読書感想 村上春樹 職業としての小説家
村上春樹さんのエッセイです。小説に対する彼の姿勢が惜しみなく語られています。
まず私の率直な感想としては、ノーベル文学賞候補で世界中で本が売れまくってるのに、当人は俺様要素皆無、オラオラ気質ゼロなのだなあということです。それは彼の小説の文面からも伝わることですよね。
そして常に客観的に物事を考える習性を身につけておられます。読書を通してあらゆる視点で物語を味わってきた経験からその習性は培われたようですね。勿論実際に彼自身がさまざまな人生経験を重ねた結果でもあるとは思いますが。
しかし、起こった事象に対してはニュートラルにとらえる反面、自分の直感には従うという潔さも備わっています。とても興味深いです。
私が特に興味深かったのは、はじめの「小説家は寛容な人種なのか」という章です。小説を継続して書ける稀有な人間の気質、才能のようなものについて触れています。
そもそも、小説を書くという行為は頭の切れる人間にはあまり向いている作業ではないらしいです。自分の意識の中にあるものを、わかりやすく皆に伝えることが出来れば、明瞭でスピーディーなわけです。実際頭の切れる方はそのようにするでしょう。しかし、小説家というものは、自分の意識にあるものをあえて「物語」という形に置き換えて表現しようとする種族なのだそうです。まどろっこしいけれども、それが一番自分を表現できる手段だという人間が小説家なのだと。おおむねそんな事が書かれていました。
俺、む、胸が痛えよ……。
全体を通しての感想としては、小説の書き方という枠組みを超えて、人生哲学本のような佇まいだと感じました。人生の岐路に立った時に読み返そうと思います。ていうか週一で読もうかなと思います。笑
継続は力なりを体現されている方ですものね。私も見習いたいです。
読んでいただきありがとうございます。皆様素敵な週末をお過ごしください。
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