人事のプロが語る、感銘を受けた転職面接
こんにちは、GCRMの岸本です。
人事を職業で行っていると、必然的に「面接をする」ことがついて回ります。採用面接、昇格面接が代表的なもので、自らの組織では目標設定や期末評価面接といったものがあります。
私の場合、これまでにいくつか転職をしているので、自分自身が「面接される」という経験がかなりあります。ヨーロッパや中国に赴任する時にも、赴任先の総責任者から面接を受けました。
採用される立場で面接を振り返ってみると
採用される立場で面接を振り返ってみると、圧迫面接もあれば、雑談に近いもの、大半の時間を面接官自身が使ってしまうものもありました。ただ、概して質問内容は、事前に予想していた範囲のものでした。
そのような中で、記憶に残る面接があります。大学を出て5年間生命保険会社に勤務した後に受けたエレクトロニクス企業での面接です。面接官が計5名、2日間の面接でした。
初日はまず係長から、生命保険会社での経歴を尋ねられました。2人目は課長で、変幻自在に手法を変えて、私の経歴に切り込んでくるという感じでした。3人目は次長で半分圧迫面接でした。何でもかんでも否定された訳ではありませんが、フレデリック・フォーサイスのサスペンスが好きだと言ったら、原書で読まなければいけないとコテンパンにされました。
面接2日目は1週間後のことでした。別の課長から面接を受けました。生命保険会社で、私が何を考え、何を達成できたのかを非常に丁寧に尋ねて聞いてくれました。その時の職場環境、チームといったこともです。最後は役員で、リラックスした雰囲気の中で、その企業が設立した生命保険会社への、私の考えを尋ねられました。
何が応募者の良さを引き出し、そして面接満足度を上げるのだろう?
5名とも徹底して私の過去の行動や事実、知識に絡む質問ばかりで、将来の抱負といった、どのようにでも「作文」できる問いかけは全くありませんでした。
2日目の面接の後、特に2人目の課長との面接が印象深く、言いたいことや聞いてもらいたいことを、すべて話させてもらったという、非常にすっきりした気分になったことを覚えています。今思うと、レベルの高い面接手法をもとに、私の成果の再現性をチェックしたのだと思います。入社後に聞いたところでは、その課長は大学で心理学を専攻なさっていたとのことでした。
また、5名の面接のフォーメーションを見ると、①事実確認 ②ストレスチェック ③成果の再現性のチェック ④ビジネス上の視野と組織へのフィット感の確認といったように、暗黙の役割分担があったのかもしれません。
このようなことが、私にとって面接の原体験になっていて、意図を持った質問をし、事実を掘り起こすことで相手の良さを引き出すことが、採用面接の要諦という考えを持ち続けています。
皆さんはどのような面接手法をお使いでしょうか。