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ブックカバーで守るもの #エッセイ

「カバーお願いします」
書店で文庫を買う時には、基本的に必ずブックカバーを付けてもらうようにしている。
オンラインで本を買う時は、当然だけどカバーが付いていない状態で本が届くので、なんだかむず痒い。
最近はセルフレジの書店も増えてきているけど、その場合は自分でカバーをつける必要があり、書店員さんの手際の良さに脱帽する。

単行本は裸のまま持ち歩き、文庫本にだけブックカバーをつけるのは、なんとなくのこだわりだ。
たぶん、単行本の場合は無意識に装丁に価値を見出しているんだと思う。

ブックカバーをつける理由の一つは、もちろん本を物理的に守るため。
手提げやリュック、ポーチに入れかえながら持ち運ぶので、裸のままにしているとどうしても折れ曲がってしまったり、角に傷が入ってしまうことがある。

それと、自分の読書の趣味を世界に晒すことからも守ってくれるのがブックカバー。
完全に自意識過剰だけど、「この人はこんな本を読んでいるんだな・・・」と電車で、カフェで思われるのが怖いのだ。
ほとんどの人は他人が読んでいる本なんて気にしてないはずなのに。
もっと堂々とできればいいのだけど。
自分自身が他の人が読んでいる本が気になる人間なのでしょうがないとする。

もう一つ、ブックカバーを外す瞬間が好きだから、というのもある。
読み終わって本棚に入れる時にブックカバーを外す時。
「こんな装丁をしてたんだなぁ」と染み入る、あの読後感を噛み締める時間がけっこう好きなのだ。

季節ごとの書籍フェスだけの限定カバーが店頭に並んでいると、思わず手が伸びてしまう。
新潮文庫のプレミアムカバーの真っ白なカバーの「こころ」は一目惚れだった。

いつか、各書店のブックカバーについて書くのもいいかもしれない。

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