猫の肉球

ちょっと、感じたをそのままに、思う疑問をそのままに書いてみたよ!

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最近の記事

最後の選択

 あの選択で良かったのか…? そんな事を今更ながら迷う。 あらゆる医療器具を付けられ、自分の意思で動かす事の出来ない身体で弱々しく動く心臓…。  呼吸さえ人工呼吸器で動かされている母…、時折見せる眉間のしわは何を語っていたのか?  苦痛だったのか、それとも生きたいと足掻いていたのか…?    「生きてさえいればいい」と、介護もせずに母に優しい言葉さえかけない誰かが言っていたけれど…。  それが正しい事なら「なぜ?」と、尋ねたい…。  私はあの眉間のしわを母の苦痛と感じたのは冷

    •  病床で横たわる母の姿を覗き込んでいるのが、とても不思議な感じに思える。  どんな時も小さな体で直向きに生きて、時には叱りながらも、どんな時も優しく包みこんでくれた母が弱々しく病床で私に懇願し話した言葉は「今すぐ家に帰りたい…」私にすがる思いで、そして「先生にお願いして!」と…。  点滴や色々なチューブが付けられながら懇願し、僕はその姿に涙を堪えながら、「今日は無理だけど、お医者さんにお願いするね」と叶う事が無い事を知りながらも優しく嘘をついた。  母は「今、家に帰りたい

      • 母国…

        キズ 「優里、怪我したの? また、同じ様なところを擦りむいたね、なかなか治らないね。」と、母の沙羅が優しく絆創膏を貼ってくれた…。  そんな母が今はいない。    歓喜の裏  ニュースの新人キャスターの白川優里が、「オリンピック開催地が東京に決定しました。」と爽やかに読み上げ、映像はその日都庁に集まったオリンピック関係者の歓喜に満ちたものだった。  白川の出身は東北の宮城県気仙沼で“あの時"に、両親と兄を失ってしまい自分だけが当時東京で大学生活していた…。  そんな事

        • 振り向くと…

           “特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ショートスティ、デイサービス、訪問介護”。  どこの町でも見かけるありがちな光景が、少しずつ少しずつ変化する。  それはまるでテレビの間違い探しで、赤色帽子がゆっくりとピンクへ変わり、そして最後は白に変わる様なスロースピードで変化するから気付かない。    多くの高齢者がいる時代に、多くの高齢者施設が有るけれど、そこに働く現役世代の人が減っていき、長寿の人が増えていく。  “廃校"とか“統合"とか小手先の事が通用しない…。  小学生の

          デジタルなプー

           物心がついた頃には、大人達は携帯電話で話したり、メールしたりしていた…。  小さかった僕のおもちゃの携帯電話は機種変更し、もう使わない親の携帯やパソコンのブルーライトを浴び遊んでた…。  小学校入学で自分の携帯を手に入れた頃には、親よりも“デジタルツール"を使い熟していたのかもしれない。  ブルーライトの向こう側では、知りたくも無い事や知りたい事が止めどなく流されていて…、大人の世界が薄っぺらに見えていた…。  そんな時代に成長し“学生"の鎧"脱ぐ日が訪れ、想像していた程

          デジタルなプー

          続.カーテン越しの小さな命

           冬の間もともと心臓が弱い妻の紗英が体調をくずしていたけれど、春風が吹く頃になって少しだけ体調が良くなり、小さな庭を望む窓のカーテンを開け「遥斗、あれ見て…」と、小声で言った。  紗英に呼ばれ「あれ…!」と言ったのは、去年出産後の少しの間だけ世話をして見放してしまった、母猫のマーだった…。  僕等はマーとマーの子供達を、見放した事に後ろめたさと罪悪感を感じていた…。  そんな苦い思い出とは、裏腹にマーは素知らぬ顔をしている。  マーは紗英の方へ惑わずにやって来て少し頭を傾

          続.カーテン越しの小さな命

          カーテン越しの小さな命

           アイツはとても利口な奴だったと振り返っても、そこにはもうアイツはいない…。  キッチンで料理を始めると、黙って後ろに座り料理の出来上がりを待っていたり、帰宅する時も玄関に座り45度斜めに頭を上げ「遅かったにゃ〜」と迎えてくれていた。  そんな風な知的な愛猫ミミとの20年間は、とても心地よい時間をくれた。  愛猫ミミが亡くなりしばらくたった頃、小さな家の小さな庭に彼女が現れた。  彼女は面立ちがどことなくミミと似ていて、どうやら妊婦さんの様で、重たいお腹を大切に抱えながらチ

          カーテン越しの小さな命

          ネコ達から、プーチンへ

           決して群れなく、媚びなく、気の向くままに生きてる様なネコ族の面々…、そんな風に見えてしまい知ってるつもりでいた。  食べ物や住まいが保証される事がない日々を過ごし、誰かと一緒にいなくても生きれる強さと、何の権力にも擦り寄る事をせずツンデレに…。  素敵な事や物を追い求めて歩むのに、時間も天気も関係ない。    ネコ種族から“人間種族”を見たら、どんな風な種族に見えるだろうか…?  食べ物や住まいを得る為に動き働き、いろんな権力や規則、目に見えない力に縛られて不自由そうに生き

