【アメリカ】最近の採用面接で起こっていること
うちの夫は、人事とは全然違う部署で働いているのだけど、採用の初期段階の仕事をたまにしている。
書類選考を通った候補者に対し、1発目の面接をするのである。オンライン面接でインタビュアーを務めるわけだ。時間は1時間ほど。
面接した後、意見を添えて結果を報告することになるので、それなりに時間と労力を割く。
それでも、面接業務が性に合うらしく、よく引き受けている。いろんな人がいておもしろいらしい。
でも、そんな夫が珍しく愚痴っていた。
なんだと思って聞いてみると、最近の応募者は、面接の受け答えにチャットGPTを使っていると疑われる人が多いらしい。特に、技術的な知識を問う質問の答えに、その傾向が見てとれるとか。
質問を投げかけると、最初の数秒は、めちゃくちゃ歯切れが悪いんだそうだ。
「あー、えー、それはですねえ、えーっと…」
で、ある瞬間に、パチンと切り替わって、突然人が変わったように流暢に話しだす。その答えは、ポイントをおさえていて、ちゃんとしている。冒頭のあーとかうーとかいう受け答えと比べると、よくでき過ぎているとすら感じる。
画面上のテキストを読んでいるらしいことが、ビデオ画面から見てとれる。でも、こちらからは相手の画面が見えないので裏がとれない。回答自体に難があるわけではないので、その疑いだけでは次のステップへ進むことにノーと判断するのも難しい。
甚しきに至っては、一連のやりとりを終えた後に、
「この仕事では、いま答えたようなことを、いつも答えられないといけないんですか」
と聞いてくる人がいるらしい。既に頭に入っているなら、そんな心配などする必要がないし、わざわざそんな質問はしないはずだ。
まるでテストのカンニングみたいだなと思った。
実際、必要な知識や経験をごまかして採用されたとしても、結局は後で自分がしんどくなるだけなんじゃないか。求められるレベルのパフォーマンスができず、上からも横からも低評価にさらされるはずだ。
でも、そういう手を使ってでも仕事をゲットしようというマインドの人は、そんなこと知ったこっちゃない。少なくとも採用されていた期間にそれなりの給料が入ってくるのだから。入ってしまえばこっちのものってなものだ。
なんだかなあ。
「そのうち、面接を対面でしなきゃいけなくなるんじゃないかな」
夫がぽつりとこぼした。
テクノロジーの進化によって、数多くの不可能を可能に変えてきた半面、なにが本当でなにが嘘なのかが見えにくくなっている。そして、真実を見極めるためには、結局アナログに戻らなければならないというこのサイクル。
前進してるのか後退しているのか。それとも両方?
読んでくださってありがとうございます。
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