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『ミッドナイトスワン』に漂う虚無感と希望
※この記事には広告を含む場合があります。
草彅剛主演『ミッドナイトスワン』をNetflixで観ました。
公開当時からずっと気になっていて、やっと観ることができました。
想像以上に心にズドンと響き、鑑賞後Twitterに感想を書いた後も「もっと書きたい!」という衝動に駆られたので、思いの限りをnoteに書きます。
ミッドナイトスワンを観ました。
— 彩|デザイン×SNS広報 (@aya_web_d) May 9, 2023
胸が苦しくなるストーリーなのに、演技、バレエ、映像の美しさに惹きつけられて目が離せなくなった。
LGBTだけでなく、母性についても色々と考えさせられる作品。
凪沙の表情の変化、憧れの眼差しが印象的でした。つよぽんはやっぱり憑依型。… pic.twitter.com/SEtqSKqmco
ネタバレになる前に伝えたいこと
「まだこの映画観てないけど気になる」という方は、ぜひ公式サイトや予告動画を見てみてほしいです!
予告動画はなんと100秒バージョンもあります!
サイトも予告も、この作品の世界観が表現されているので、これらをチェックして続きが気になる方は、ネタバレを見る前に映画を見ることをお薦めします。NetflixやAmazon Prime Videoでも配信中です。
ネタバレしない範囲で、私がこの作品をお薦めしたい理由を3つあげると…
❶映像・バレエが美しい
予告動画からも感じられると思いますが、最後の最後まで本当に美しくて…途中胸が苦しくなる場面があるのですが、それでも目が離せなくなるほど惹きつけられました。
❷音楽が沁みる
この作品の美しさ、儚さ、強さを表現した渋谷慶一郎さんの音楽もすごく沁みます。
鑑賞後も頭から離れなくなるし、音楽聴くだけで涙出てくるので、家で一人の時間に密かに聴いています♪
❸演技が素晴らしい
新人の服部樹咲さん含め、どの役者さんもすごい…
トランスジェンダー、母、思春期の少女など、様々な事情を抱えた人物の心の揺れ動きが痛いほど伝わってきて、様々なことを考えさせられました。
特に凪沙の表情の変化、愛と憧れが混ざったような眼差しが印象的でした。
つよぽんはやっぱり憑依型で…母性に性別なんて関係ないのかもしれないと感じました。
SMAPが解散して地上波での宣伝が難しい状況でも話題になり、アカデミー賞最優秀主演男優賞を取るほど個人として評価されたのも納得の演技でした。
この映画をどんな人に薦めたいか
「あなたの痛みは、僕にはわかりません。
でも、わかりたいと思っています」
この言葉が心に響いた人にはぜひ観てほしいし、逆にこの映画を観ることでそういう気持ちになるのではと思います。
経験したことのない他者の苦しみや自分とは違う価値観に触れ、想像することにつながる作品としてお薦めしたいです。
わかりたいと思って知識を得たり、想像してみることって大事…
さて、ここから先は、私がこの映画で特に印象に残ったことについて具体的に書いていきます。
ネタバレ含みます!
冒頭から漂う、途方もない虚無感
育児放棄、虐待されて表情も言葉も無くして腕を噛む一果…
幼少期から「なぜ海では水着ではなく海パンをはかされるの?」という思いを抱えたまま大人になった凪沙…
裕福な家庭で育ちながら、親の愛情を感じられず満たされないりん…
望みが叶わない、途方もない虚無感が冒頭から漂っていました。
虚無感を希望に変えていくバレエ
哀れに見えた一果がバレエとともに輝きだして、やがてみんなの希望の存在になっていく…。
でもその陰には、バレエにかかるお金を稼ぐために自分の性を商品にする選択を取り、傷つく一果や凪沙がいて…。
気を抜くとすぐに闇に落ちてしまいそうなリアルで厳しい世界が描かれていました。
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それでも凪沙と一果がお互いの苦しみに触れて支え合い、一緒にバレエを踊るシーンは胸にじんと来ました。
ありのままの自分を認めて愛してくれる存在がいることの貴重さを感じました。
「お母さん」と言われ、戸惑いつつ嬉しそうな凪沙が娘のためにハニージンジャーソテーを作り、甘えた様子で食べる一果。
当たり前のような親子の情景がとても幸せそうで…
だからこそ、その後の展開はかなり胸に刺さりました。
りんの両親の様子を見ていて、「子どもの可能性を狭めるような言動や無関心な態度はとりたくない」と、子を持つ親として強く感じました。
一果だけでなく、りんにも様々な可能性、未来があったはずなのに…。
「未来に希望が持てる」ことの尊さ
女性になった凪沙が「化け物!」と追い出され、変わり果てた姿になるのはショッキングでした。
ただ、一果が未来に希望を持って海外留学の奨学金をとれるまでバレエに励むことができたのは、自分を信じて応援してくれる凪沙の存在があったからこそだと思います。
凪沙が最期、美しい一果のバレエを見る表情には、母としての喜びと、自分が本来なりたかった姿を見るような憧れが混じっているように見えました。
ラスト…凪沙のように歩く一果の足どりと言葉が以前より力強く感じられて、この作品は痛切なラブストーリーであっても、バッドエンドではないと感じました。
変わっていくものと変わらないものと
作中、一果のニキビや腕の噛み跡は心の状態に比例するように変化していきます。
凪沙の表情は徐々に母性が溢れ出てくるように変化しますが、金魚に餌をあげることを忘れない愛情深さは最初から最後まで変わりません。
細かな演出や役者の演技から様々なことが感じられる映画で、見返す度に発見がありそうな作品です。
LGBTだけでなく、母性についても様々なことを考えさせられました。また時間をおいて観たいと思います。
小説も読んでみたいです!
映画を観た方、ぜひ感想などコメントいただけると嬉しいです!