小説:透明な猫(374文字)
誰も持たない道具を使う。それはピッケルの先端を納豆巻きにすることであり、幕末のヒキガエルの鳴き声にフランジャーを掛けて仕上げるものだった。
遥か遠くに見えるミートパイは、あっけなく情報戦に埋もれ、パラダイムのキャップに嵌め込まれたチゴイネルワイゼンとともに祝杯を上げる。
漬物石で覆われたエレクトーンがひとりでに鳴り響き、ウーロン茶はそのときだけ、複製物ではないよという表情を浮かべる。
ミシガン湖の水を全部抜き、ワットタイラーの乱が起こる。
差出人は秋風。その封筒を透明な猫に運ばせる。
そのとき再び、あるところのものではなくあらぬところのもの、が姿を表し、摩擦係数を丁寧に計測するのだ。凝集と分散そして浮上と沈降を繰り返す。現実的な土俵の上には穀倉からの便りが。人工的な解答の上には藍藻からの祈りが。
彼はそれらを図画にするために絵筆を握る。
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