワイで、日本にはない遠いどこかに憧れる燃料だったように思える。山下達郎のLPレコード「COME A LONG」シリーズのジャケットも鈴木英人だった気がする。
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FMから聴ける音楽がぐっと広がった。
いま、FMはそういう役割ではなくなったのだろう。有線放送もYoutubeには適わなくなった。音楽がオシャレではなく、商売になってしまったのも残念だ。小室ソングあたりから、ビジネスの種になって、夢をみられる歌も僅かには生まれるが、減ってしまった。
懐かしい時報で、よい夢を~♪
寝落ちたあの頃が、懐かしい。
いや、寝よう……!
でも、いまのFMって、むかしのAM化してる気も、しないでない。
だから、もう。
数十年もAMにチューニングしていない。
最後に聴いたのは、中島みゆきのオールナイトニッポン最終回か、歌うヘッドライトの最終回だった気がする。昭和の深夜ラジオについては、暇ができたら、また話題を共有したいです。
いまはNACK5を毎日の愉しみにしています。
ファンキー!