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原田ひ香『図書館のお夜食』

 ここは、夜の図書館。亡くなった作家の蔵書が並ぶ、一風変わった図書館。そこで繰り広げられるドラマと、美味しいお夜食の物語。
 どちらかというと優しい、お仕事小説といった感じの小説。主人公が図書館に転職してくるところから始まり、図書館で出会う事件が描かれていく。でも何と言っても、この小説の見所は食堂で食べられるお夜食。どのお夜食も、作家の作品や逸話からできている。自分でも作れそうなレベルのものが多くて、ちょっと作ってみたくなる。そんなお夜食。
 あと、この小説のなかの好きなシーンは、働いている女の人たちで女子会をするシーン。「若草物語」や「赤毛のアン」の映画やドラマを見るのだけど、読んでいるだけでも楽しそう。こんなところで働きたい、と思わせてくれる。
 また、主人公視点とは別に毎回図書館の別の人の視点も挟まれていて、外から見たその人と内側から見たその人を比較できる。私は正子さんの内面描写がとても好き。
 たまには息抜きにこんな小説も良いかも。そう思わせてくれる小説です。

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