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暴力五人娘(1960)

暴力五人娘(1960、新東宝、80分)
●監督:曲谷守平
●出演:万里昌代、大空真弓、三条魔子、扇町京子、橘恵子、渚三枝、国方伝、菅原文太、沢井三郎、並木一路、宇田勝太郎、花岡菊子、大友純、泉田洋志、魚住純子、小高まさる、九条明子、川部修詩、水上恵子

タイトルのインパクトで観てみたシリーズ。

新東宝公式YouTubeで鑑賞(2024/12/6までの限定配信)。いちおうDVDも出ているらしい。

ものすごい物騒なタイトルだが、内容はいたってのんきで、平和で、牧歌的。

雑誌で言えば『少年ジャンプ』や『コロコロコミック』などではなく、『小学一年生』とか『めばえ』と同次元の作品と言っても過言ではないかもしれない。

女子大のラグビー部の学生たちが、大学の乗っ取りを狙う副理事長とそれを操る闇の組織たちと戦うといったあらすじ。

高級レストランのメニューがライスカレー、エビフライ、ハンバーグ、唐揚げというのは時代を感じる。

アルバイトする大学生というのは今も昔も変わらないが新聞社や化粧品の販売はいいとして、自動車販売はバイトの仕事なのか!?

しょうもないアクションシーンが中盤展開され、緊張感はまるでない。

いくらラグビー部だからといってもタックルの威力すごすぎ。

というか五人どころじゃなくて六人?くらい女たちがいる。かといって六人の必然性はない。なんなら三人でもストーリーは成り立つ。

女子学生たちがしきりに実施したがっていたネグリジェショーも、単なる学芸会で色気も皆無。

現理事長のお付きの爺やみたいな人が「誇大妄想と気違い」みたいな新聞記事を出されてしまって評議会の場面で責任をとって首をくくろうとし「止めてくださるな!」とわめいているけど誰一人止めようとしていないところは面白かった。

殺し屋なのにベルトがなくてズボンが落ちたり簡単に寝返ってしまう若い頃の菅原文太。終盤女装姿までして縛り上げられて何の役にも立っていない。

そして殺し屋同士の一対一決闘の場面では「男同士の勝負なんて値打ちがない」と女たちに邪魔をされて、強制終了させられる。

普通だったら「他の奴らは手を出すな!」的な場面だけど男の美学や、お約束、不文律といったものを女子学生たちが徹底的に無視し台無しにするアティチュードは痛快だった。

浪花節とか任侠映画のような世界観には絶対登場しない「お決まり」を破壊するギャグであるが、尖ったニヒリズムなんかではなく、「バカじゃないの」と言わんばかりの女子大生たちのあっけらかんとした軽やかさが実に後味良かった。

なので、ここまでは良かったけどエンディングで唖然。

本当にまるで『アンパンマン』かなというような暴力とは無縁の平和な終わり方だった。

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