
茶道 二月のお稽古
二月は大炉のお点前。大炉は六畳間に逆勝手に切られ、酷寒の二月頃に用いられる。通常の炉より大きい大炉に広口釜を構え、足運びや道具の位置が本勝手と逆になる。
安政年間(1854〜1860年)十一代玄々斎宗匠が北国の囲炉裏から創案したとされ、裏千家独自のものである。(参考「淡交テキスト 茶の湯お稽古十二か月」二月号)
2/8 大炉薄茶手前
お菓子 下萌(練り切り) 白くてやわらかい生地のてっぺんにちょこんと若緑がのぞく春らしいお菓子
お軸 平常心是道(びょうじょうしんこれみち)
お花 椿(ピンク)
お道具 利休型中棗 中村宗哲作 折鶴蒔絵
お茶杓 二代少庵宗淳作 銘 花の兄
しんしんと雪が降る中のお稽古だったが、雪にちなんだ銘が思いつかず。
2/15 大炉薄茶手前
お菓子 梅の里
お軸 平常心是道
お花 侘助(わびすけ)、蝋梅(つぼみ)
お道具 利休型中棗 中村宗哲作 折鶴蒔絵お茶杓 二代少庵宗淳作 銘 淡雪/早蕨(さわらび)
雪が残っていたので銘を「淡雪」としたが、日差しは暖かく春めいていたので、先生の「早蕨」のほうがしっくり来た。
2/22
大炉薄茶手前 筒茶碗
お菓子 下萌
お軸 平常心是道
お花 蝋梅、侘助
お道具 筒茶碗 銘 雪片(せっぺん)
利休型中棗 中村宗哲作 折鶴蒔絵
お茶杓 二代少庵宗淳作
銘 花の兄/早蕨(さわらび)
寒波の影響を受け、晴れていても外気温は0℃と寒い日。今回は筒茶碗を使ったお稽古。筒茶碗の銘は「雪片(せっぺん)」。ぼってりと厚みのある赤地に灰色、黒色、白色が見える、あたたかみのある筒茶碗だ。
窓の外に雪片が舞う中、湯気が立ちのぼる一服をいただいて芯から温まる思いがした。
大炉は、小さな部屋で大きな炉を囲むため、人との距離がいつもより近い。少しでも暖かく、という先人の心遣いが感じられる。寒さは厳しくても、春はもうすぐだと思いたい。
二月のお稽古に用いる、二代・少庵宗淳作のお茶杓は転げる。平らにならない。
先生はこのお茶杓について少庵宗淳の人生をひき、「少庵さんはどんな思いで、この平らにならないお茶杓を作ったのかしらねぇ。」とおっしゃった。
初代・千利休は茶道を大成させた後に切腹。二代目の宗淳は必死に生きのび、初代の茶道を三代・元白宗旦につないだ。宗淳がいなければ、現在まで裏千家は続いてこなかった。
宗淳の思いを知ることはできないけれど、宗淳がどう生きてきたのかがこのお茶杓に表れているようだ、という先生のお言葉が強く印象に残っている。