アウトレイジ ビヨンド(2012)
アウトレイジ ビヨンド/OUTRAGE BEYOND(2012、「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会、112分)
●脚本・編集・監督:北野武
●出演:ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、中野英雄、松重豊、小日向文世、高橋克典、桐谷健太、新井浩文、塩見三省、中尾彬、神山繁
『アウトレイジ』の続編。
東京湾に沈められた黒塗りの車が引き上げられるオープニング。
死んだと噂を流された大友(ビートたけし)が実は生きていて、片岡(小日向文世)の思惑によって出所させられてくることを暗示している。
とうとう今作は女性キャストがいなくなり完全に男のみになった。
本筋には関係ないが、レストラン、刑務所の食堂、ホテルのロビー、料亭と食事のシーンが多い気がした。
序盤の富田(中尾彬)たちがレストランで酒を飲みながら愚痴ってるシーンでは3人の周りをカメラがぐるぐると回りながら撮っていて『レザボア・ドッグス』のパロディーかな??
今作も緊迫感に満ちた場面の中に放り込まれる面白ワードという北野武流のギャグが鋭く冴えわたる。
「ホステスの部屋にバットがあるかコノヤロー!」、「あの時は裏切りましたが」このあたりの台詞はコントとしても秀逸。
ハイライトは花菱会に大友と木村(中野英雄)が乗り込んでいくシーン。
「なめとんのか!」
「なめてねえよバカヤロー!」「やってみろっつってんだろコノヤロー!チンピラ!やれ!」
「誰がチンピラじゃコラやったろうやないか!」
「やれよオラ!やれ!やれ!」
なんかもう、凄すぎて笑ってしまうという。
ほとんどが一発撮りということで有名な北野作品。現場も物凄い緊迫感があったのだろうと想像できる。
この作品でもそうだが北野映画にはジョン・ウーみたいなガンファイト、ガンアクションはない。
銃口を向けたらほんの数秒のうちに終わる。
見世物的な殺し合いバトルではなく処刑や粛清としての殺しだ。
そういう意味ではこのストイックな様式美さえ感じられるバカヤローとコノヤローの応酬は、繰り返されれば繰り返されるほど凄みが増幅されていく。
でも、やっぱり、一番印象に残る台詞は「野球やろうか」。