子育てエッセイ :小さな3つのクリスマスの思い出
1、私のお家には煙突がない
クリスマスイブの夜、会社から帰って来ると
幼稚園児だった長女が泣いていた。
どうしたのか、奥さんに聞くと、
絵本にサンタクロースはお家の煙突から入って
プレゼントを置いていってくれると書いてあった。
それで長女は、私のお家には煙突がないから
サンタさんが来てくれない、と言って泣き出したという。
僕はいろいろと考えた末、長女が眠ったらサンタさんが家に入って来れるように窓を少し開けておく。
サンタさんがプレゼントを置いていってくれたら、
お父さんが窓を閉めると言った。
長女は、お父さん、窓を開けるのを忘れないでね、と言って漸く泣き止んだ。
長女が眠ると奥さんに注意された。
「あなた、本人が納得してくれたから良かったけれど、大きな袋を持って窓から進入して来たら、それはサンタクロースじゃなくて泥棒だからね。
子どもにはよく考えてから話しをしてください。」
2、本物の七面鳥が食べたい
次女か小学校に入学した年のクリスマスのことだった。毎年クリスマスイブに食べているローストチキンは鶏の肉だと知った長女と次女は、クリスマスイブに本物の七面鳥を食べたいと言った。
奥さんはクリスマスイブに七面鳥の丸焼きを作って売る店を見つけて予約注文した。
そして、
「あなた、七面鳥の丸焼きが1万円もしたわ。」
と言った。
僕は奥さんが予約注文した七面鳥を店に取りに行ったら大きな箱を渡された。ずっしりと重かった。
家に帰って箱を開けると七面鳥の丸焼きが入っていたのだが、その大きさに驚いた。
「あなた、七面鳥ってこんなに大きいのね。他のお料理は要らなかったわ。」
娘たちは大喜びして食べたが、4人で大きな七面鳥は食べきれず、次の日の夕食も七面鳥だった。
だが、それでも食べきれず、結局三夜連続で七面鳥が夕食となり、娘たちは七面鳥はもう食べたくない
と言った。
3、奥さんが作ったクリスマスケーキ
クリスマスイブの日、親戚の人が近くに来たからと言って、お土産に地元で有名なケーキ屋さんの豪華なクリスマスケーキを買って来てくれた。
ところが、朝から奥さんが娘たちのためにスポンジケーキを焼き、クリスマスケーキを作っていた。
クリスマス料理を食べ終わると、奥さんが自分で作ったクリスマスケーキを持って来た。
奥さんが作ったクリスマスケーキは、スポンジケーキに生クリームをぬり、フルーツを添えたシンプルなケーキだった。
ところが娘たちは、親戚の人がお土産に持って来てくれた豪華なクリスマスケーキには目もくれず、
お母さん、ありがとう。と言って
奥さんが作ったクリスマスケーキを嬉しそうに美味しそうに食べた。
僕は、どんな豪華なクリスマスケーキも母親の子どもへの愛情には敵わない、と思った。
親戚の人に頂いたクリスマスケーキは、次の日、
娘たちがおやつに食べることになった。