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物を扱うしぐさ

美しい所作(3)

~手元が語る奥ゆかしき美~

物を扱う時は、
 ゆっくりと
 丁寧に
 指先を揃える
 音を立てずに静かに
 両手で扱う
 一呼吸置く
 脇をしめる
が基本です。

常に指先を揃えたしぐさをする方には品を感じます。

物を取る、持ち上げる際には指先を揃え丁寧に物に触れ、「今から取ります・持ち上げます」と認識をする一呼吸をしてからゆっくりと取る・持ち上げることをしましょう。

物を置く際には、丁寧に音を立てないように静かに置く場所に置き、「置きました」と認識の一呼吸をして、ゆっくりと手を放していきます。
すぐに物から手を放すのではなく、ここでの一呼吸も、確認と言う意味に加え、優雅さを表す効果を持っています。

割れやすい食器等や大切にしている物は、両手で包むようにして扱いましょう。
また、人に物を渡す時、受け取る時も「大切な物です」と敬意を表すように両手で扱うようにしましょう。
そして、脇をしめることも忘れずに。
脇をあけて行う動作は大げさで、がさつな印象になります。

基本、両手で扱う姿には品があり美しく見えますが、全てが両手で扱うと言う訳にもいきません。
むしろ片手だけで扱う方が美しい姿の時もあります。
基本を身に染み込ませ、自分で物を扱う意識をしていくと、どの場面では両手が良いか、片手が良いかが見極められるようになり、いっそう美しいしぐさが身に付きます。

茶道では、物(お道具)を大切に扱うしぐさが見られます。
そこには銘の付いた大変高価な物を扱う意味もあるでしょうが、物を大切に扱うしぐさの表れには、もてなしのなか、「一期一会」と言う亭主と客人の間の再び訪れることのない、この一瞬、一瞬を惜しむかのように、今この「時間(とき)」をも大切に扱っていると言う意味も込められています。

茶の道ならずとも、このように丁寧なしぐさには思いが込められている、奥ゆかしい美が伝わってきます。

手元にも美を宿せる女性(ひと)になりましょう。
        ~美は一日にして成らず~

~次回へ~


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