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「ピッツァ職人」を読んで
本の概要
「ピザ」しかなかった国で、
「ピッツァ」を焼く――
本場ナポリの薫陶。
庶民のソウルフードを焼く誇り。
生地と窯に没頭する境地。
職人たちの生き様に、12年越しで迫った、
圧巻のノンフィクション。
何がやりたいのかわからない、と生きてきた私は、そっち側の人たちはきっと特別なのだと思っていた。だけど中村は、「やりたいこと」を一度失った人でもある。真っ暗な場所で、彼はただ、微かに振れた自分の心に従った。(略)さらには取材を重ねるうち、本書に登場する職人のほとんどが、そうした心の振れを見過ごさなかった人たちだと知った。出合いとは、はじめから運命的な顔をしているわけじゃない。逆に言えば、人は誰でも特別になれる、ということだ。(「あとがき」より)
感想
少年ジャンプの世界観だ。
努力・友情・勝利があった。
異世界としてのナポリ。 友に師匠に修行に生き場に選んだナポリ。
この本にはナポリのようなからりとした乾燥した文章と情熱、探究があった。
天職を得ることは幸福なことなのだろうか。
個人と仕事の自己同一感。
朝から深夜まで友とピッツァに語り合う日々。
バーンアウトの危険性を孕む。
しかし、中村は活き活きと窯に向かう。
この著者もそうだろう。
そうでなければ12年も取材できまい。
これはまだ続いている物語だ。