『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観て感じる「レイ・クロック氏は悪者でマクドナルド兄弟はかわいそうなのか」
ネタバレになると思うのでまずは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観ていただきたい。
1954年アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店<マクドナルド>があった。合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わす。次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいくーー。(C) 2016 Speedee Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
(プライム・ビデオより)
見出し画像や上記のあらすじから分かるようにマクドナルドがどのように成長していったかを描いた伝記映画である。
プライム・ビデオでは2022年4月30日に公開終了が迫っており、今(2022/04/27)ならばギリギリ見れるのでお早めに。
さて、ここから先はネタバレも含めた考察に入るのでご了承いただきたい。
さて最後まで観た方は果たしてどう思っただろうか。
おそらく「レイ・クロック氏は悪者でマクドナルド兄弟がかわいそう……」という感想が大半だと思われる。
マクドナルド兄弟から270万ドルでマクドナルドを取り上げ、「マクドナルドの総売上額の1%を永久に受け取れる」という契約を紳士協定にした挙げ句に反故にし、『Big M』と名を変え細々と経営を続けていたマクドナルド兄弟の店のすぐ隣に店舗を出して閉店に追い込む。
これだけを聞くとかなりの悪者だ。
レイ・クロック氏はマクドナルドの恩恵をあずかった挙げ句、創業者を足蹴にする。
まさに『後足で砂をかける』である。
現にレビュー欄も後味が悪いという感想が多く、自分も結末を知った時は「うわぁ……」と思ったからである。
では悪者であるレイ・クロック氏が広めた現マクドナルド。
日本にあるマクドナルドも元を辿ればレイ・クロック氏が広めたマクドナルドであり、この話を聞いて私たちはこれからどうするか。
自分はこれからもマクドナルドを利用するだろう。
今週末に更新されるトミカ付きのハッピーセットをいつも通り買うだろうし、そして家族とシェアしながらハンバーガーやポテトを食べるだろう。
確かに終盤レイ・クロック氏がマクドナルド兄弟にしたことは許されるものではないが、逆にレイ・クロック氏は世界に何をもたらしたか。
身を粉にしてフランチャイズを推し進めた結果、今のマクドナルドを見ると世界中の人を笑顔にしているだろうなと感じる。
日本だけの話で言うならば全国に2942店舗あり、自分が見ている店舗だけの話をするならばひっきりなしにお客さんが利用している。
そしてお客さんだけではない、店舗の数だけ雇用も生んでいる。
マクドナルドの背景を知らなかったとは言え、マクドナルドを利用した時点で我々がレイ・クロック氏の恩恵にあずかっているわけだ。
結局、レイ・クロック氏が悪者感が出てしまったわけは圧倒的に足りないマクドナルド兄弟へのリスペクトである。
どこまで映画が本当か分からないが、様々なフランチャイズ推進提案や改善提案に対して「NO」と突っぱねられたら良い顔はしなくなるだろう。
目の上のたんこぶになっていた感は否めない。
結果論ではあるがリスペクトを大事にしていたならば今のマクドナルドはなかっただろうし、世界中の人々を笑顔にすることもなかった。
そしてマクドナルド兄弟も1961年当時270万ドルという大金を得ることもなかった。(2021年現在では2530万ドル相当)
未だにマクドナルドは細々とカリフォルニア州サンバーナーディーノで経営し、台頭する別の企業が出てきて世界中を笑顔にできていたかは定かではない。
人格者が世界を良くするとは限らない。
映画では執念と訳されたpersistenceであるが、まさにpersistenceを持ち、ストイックに取捨選択をできる人間が世界を回すのかなと感じる。
もちろん、レイ・クロック氏の全てを見習えとは言わないが、それこそ『ファウンダー』として見習う点も多い。
あまりうまくまとめることができないが、個人的には一概にレイ・クロック氏を悪者と片付けられないなと感じた作品であった。
今日はこの辺で。
ギアでした。゜ω゜)ノ