見出し画像

身近な地学があなたの○○に役立つ!?

ここ数年、「地学」の人気がじわじわと上昇してきました。地学と聞いて、高校生のことに、やったやったと思いだす方はいても、何を学んだか1ccも思い出さない人も多いでしょう。しかし、最近になって多様な方面から「地学」への関心が高まってきています。さて、それはなぜ???

なぜ、興味がわかないのか?

大学受験では、地学を敬遠する傾向が多く大学の出題も少ないのが現状です。そのため、大学で地学を学ぶ絶対人口が減り、先生も減り、ゼミも減り、負のスパイラルが生まれて全体に専門家が少なくなっています。海や山の地層を見ても生活にはあまり関係なさそうですよね。ところが最近になって、状況が変わってきているのです。

何といっても「ブラタモリ」

地学の認知度が加速したのは、やはりこの番組の影響が大きいでしょうね。これまでマイナー番組やサイエンス系番組にしか取り上げられることのなかった地学が、バラエティ番組として取り上げられたのは、おそらく「ブラタモリ」が初めてだと思います。

画像1

地形や地質の謎に迫っていながら、タモリさんのユーモアたっぷりのぶらぶら感が大人だけでなく、学生などにも人気なのではと思います。
ちなみに、視聴率を調べてみたら、なんと、、、
同局の「チコちゃんに叱られる!」だけでなく、「しゃべくり007SP」を抜いて、第2位なんですね!!!(その他の娯楽番組【関東地区】2019/12/20~2019/12/26調べ)
これはすごい!やっぱりみんな見てるんですね(笑)

画像2

「娯楽番組×地学」の組み合わせがいま、興味津々なんです、日本の国民は!

世界指標「チバニアン」が正式決定!

方位磁針が指す北(磁北)は、地図上の北(真北)に比べて西へ約7度ずれていることは多くの方がご存知かと思います。

画像3

この磁北は、今はたまたま真北と近いところにあるので、方位磁針で真北と若干ずれた北を指しても多くの方は違和感を持たないと思います。で、ここからが重要なんですが、磁北つまり地磁気は同じ場所にいなくて、地球上をぐるぐる回っているんです。

北極と南極が入れ替わった時代もあるくらい、実は結構動いています。「ポールシフト」と呼ばれる現象で、いつの時代にどこにあったかが大よそわかっています。

画像4

地球を構成する岩石の中には様々な鉱物が入っています。風雨にさらされ浸食した鉱物は川に流れ海へとたどり着きます。そこでゆっくり沈んでいくのですが、中には金属性のもの、つまり磁性鉱物もたくさん入っています。そこで、地球自体を大きな磁石にみ立ててください。ゆっくり沈みながら、N極(S局)に向いて堆積するのです。つまり、「いつ」どこに磁極があったかは分かっていて、堆積した土の中に残された磁力の方向(残留磁気)を調べば、いつの時代に堆積したかがわかるんです!

チバニアンは地球磁場が逆転した最後の時代の残留磁気を記録している地層で、77万4千~12万9千年前の堆積地層。2020年1月17日に、国際学会でようやく「チバニアン」(千葉時代)と命名することが決まったのです。これって、地質の世界ではとても重要なことで、中でも地質時代の名称に日本語が入ったのはとても誇らしいことです。興味ある方は、ぜひ現地に訪れるとよいでしょう。見学できるみたいです。

防災のヒントは「地名」にあり!

地学が○○に役立つ!ことですが、とても多すぎて紹介しきれません。なので、特に重要なことをお知らせしましょう。近年、地球温暖化に伴う自然災害が多発してますよね。「災害は行政が守ってくれるもの」として、これまで災害対策や、現在でも激甚災害対策が実施されています。しかし、そんなんでは、到底追いつかないのが自然災害なんです。しかも、そのパターンも多様化しています。

こそで最も身を守るスキルをお知らせしましょう。それは、、、

「自らの住んでいるところの災害パターンを知ること」なんです。そんなん知ってるよーって思うかもしれないですよね。特にまちの構造や舗装、地下などに人口に由来する災害も多くなってきています。その中でも、大切なのは、地名と災害の関係にヒントがあるんです。

災害の中でも浸水や氾濫など、水に関係する災害に着目してると、以下のような地名と地形の関係があり、そこから起こり得る自然災害を創造することができます。

地名で分かる地形の特徴
1.水域(清水・河内・綾瀬・池見)
2.水辺(横浜・高砂・北潟)
3.さんずいの地名(河・池・沼・海・沖・汐など)
4.地形的に低い場所(越谷・金沢・深谷)
5.水田(野田・下田・田中・梅田)
6.港湾(新湊・魚津・大津)
7.人工の構造物(船橋・板橋・日本橋・豊橋)
8.水辺の動物(鴨川・鶴見・舞鶴・蟹江・貝塚)
9.水辺の植物(稲田・芦屋・菅谷・蒲田・柳川)

このように、水に関する地名を例にとっても、本来の地形がどうだったか想像すれば、「洪水になったら浸水するかもしれない」、「地盤が軟弱で家が傾くかもしれない」など身近な危険をあらかじめ予測することができます。

地学を知りたい先生や生徒が急増中

最近、ひょんなことから中学校や高校で「地学」を教える機会が増えてきました。受験にあまりウエイトがないのにどうしてなのだろうか。一つは教える先生にスキルが無いため技術向上したいようです。これは、よくわかりますが、それ以上に「地学」を生徒に教えなくてはならない、という危機感が感じられます。これだけ自然災害が多発すれば当然に思えます。地学を知らなくては自然災害の予測が立てにくいのですから。しかし、教科書通りの地学を教えても、覚えることばっかりで面白くないですよね(笑)。だからこそ、身近な地学を生活の中にある問題と照らし合わせたアクティブラーニングが必要なんだと思います。

また地学は、生物、環境、人類の進化、医療、精神などなど様々な分野の「土台」であるといっても過言ではありません。まずは地図を眺めておもしろい地名を見つけたり、まちをブラブラしたときに、上り坂や下り坂に注目してみたり、好奇心を全開にして、「地学」の道を歩いてみませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?