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ジェイムズ・ラヴグローヴ『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』

 シャーロック・ホームズ×クトゥルフ神話のクロスオーバーパスティーシュ小説!
 私は大学時代ミス研にいたレベルのミステリー好き。ですが、ホームズは子供の頃児童書で読んで以来読んでいません。クトゥルフの方はと言えば、現在星海社版の新訳全集を履修中(4巻途中)。つまり、どちらも中途半端な地点にいます。でも、特にクトゥルフは大好きです。そんな私も存分に楽しめたのが、この作品でした。
 ワトソンの手記というかたちで物語は進んでいきます。曰く、今まで表で発表してきたホームズの物語は、裏で起きていた闇の力との戦いを隠すための物語だった。これから書き記すのが、真実の物語である……。
 物語の始まりは、アフガニスタンに軍医として従軍していたワトソンがイギリスに帰国してきたところから始まります。しかし、ワトソンの肩の傷は、実は戦地で負ったものではありません。地下の古墳で、謎のトカゲ人間に襲われ、命からがら逃げ切ったときに負ったものなのです。
 そんな彼は、ロンドンで謎の事件を追う、ある男と出会います。そう、その彼こそがシャーロック・ホームズ。二人は事件を追ううちに、ワトソンがかつて出逢った、闇の力と対峙していくことになります。
 阿片窟が出てくるのは「唇のねじれた男」のオマージュですし、敵は勿論、闇の力で世界を支配しようとするモリアーティ教授。彼との戦闘にも、ホームズ作品のオマージュが散りばめられています。
 読み終えた時には、推理と冒険でえもいわれぬ幸福感でいっぱいになりました。
 ホームズとワトソンの関係性、そしてクトゥルフの基本知識さえ持っていれば、十分楽しめる作品です。
 2作目の『シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪異』を読むのが待ち遠しちです!

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