本格的珍作歴史映画『信虎』のネタバレしかない感想記事
もう3年も前の話なのですが、こちらの映画を鑑賞しました
寺田農さんが武田信玄の父親である武田信虎を演じた映画、その名も『信虎』です
安土桃山時代の歴史ものが好きでも、武田信玄の父の信虎に焦点をあてた作品って思い当たらないし、ましてやそれが映画になるなんて(ニッチ過ぎて)大丈夫かと心配しながら観に行ったのですが、寺田農さん演じる信虎が大変魅力的な作品でした
信虎は嫡男である信玄(当時の名は晴信)から謀略をもって強引に家督を奪われて他国に追放されたけど、追放された先でも色々と仕事をして大事にされて暮らしていて、信玄の死により混乱する甲斐に帰還する…というおもしれー経歴の戦国武将なので、追放されるまでの息子信玄との愛憎と相剋、己に造反した家臣との再会と争い、という物語になっているのかと予想しワクワクして観たら
①信玄の死の一報を受けて帰還する
②他の息子とも久しぶりに会って穏やかに話す
③家臣団とも話すけど折り合いはつかない
④一念発起して寺にこもって神仏に祈りを捧げる
⑤目を合わせた相手の心を意のままに操る異能力を得る
⑥己が当主として返り咲くことよりも武田家の存続と再興に力を尽くして亡くなる
⑦亡くなった後もその意志は生き続け、江戸の元禄時代に当たる世でついに武田家の再興が叶う
…という、めっちゃ思ってたんと違うけど変わってておもしれーって映画でした
でも絵的には地味です
基本はおじいちゃんが修行したり、おじいちゃんとおっさんが軍議をしたり、おじいちゃんがおっさんと話したり心を操られている場面で進む映画なので、何じゃこりゃと思わんくもない、珍作でした
でも妙な面白みがたくさんでもあって、人の心を何でも意のままに操れるし、死後もその意志を残せるという、一見すると邪悪な展開のラノベみたいになりそうな設定なのに、信虎が純粋に武田家を思って行動するひたむきさとか、寺田さんの目力が強いので異能力に妙に説得力があったりするし
信玄の弟で信玄に瓜二つなので影武者もやってて絵がすごく上手い武田信廉と話したり説教したり、現存する武田信廉の信虎の絵と寺田さん演じる信虎がめっちゃ似てるとか、おっ! と思うところがあちこちあって
こんな信虎や一族郎党たちを観たいな~って思いで出来ている映画に感じました ある意味すごくピュアな映画
ただ、最後の台詞だけは頂けなかったんです
寺田農さんと言えば、某国民的アニメ映画での悪役の声優としてのお仕事も有名ですが、なんとそのパロディネタで締めの台詞にしているんです!
いや、信虎なんだからムスカと混ぜなくても良くない? と劇終で急にぽかんとしてしまった
寺田さんのファンへのファンサのつもりだったのだろうか、だとしたらそのセンスは分かんねぇです
でも、分かんないけど、一周回ってそれはそれで好きだなあとも思うし、絵的には古典の戦国ものの重厚な映画そのものですし、それがわりとトンチキな脚本で進むのがたまらなく愛おしくも感じてます
この映画に出演されていた俳優さんは寺田さんをはじめ、ちらほら亡くなられている方もいらっしゃいます
だからこそ、また観たいなあと時折思い出す映画なので、記憶を頼りに3年前の鑑賞ですが記事にしてみました
ここまで書いておいてアレですが、もしこの映画を真面目に真剣に愛していらっしゃる方からすると、この記事の茶化し方は不快やも知れませんが、ご了承ください
自分は自分で、この映画のことは大好きなんです