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読書記録

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毎月末の読書記録のまとめです。
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#美術

読書記録(2024年1月分)

読書記録(2024年1月分)

新年もうひと月経ちました。早いですね。卒展準備や諸々で時間があっという間に流れていきましたが、なかなか面白い本に巡り合えて幸先の良いスタートです。

文芸書①グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅』

世界や自分を知るためにわざわざ遠くに旅行する必要などない。慣れ親しんだ自分の家の部屋を「旅する」驚異の室内旅行記。家具やペットへの回想がメインですが、洞察に満ちた内省的な言葉が時々でてきて面白か

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読書記録(2023年11月分)

読書記録(2023年11月分)

読書の秋ということでかなり読んだと思います。お気に入りのものをいくつか紹介いたします。

文芸書①モアメド・ムブカル・サール『人類の深奥に秘められた記憶

1930年代に一冊の本を出してそれから消えた、謎の黒人作家の行方を追うというストーリー。よくある人探し系の小説なのですが、この作品は夥しい数の先例と異なっています。著者がセネガル出身の黒人作家であり、それが「白い」パリの文壇でどのような存在なの

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読書記録(2023年7月分)

読書記録(2023年7月分)

暑すぎてバテてしまい、そこまで多くは読んでいないですが、いい本との出会いに恵まれました。

文芸書①レオパルディ『断想集』

19世紀初めに活躍したイタリアの詩人で思想家のレオパルディ。厭世主義や悲観主義の括りに入れられることの多い人ですが、その穿った視線から繰り出される鋭利な断章の数々がとても面白かったです。気分が鼓舞する格言集の類では全くないですが、思索の補助輪のような形で置いておくのもいいか

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読書記録(2023年6月分)

読書記録(2023年6月分)

今月分の面白かった本を幾つか。ジメジメしていて酷かったですが、色んな出会いがありました。

文芸書①ガルシア・マルケス&マリオ・バルガス・ジョサ『疎外と叛逆』

ラテン・アメリカ文学の大巨匠ふたり、しかもガルシア・マルケスは『百年の孤独』を出したばかりの、まさに人気絶頂期に行われた対談の様子が収められています。特に面白かったのはヨーロッパ文学との距離の話。我々の文学はマジックリアリズムと呼ばれてい

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