1人ではできなかったことが、仲間ができたことでできるようになった私の話
ジェンカレ1期生が卒業してから約半年が経ち、多くのゼミ生がそれぞれのフィールドでジェンダー平等社会の実現を目指して活動に取り組まれています。そのような中で、改めて1期生がどのような思いからジェンカレゼミ生になることを決め、現在どのような活動をしているのか聞いてみました。
1人目はRYOMAさんです。現在大学3年生のRYOMAさんは、経営学を専攻しており、リーダーシップ論やダイバーシティマネジメントについて学んでいます。
ジェンカレとは
ジェンカレとは、各分野のトップランナーの講義やワークを通じてジェンダーについて包括的に学び、受講生がジェンダー平等な未来を拓くことを目指す次世代のサードプレイスです。
2022年から開校され、14回にわたる講義やワーク、ジェンダー平等社会実現に向けたMAP(My Action Plan)の作成など、一方通行な講演・イベントではない独自のカリキュラムでスタートしました。その中で、昨年は約30名のゼミ生が第1期生として卒業し、現在もそれぞれが各々の分野で活動を続けています。
RYOMAさんのプロフィール
Q1. ジェンカレゼミ生になろうと思った経緯を教えてください。
ジェンカレゼミ生になろうと思った大きな理由は、2つあります。
1つ目の理由は、ジェンダーについてちゃんと学んでみたいという思いからです。
「男らしくいることが当たり前」
「異性を好きになるのが当たり前」
社会にあるそんな「当たり前」に幼い頃からモヤモヤしており、ジェンダーやLGBTQ+に関する問題についてはなんとなく興味関心がありました。ジェンカレを知る前から本を読んだりインターネットで調べてみたりはしていたのですが、断片的な知識が多く、ジェンカレの説明会で聞いた「ジェンダーについて包括的に学べる」という言葉になんとなくワクワクしたことを今も覚えています(笑)
もう1つは、ここなら自分と同じような悩みを持つ仲間に出会えるのではないかと思ったことが大きいです。大学入学後、なかなかこのような問題について気軽に話せる友人ができず「このまま1人ぼっちなのかな」なんて思う日もありました。そんな時にジェンカレに出会い、誰かと話したい、繋がりたいと思い、ゼミ生への一歩を踏み出しました。
Q2. ジェンカレゼミ生になって良かったと思ったことを教えてください。
1番は自分のセーフプレイスができたことだと思います。
ジェンカレには私の大好きで尊敬できる方々が本当にたくさんいます。時には良い刺激を受け自分が活動することへのモチベーションの源泉となり、時には日常の中でのあった嫌なことや悩みの相談を受けてくれる相手です。
ジェンダーやLGBTQ+について興味関心を持ち、学び続けること、何かアクションを起こし続けることは常に楽しいわけではありません。その中で自分がそれを続けられるのは、ジェンカレという安心して帰ってこられるコミュニティがあったからなのだと思います。
Q3. 学びになった、興味深かった講義があったら教えてください。
特に印象に残っているのは、第7講義目の『ジェンダー視点から見つめ直す日本史』という講義です。
「日本史」という言葉を聞くだけで苦手意識を持つ人も多いかなと思います。私も全く同じタイプの人間でした(笑)が、この講義を通していかに歴史の中で「女性」に焦点が当てられてこなかったか、焦点が当てられたとしても男性とは異なる観点から評価されてきたのかということを学ぶことができました。講義名の通りジェンダーの視点から日本史を見つめ直すことそのものに面白さを感じました。
また、ジェンダーの問題について考える時、過去のどのような価値観や文化が現行の社会制度や構造を作り出したのかという歴史的な観点からの分析の必要性にも、この講義を通して気がつくことができました。
このような新たな興味関心や気づきを私に与えてくれたという点で、第7講義目が特に印象に残っています。
Q4. ジェンカレで作成したMAP(My Action Plan)について教えてください。
ジェンカレのMAPでは、それぞれの生徒がより「自分らしく」生活できる学校づくりをテーマに母校でLGBTQ+に関する授業をするというMAPを作成しました。
学生時代に自分自身がセクシュアリティを理由に嫌な思いをした経験があったことから、このMAPを通して1人でも同じような境遇に置かれる生徒を減らせればと思っていました。そこで、まずは自分が所属していた学科のクラスから(最終的には全校生徒に向けて)、また母校の先生方に向けた授業をMAPのゴールとして据えて活動しています。
Q5. ジェンカレ終了後から現在までに取り組まれていること、取り組みたいと思っていることがあれば教えてください。
ジェンカレ終了後はたくさんのことに挑戦をしています主なものは次の3つです。
① ジェンカレで作成したMAPの実現
ジェンカレ終了後、母校の先生方に授業実施について相談をし、昨年の12月に最初のステップであった自分の学科の生徒に向けた授業を実際に行うことができました!
当日は、1〜3年生まで約120人の学生に向けてアンコンシャスバイアスやSOGIE、アウティングのリスクなどについて話をしました。学生の皆さんが本当に真摯に授業に参加してくれ、初めてながら非常に有意義な授業になったと感じています。
また、授業後「今度は自分の母校(中学校)でLGBTQ+について授業をしたい」と言ってくれた学生がおり、6月に中学校で約200人の規模で授業をすることになっています。そのため、現在は授業に向け高校生と共に準備に奮闘しています。
このように自分の一歩が他者に波及し、1人でも多くのLGBTQ+当事者が「1人じゃない」と思える社会実現に繋がっていけば嬉しいなと感じます。6月の中学校での授業を終えたら、今度は先生方や他の学科の生徒も巻き込んだ全校生徒に向けた授業の実施に取り組んでいきたいと考えています。
② ジェンカレの他のゼミ生と協働でプロジェクトを実施中
自分のMAP以外に「男性アクティビストを増やす会」という他のゼミ生のMAPの活動にも参加をしています。
「男性アクティビスト増やす会」は、「男性支配的な構造・制度・法律や、それらに加担する行為に対して、主体的にNOと声を上げる男性を増やすこと」を目的に、男性がジェンダー課題解決に取り組みやすい環境づくりを行なう団体です。
現在は週に1回ミーティングをしながら、男性たちにとってジェンダー課題解決に寄与するような取り組みに参画する上でどのようなハードルが存在しているのかを解明するためのアンケート調査を行ったり、実施にそのことについて話し合うような座談会の実施を検討したりしています。
③ ジェンカレゼミ生との交流
MAPに関連する活動以外でもゼミ生との交流は続いています。ほぼ私がやりたいことに付き合ってもらう会になっていますが(笑)、桜を見ながらピクニックをしたり、いちご狩りに行ったり、選挙ボランティアに一緒に参加したり、無理をせずに「会いたい人が会えるタイミング」で繋がりあっています。
Q6. あなたが考えるジェンカレの魅力を教えてください。
何より、ジェンカレの魅力は、ジェンダーを含めた多くの問題について一緒に考えられる「仲間」ができることだと思います。1人では諦めてしまうようなことでも、一緒に頑張ってくれる仲間がいればもう少し頑張ってみようかと思うことができます。その「もう少し」が積み重なった先に大きな変化、成長があるのではないでしょうか。
私もジェンカレの志望理由書を提出するまで多くのことに悩みました。
「本当にジェンカレ十分な時間が割けるのか」
「ジェンダーについて何か取り組んでみたいけど、何か明確なものがあるわけではない。それでも大丈夫なのか」
現段階では、知識不足や活動時間に対する不安等で躊躇している人もいるかもしれませんが、是非一歩を踏み出してみてください。必ず成長できます。
一緒にジェンダー平等な未来を拓きましょう!