記憶の断捨離③ ~世界最高のカウンセラー~
記憶の断捨離術は、自分の本当の気持ちと向き合うことで、過去の嫌な記憶に決着をつけて、心を健康にする心理療法です。
前回までの記事では、多くの人が無意識のうちに自分の本音をすっかり覆い隠して生きているということに触れました。
今回は、普段は隠された内なる自分と向き合うために必要なことを説明していきます。
本記事の概要:
自分の心の声を聞くためには、内なる自分自身を大切にする優しさが必要。
自分だけは、何があってもどんな時でももう一人の自分の味方になることができる。
誰もが、よそ行きの自分の姿とは全く異なるもう一人の自分を、心の中に宿しています。なぜなら、こと現代日本では本音を覆い隠して生きることが社会を成り立たせるための機構になっているからです。
確かに、皆がみな好き勝手に生きていたら強盗やら殺人やらで安心して暮らせる社会が成り立ちませんので、自分の欲求を抑えることもある程度は必要です。
しかし、現代は自分の本音を押し殺すことがあまりにも当たり前になりすぎて、不必要なまでに自分を抑圧することで生きづらさを感じているケースがあります。もっと悲惨なのは、つらさという心の声に気付かず、そもそも心の声に耳を傾けるという"発想や方法すらも知らない"ままに溜め込んで、何が起きているかも気付かないまま突然倒れたり、最悪の場合は自殺を選んでしまうケースも少なくありません。
では、心の中にいるもう一人の自分とは、どのようにして対話できるのでしょうか?
心の中にいるもう一人の自分と対話するためには、優しさが必要です。怖がる野良猫を手なずけるように、「私は全部分かってる。私が全て受け止めてあげるから、安心して出ておいで」と言うのです。
なんだそのこっぱずかしい! と思うかもしれませんが、自己受容は記憶の断捨離にとって非常に重要です。
あなたがこれまでに経験した辛いこと、悲しかったこと、憤ったり絶望したりしたり、どんな風に生きてきたかを何でも全て分かってくれる人がいるとしましょう。そんないい先生がいれば、ぜひめぐり逢いたいですね。
しかしそれは、超有名な心療内科医でもなければ、人々に全知全能の神とまで呼ばれた宗教の教祖でもありません。それに、どんな高名な先生であっても、自分と全く同じ境遇で同じ経験をして、しかも辛いという感じ方も同じで心から分かってもらえる先生など、残念ながらどこにもいないのです。
でも、誰にでも必ず、自分にぴったりの最高のカウンセラーがいます。
あなたにぴったりの最高のカウンセラー、それはあなた自身です。
あなたが経験した辛いことや悲しいことを、全て自分のこととして(自分のこと"のように"ではなく)深く深く共感できる存在、それはあなた自身であり、自分の内なる声なのです。
世界中で少なくとも自分だけは、何があってもどんな時でも自分の味方でいてあげられる存在のはずです。あなたがそう決めさえすれば。
しかし、自分を大切にすることは、分かっていてもそうそう出来るものではありません。なぜなら、自分を押し殺すことは現代社会の機構として人間の脳に深く刻み込まれているからです。
私たちは、無意識のうちに、いつも自己懲罰的に振る舞い、こんな自分ではダメだ、こんな自分には価値がないなどと思い込んでいるところがあります。
でも、きっと大丈夫です。あなたは、治る力を持っています。
ゆっくりで大丈夫。自分の声を聞いてあげられるだけの受容性、心の余裕を取り戻していきましょう。(※お急ぎの方はコメント頂ければと思います。)
今回はここまでです。
次回は、自分自身を大切にするための心がけについて見ていきます。
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