フリーランスでも借入はできる?融資を受けるために知っておいてほしい6つのこと
noteをご覧いただき、ありがとうございます!会計コンサルタントの山下です。
フリーランスや中小企業の経営者が、事業資金の調達や、新規プロジェクトの実施のために、銀行や日本政策金融公庫から融資を受けることが一般的になっています。
一方で、「新たに事業を始めるために、借入をしたい」と思っても、そう簡単には融資を受けられないのが現状です。
今回は、フリーランスや中小企業の経営者が、希望金額を借入するために知っておいてほしいことを6つのトピックに分けてお伝えします。
①飛び込みで申し込むまえに、必ず専門家に相談する
フリーランスが新規事業を始めるとき、「日本政策金融公庫」という、国が100%出資した政府系金融機関で融資を受けるケースが一般的です。
日本政策金融公庫は銀行に比べて、事業資金の融資を受けやすくはありますが、かと言って誰にでもお金を貸してくれるわけではありません。
確定申告書や借入計画書、資金計画書など提出する書類を用意するまえに、無計画で借入を申し込んでしまうと、審査に通過できないだけでなく、申し込みの記録が残ってしまい、借入の再チャレンジが難しくなってしまう場合があります。
確実に必要なお金を借りられるよう、自ら申し込むまえに、まずは専門家に相談することが大切です。
また、日本政策金融公庫は申し込みから審査の通過、そして借入金の入金まで、おおよそ1〜2ヶ月の期間がかかります。
専門家に相談する際も、そのくらいの期間がかかることを想定したうえで、余裕を持ってご相談ください。
②資本金、開業資金は借入希望金額の1/4〜1/5程度を用意する
借入を申し込む際、まず準備してほしいのは、資本金および開業資金です。これは、借入したい金額の1/4〜1/5程度は用意しておくといいでしょう。1/4〜1/5程度という数字には理由があります。
例えば、飲食店を開業したいと考えたときに、お店の内装や備品などを含め、初期費用が1000万円かかるとします。
そのとき、もしも開業資金が10万円しか手元になかったとしたら、例え1000万円を銀行から借りることができたとしても、売上が立つまでの期間に必要な運営費や生活費などの資金が全く足りません。
つまり、開業資金は借入金では足りない分の費用を補填する役割があるわけです。銀行や日本政策金融公庫も、持続可能的に事業が運営してもらえるよう、審査の際に開業資金の金額を厳しくチェックしています。
この場合、最低でも200万円程度は開業資金として手元に持っておくことで、審査が通りやすくなります。
ご自身の借入希望金額を決める際は、開業資金をどのくらい用意すればいいのかを確認しておくことが、成功するための第一歩です。
③資本金、開業資金は「自己資金」であることが重要
②で資本金、開業資金の必要額について解説しましたが、必要な金額さえ手元にあればいいというわけではありません。重要なのは、資本金、開業資金として準備したお金が「自己資金である」ということ。
借入の申し込みの際、数ヶ月〜半年分の通帳内容の提出を求められるケースが多いのですが、このとき資本金や開業資金が、借金をして得たお金だった場合、審査の通過は難しくなります。
なぜなら、例えば1000万円の借入をするために、200万円の開業資金を友人から借りて用意したとき、1000万円を満額借入することができたとしても、そのうちの200万円は返済に当てられてしまうからです。
日本政策金融公庫や銀行としては、融資した金額を申請された際の用途で、正しく使ってもらいたいと考えているため、自己資金かそうではないかという部分も厳しいチェックが行われています。
借入の際は、自己資金で用意した資本金や開業資金が必要だということに留意したうえで、資金計画を立てましょう。
④クレジットカードや携帯電話使用料の未払いに注意!「信用情報」を確認する
融資の審査の際、資本金や開業資金と同じくらい重視されるのが、「信用情報」の状態です。信用情報とは、個人の年収や住宅情報、勤務先等の属性情報、ローンや公共料金等の支払い情報などの個人情報を指します。
クレジットカードや携帯電話の使用料などの未払いが続くと、この信用情報に傷がつき、借入だけでなく、ローンなども審査が通りにくくなってしまうんです。
実際に、僕が担当したお客様も過去に携帯電話の使用料の未払いがあり、融資の面談まで辿り着けなかったケースがあります。
例え、専門家に依頼して、事業計画書などを作成してもらったとしても、信用情報の状態によって、面談を断られてしまうと、依頼料が無駄になってしまうことも。
借入の申し込みをする際は、「CIC(指定信用情報機関)」で信用情報を確認しておきましょう。
⑤余裕を持った返済ができるよう、事業計画書を作り込む
事業資金を調達するための借入をする際に気をつけてほしいのが、予想される100%の売上ではなく、60〜70%の売上でも、きちんと借入金を返済できるよう事業計画書を作り込むことです。
例えば、新しく始めたい事業が毎月1000万円の売上を作ることができ、年間売上が1億2000万円になるとして、その金額があれば借入金の返済と事業の継続が可能であるという内容の事業計画書を提出したとします。
しかし、事業計画書に記載されている売上が、予想される売上の最高値だった場合、この事業計画書では、審査は通りにくいんです。
なぜなら、ビジネスを行う際は、必ず売上が低迷する可能性があるから。売上が下がる可能性を考えて、予想される売上の60〜70%に落ち込んでも、借りたお金を返済し、事業を続けていける見込みがあることを証明できるよう、事業計画書を作り込みましょう。
⑥パッションではなく、数字を根拠に説明する
新たに事業を立ち上げようと意気込むフリーランスや経営者の方のなかには、その情熱をそのまま銀行の担当者の方にお伝えする方がいます。
しかし、銀行側にとって重要なのは、どのくらいパッションがあるかではなく、提出された書類に書かれた数字にどの程度の根拠があるかということです。
必要な分の自己資金があるのか、事業の売上はどのように推移していくのか、そしてその事業を長く続けていける見込みがあるのかを、根拠を持って説明できるように準備しましょう。
銀行側が納得できる数字を揃え、最後にパッションを伝えることで、きっとあなたの気持ちも伝わるはずです。
【注意】コロナ禍後、借入の審査がさらに厳しくなっています!
最後にお伝えしたいのが、昨今、「借入の審査がさらに厳しくなっている」ということです。実は、コロナ禍の期間中、企業の倒産による借入金の貸し倒れが増加。それによって、審査の難易度がさらに上がってしまいました。
特に、新規借入の場合は、借入の内容によっては担保提供ができるかどうかが重要になってきます。追加の借入の場合も、借入の内容によっては見送られるケースも増えてきました。
「今週中に借入がしたい」などといった急ぎの借入を検討されるお客様も増えている一方で、審査に1ヶ月以上の期間が必要なケースも珍しくなくなっています。
審査の状況は日々変化していくものですが、借入を希望される方は、なるべく早めに専門家に相談することをおすすめしています。
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山下祥平(やました・しょうへい)
1990年生まれ、神奈川県出身。神奈川大学経済学部経済学科を卒業後、スタートアップ企業に入社、沖縄県にして半年間勤務。その後、帰京し税理士法人に入社。53社を企業を担当し、記帳代行や巡回監査など、会計処理や税務処理に対する業務に携わる。その他にも、営業や人事などさまざまな業務を経験。2022年に独立し、株式会社Yを設立。現在は会計コンサルタントとして、日々クライアントの課題に向き合っている。あおs
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