映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」感想
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
宮城県では一週間早めに先行上映されたので、さっそく観てきました。
コーダの立場で生きてきた彼の世界がとてもリアルでした。葛藤と優しさの狭間で揺れ動く吉沢亮さんの名演が光ります。十代から二十代にかけての演じ分けが素晴らしい。
また、忍足亜希子さん演じるお母さんの多様な表情も印象的で凄く良かったです。喜びも悲しみも、泣き叫ぶ声も、彼女の内から迸る感情が見えてとてもよかったです。小学生の息子が近所の人に盗人扱いされて連れて行かれそうになっているのを、助けに入ったときのお母さんの必死な声と身振りが一番目に焼き付いていて、なぜか泣けてきた。
子どもの立場から見た他の子とは違う両親のことや手話を通して繋がるコミュニティの人々、宮城にいても東京にいても、五十嵐大を形作るのは、やはり受け継いたおもいやりで、それが消えなくてよかった。
癖のある祖父と上司で、でんでんさんやユースケ・サンタマリアさんなど実力派も脇を固めます。
「男らしく」「良い子」「えらいね」「助けてあげてね」など、大人から言われ続けた少年の葛藤と反骨精神を、最終的に母親にぶつけてしまう悲しさが見ていてとても辛かった。
普通ってなんなんでしょうね。奇異の目で見るのに知らないフリして融通してるつもりでいる、そんな無いものとして扱うことこそが傲慢で思い上がり。私自身の情けなさを突きつけられた気もします。たくさんの人に観てほしいですね。
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