見出し画像

取り柄がないと思っていた僕が、日本一のふぐ料理店で店長になれたわけ。

「入社してすぐに、『あぁ、ここが自分の居場所だ』と感じました。

厳しさの中にも人間味や温かさ、家族のような安心感があり、とても居心地が良かった。

だから、ここに入社してくれた社員やスタッフには、私と同じような居心地の良さを感じてもらいながら、どんどん成長してもらいたい

そうやってイキイキと成長していくみんなの姿を見るのが、何よりの喜びです。それこそが、店長としての仕事の醍醐味だと思います」

そう話すのは、玄品で長年店長として活躍されてきた、岡島孝彦さんと、藤井裕一朗さん。

1980年に創業した株式会社玄品は、国内外69店舗、日本一のふぐ取扱高・消費量を誇るふぐ料理専門店です。

この玄品で、入社15年以上に渡り、会社の発展を牽引してきた要となる岡島さんと藤井さんに、

玄品でやりがいを感じながら働き続けられる理由と、店長として働く魅力」について、

今回インタビューさせていただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【インタビュー/ライティング】
株式会社ストーリーテラーズ ストーリーライター 菅原 瑠美
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


土台にあるのは「人を大切にする社風」

玄品でやりがいを持って働き続けられるのは、
土台に「何があっても見捨てない、チャンスを与え続けてくれる、人を大切にする社風」があるから。

「もちろん、大変なこともあるし、もう辞めたいと思ったことも正直ある。でも、どれだけ失敗しても、意欲があればチャンスを与えてもらえるし、仲間や尊敬する上司がいるから踏ん張れる。

創業以来大切にされてきた、家族のような温かさ、人を大切にする社風こそが、玄品の魅力ですね

また、入社歴16年、現在梅田東通店の店長を任されている岡島さんは、入社当時の思い出を、こんな風に話して下さいました。

僕は入社当時、ふぐ1匹をさばくのに1時間もかかっていたんです。
他の同期は10分でさばけると言うのに…。
最後の方なんてもう、ふぐの身がボロボロになっちゃって、見る影もない(笑)
でもそんな僕みたいな人間にも、たくさんのチャンスを与えてもらいました。


頑張りたい気持ちや向上心さえあれば、店長として一つのお店を任せてもらえたり、本部で様々な仕事に挑戦することもできたりします。

まぁ、挑戦するんは簡単なことではないですし大変ですが…(笑)でもこうしてチャンスを与え続けてくれる社風があるから、今、魅力的なスタッフがたくさん育っているんだと思います

心が折れた、入社一年目 (藤井さん)

一方の藤井さんは、今年で入社17年目。

藤井さんはもともとアルバイトとして玄品で働いた後、その居心地の良さや働きがいに惹かれ、学校卒業後は新卒として同社に入社しました。

しかし入社1年後、心が大きく折れてしまった出来事がありました。

入社して半年後、今までの料理長(板長)に代わって、新しい料理長がやってきました。

ところが、その料理長となかなか折り合いがつかず、次第に働く気力を失っていった藤井さん。

誰にも相談できずに追い込まれ、数ヶ月経ったある日、とうとう糸が切れてしまいました。

その日、朝早く出勤し、その日一日お店に出るスタッフが困らないように、まな板を掃除してフグを捌き、開店の支度をし、そのまま開店を待たずにお店を後にしてしまったのです。

携帯の電源を切り、とにかく誰とも一切連絡が取れないようにして、店から逃げてしまったのでした。

「でも自分でもアホだなと思うんですが、

逃げた先は、自分が昔アルバイトしていた玄品だったんですよ(笑)」

元アルバイト先の店長に思いの丈をすべて話したところ、店長は静かに話を聞いてくれました。

その際藤井さんは「自分がここにいることは、誰にも言わないでほしい」と伝え、その後は、お店で洗い物をして、賄いを食べさせてもらうなどして過ごしました。

とはいえ店長は、藤井さんの上司や仲間が心配することを考え、藤井さんに気付かれないように周囲に話をしてくれていたのです。

そして、状況を察した他の社員の方たちも、藤井さんの居場所が分かり安心し、気持ちの整理がつくまで、藤井さんをそっとしておいてくれたのでした。

勇気を出して、頭を下げたが…

そして、3日ほど経ったある日、元アルバイト先の店長からこう言われました。

「いつまでここに居座ってんねん。おまえには未来があるんやから、ここで負けたらあかんぞ」

その言葉によって目が覚め、店に戻る決心をした藤井さん。

通常、職人の世界では、このような形で逃げることなど許されない。二度目のチャンスをもらえることなど、まずあり得ません。

藤井さんは、仲間から見放されることが怖くて不安で仕方がありませんでした。

しかも、当時の配属先の店長は、正義感があり妥協を許さない人。

仲間の信頼を裏切った自分は、きっと許してもらえない。許されるわけがない…

藤井さんは不安な気持ちを抱えたまま、元いたお店に戻り、店長や社員スタッフ一人ひとりに、頭を下げて回りました。

もう一度、ここで働かせてください…!

すると…そんな藤井さんの心配をよそに周囲は、

ほんま、迷惑でしたわー。早く着替えて来てくださいよ!」と言って、優しく温かく迎え入れてくれたのでした。

後に藤井さんは、当時の店長が会社に対して「店長降格」を申し出た、という事実を知ることになります。

それは、「今回の件は、藤井さんがここまで追い込まれ、それに気づけなかった自分に責任がある」という理由からでした。

「藤井は何も悪くない、自分が悪い」と言って藤井さんを守ろうとしてくれた店長の行動を知り、

「自分はもう二度と、何があっても逃げない」と心に決めました。

この出来事が、藤井さんが今まで以上に真摯に仕事に取り組むようになるターニングポイントになったのです。

これからは、自分が仲間の居場所を創る

最後に、藤井さんはこう話してくれました。

「僕はもともと、スキルが高くて有能な人材、というわけでもありませんでした。でもこの会社に出会い、居場所を見つけて、周囲の人たちから愛情をたくさんかけてもらった。

一度は逃げた自分なのに、こんなにもたくさんの人が助けてくれたから、今の自分がある。

これからは僕が、愛を持って同僚や部下に接し、チャンスを与え、ここでやりがいを持って働き続けられるスタッフを増やしていく。

これが、私が今後、玄品でやるべきことだと思っています」

玄品でやりがいを感じながら働き続けられる理由と、店長として働く魅力」は、

「何があっても見捨てない、チャンスを与え続けてくれる、人を大切にする社風」と、

「自分がしてもらったことを仲間にもしてあげて、それによって仲間の成長を感じられる喜びがあること」です。

創業以来、創業者や現在の社長が大切にし続けてきた、家族のような繋がりこそが、玄品の最大の魅力です。仕事をする上で最も大切なことを、今回のインタビューで学ばせていただいたように思います。

岡島さん、藤井さん、有難うございました。

いいなと思ったら応援しよう!