          ネコ達から、プーチンへ

          青空が青く…

           川沿いの桜を見る私の頬を春風がくすぐりながら吹き、道交う母と幼い子が笑みを浮かべながら歩いている…。  そんな穏やかな春の日に青空を見上げると飛行機雲が、遠く離れた場所へ続いている。  私には飛行機は、子供との楽しさや幸せの思い出のシンボルなのかも知れない…。  飛行機での空が続いている感じが、ちっぽけな私にとっては地球の一員みたでワクワクする。  地球の空はつながり世界中が同じ空なのに、戦闘機と言う名の飛行機やドローンやミサイルも飛ぶ空に変わってしまい…、青一色の青空に

          青空が青く…

          デジタルな月光

           星空の下で見て聞いて感じている事は、意外と大事な事だったりする。  小さな頃星空よりも眩しかった街の商店街の看板や輝きは、少しずつ輝きを失って閉まったシャッターが並ぶ街へと姿を変えた。  大人になった私は買物をしに商店街ではなく、大型ショッピングモールへ自動車で行くと、去年まであったテナントが抜けていて、ムシ歯の抜けた様な空間だけが存在している。  先月はまた1つテナントが抜けて、ムシ歯だらけの様に広がる…、早く歯医者に行かないと歯が無くなるよ〜。    買物を終えてセ

          デジタルな月光

          進化の向こう側

          【加納翔太が手にした野菜】    いつもの様にスーパーに買物へ行く。  私が綺麗に並べられた野菜の中から何気なく手にすると、“裏書き"大好きな妻の和美が“遺伝子組み換え作物"の表示に躊躇う。  躊躇う彼女の視線は、左35度斜め下の幼い息子の賢人を愛おしく見つめている…。  和美が「翔太、コレ戻して…」と話し、僕はさり気なく手にした野菜を戻した。 【高梨さんのお薬】  「高梨さん、お母さんはB型肝炎ですね」と医師の日野川が淡々と話した。  「先生、それって…」と直樹が言うと、

          進化の向こう側

          自分のリトマス試験紙

          [ リトマス試験紙 ]  小学校の理科の時間に、宮原里美先生が「青色のリトマス試験紙“赤”に変わると、”酸性”です。」  いつもは、おとなしい誠君が「“青”のままだったら、アルカリ性ですか?」  里美先生が少し間を空けてから、「青のリトマス試験紙だと、アルカリ性かも知れないし、中性かもしれないね」  誠君が独り言の様に小声で「はっきり、しないんだ…」と言っていたのが、僕はどうにも気になった。  授業は続きその後、赤のリトマス試験紙で実験していたけれど、それよりも僕は“おとな

          自分のリトマス試験紙

          白鳥

          [ 白鳥  ] 遠いシベリアの極寒の地から、白鳥達がV字飛行隊を編成しながら、僕の住む雪国にやって来た。  温かな春に恋愛し出産する白鳥達は、育児を食糧が豊富で安全なシベリアで過ごし、秋には雪国に南に向けて旅立つ。  長い距離を羽ばたき、天候に左右され敵に警戒しながら、遠くのゴール地点へ必死に飛び続ける。  春に産まれヒナ鳥だった白鳥の子供は成長して、僕の住む雪国の町まで辿り着いた。    [  一瞬の様な…  ] 「この子は大きくなったら、どんな大人になるのかな…?」

          策略のワクチン

          官邸 2025年  この国の未来予想図は中枢はわずか数人の会議と言う名の密談で決められた。 「ワクチン効果が想定通りで、高齢人口削減で一安心ですね…、総理」と真栄田官房長官が話すと、今やメガネがトレードマークの南波総理大臣がニヤリとして頷き、「真栄田君、我々も高齢だからね」と、他人事の様に高笑いしていた。官邸内で話すホンネとは、裏腹に国民の前ではまるで言葉を話さない様なしたたかな南波だ…。 官邸 2018年 「外務筋から、今までにない強烈なインフルエンザが隣国から発生し

          策略のワクチン

          ペトリコール

           「雨が降ってきたよ、亜衣…、早く家にお入り。」 おばあちゃんが心配する声を聞きながら「雨のニオイがするっ!」と…。  おばあちゃんは傘をさして私のいる所に来て「風邪ひいちゃうよ」と穏やかに優しく話し、スーッと傘に入れて「亜衣は雨のニオイが好きなんだね、おばあちゃんも大好きなんだよ…。」  「おばあちゃんも!」と亜衣は嬉しそうに笑い、「なんで好きなの?」と…、聞いてみた。  おばあちゃんは「静かに包み込むような香りがして落ち着くの…」と話す、おばあちゃんの眼差しはとても柔かく

          ペトリコール

          シッポの世界

          まえがき カタカナで書けば2文字、ひらがなでも2文字、漢字なら1文字で書けてしまう、ネコ、ねこ、猫…!  小さな彼等につい忘れがちなとても大事な事を思い出させてもらったり、感じたりする…。  ネコ嫌いの人にはごめんなさい! ありがちな彼等 温かい春はゆっくりと陽だまりに、冷たい雨は柳楽さんの小屋で雨宿りしたりして…、時間にも何にも縛られない自由に気ままに…。  そんな自由さを纏っていた私があっと言う間に恋に落ちてしまった…。  理由…、そんなの無い!!!  自由をそこ

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