青砥の外部記憶

青砥の外部記憶

最近の記事

2023年冬の観たもの①南座の団十郎襲名と白山湯

そろそろ記憶が薄くなり始めるので、書いて保存しておこう2023年冬。 師走な12月末、珍しく旅に出た。目指すは京都、南座。十三代目市川団十郎の吉例の顔見世、襲名披露を見に行く。助六と景清を一度見たいと思いながら、なかなか見れずにいたがここで奮発しておかないと後先何年見れないかと思って重い腰を上げて電車にゆられ京都へ。諏訪湖を眺め雪の塩尻から名古屋に出てそこから京都の四条河原町。京都は何度も来ていても、初めて祇園の周りに来た。鴨川寒い。 鴨川の 光も寒し 垂れ柳  南座はこりゃ

    • 塩野七生の読み始め ボードゥアン4世から

      塩野七生は膨大だ。 イタリアを中心にした膨大な著作で知られる作家だが、もはやとっつき難くすらある。そう思って手をまったく出していなかった。ようするにちょっと敬遠していた。読めば面白いのはわかっているけれど、それでも何となく手が出ない長編作のような気分で。 それが突然読んでみようと思ったきっかけは、映画キングダムオブヘブンを見たから。 みんな大好きリドリー・スコットの傑作映画。十字軍とサラディーンの戦いを描く大スペクタクル映画だが、これもまだ見ていなかった。これもきっかけがあっ

      • あなた(椀)はどこにいるのだろう

        鮮やかな赤絵が彩る美しい椀。魚に蟹に海老が泳いで、麒麟が側面にいる。何焼きなのかは、対した知識のない自分には分からない。明の椀なのだろうか、古伊万里の類なのだろうか。ともかく、これは、いつかどこかにあった美しい椀を絵に写したものだ。なんとなく惹かれて、薄い単行本くらいの値段で買ったものである。 しわしわである。紙がね。下絵なのか折り目もあるし。 作者は相変わらずわからない。落款はあるから、誰か絵師が描きつけたものだろう。わざわざ絵に写したのだから、相当な椀だったのだろう。か

        • 殺人事件ノンフィクションをなぜ読むの?

          この夏、何を読んだかというと、殺人事件を取材したノンフィクションノベルだった。 黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実 リチャード ロイド パリー この本を読み始めたのがきっかけだった。ほとんど知らなかった事件。世代ではない事件なのかな。だから、ほとんど事件の概要も知らずに読み始めた。ノンフィクションだけれど、推理小説のように読んでいけるという話を聞いたから。イギリスのノンフィクションの伝統に、推理小説のように作っていくというのがあるらしい。だから、事件への興味

          甲斐荘楠音の全貌 東京ステーションギャラリー

          展覧会を2回日をまたいで見に行くことはほとんどないけど、これは行きました。図録も久々に買った。今年一番楽しみにしていた展覧会。甲斐荘楠音の大規模展覧会。 お目当ては、やはりこれだった。 この絵で甲斐荘楠音を知った。そういう人は私だけじゃないと思う。そう。岩井志麻子の「ぼっけえ、きょうてえ」の表紙で知ったのだ。 高校生1年くらいの時に一時期、岩井志麻子にドはまりした私だが、やはりその小説から入った。このホラー小説は有名だったから。自分の中で怖い女といえば、この絵だった。仲の良

          甲斐荘楠音の全貌 東京ステーションギャラリー

          ぽんぽこ24 vol.7 見終わった。

          愛して止まないぽこピーの名物企画ぽんぽこ24。その7回目。すごいね。7回もやってんの。24時間通してVのものから有名ユーチューバー、前ならゆるキャラたちとかあらゆるゲストを呼んで連続企画という恐ろしいもの。徹人(24時間完徹したものに与えられる称号)になれないどころか、一週間かけて見た。見終わったぁ。CMも見るとなると凄まじいボリュームだからね。今回のハイライトは、ピーナッツくんをプロデュースなんじゃないかなぁ。すごい好き。贅沢な時間。出てる人もめちゃくちゃ凄い音楽の人たちだ

          ぽんぽこ24 vol.7 見終わった。

          八月納涼歌舞伎 新・水滸伝

          久しぶりに歌舞伎座へ行った八月。何年振りだろうか。国立劇場にはよく行くけれど、歌舞伎座は久しぶり。エントランスが狭いのがねー昔の歌舞伎座は一回しか、あれも納涼だったけれど、あの時はエントランスが豪華で広くてワクワクしたのだけれど、今はすぐに舞台中だからなんとも味気ない。それでいうと国立劇場は豪華でいいよね。美術館級の日本画たくさんあるし平櫛田中の鏡獅子の彫刻もあるし。けれど、それも建て直しでどうなるんだろうか。 見たのは三部の新・水滸伝。あんまり筋も知らずにそのまま行く。 ま

          八月納涼歌舞伎 新・水滸伝

          納涼美人図

          作者不詳の納涼美人図。 このような美人図というのは、どうも明治大正昭和期にたくさん描く人がいたらしく、忘れられてしまったものもたくさんある。これも絹本のまくり(未装)でくるくる巻きになっていたものを買ってきた。作者はわからない。涼しげな透け衣に身を包んだ美人。

          雨龍

          何年も前に2~3000円くらいで手に入れた神尾華郷の雨龍図 なんて書いてあるのだろう?風雨知告?龍が嵐を知らせてくれるだろうか。 神尾華郷は、慶應二年富山県に生まれたらしい。鈴木松年に師事し、禅画を慕い最も人物に長ず。という。鈴木松年といえば、明治大正の日本画の京都画壇の大家で、上村松園の師の一人。 神尾華郷という人は、今は調べてもほとんど情報が出てこないほど忘れられた画家のようだけれど、眼力凄まじい龍と、勢いのある書。どんな人だったのだろうか、苛烈な禅僧のような画家だったの