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中国古典から、「新年の誓いはなぜ三日坊主で終わるのか?」
中国古典から、「自分を知る、自分を動かす、人を動かす」を学ぶシリーズ第6弾。
第5弾はこちらから ☟☟☟
こんにちは、長谷川です。
新年にあたり、今年の目標や行動計画を立てた方も多いことと思います。しかし、その多くは継続して実行されることは多くありません。私も偉そうに言う資格はまったくありません。では、なぜ新年の誓いの多くは実行に移されないのでしょうか?
子曰わく、之を知る者は之を好む者に如(し)かず。之を好む者は之を楽しむ者に如(し)かず
そのやり方を「ただ知っている」人は、それを「好きでやっている」人には叶いません。
そして、「好きでやっている」人は、それを「楽しんでやっている」人には叶いません。
この章句は、皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれません。私はこの章句がとても好きです。「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、「好き」ではまだ不十分で、「楽しむ」人こそ成長していくということです。これを現代で言うと「フロー(M・チクセントミハイ)」とか「ワーク・エンゲージメント(W・シャウフェリら)」という概念の主張と似ています。
新年の誓いはなぜ三日坊主で終わるのか?
ビジネスパーソンとのコーチングをしている際、「この人、こうは言っているけどやらないな」というのが、分かる時があります。その状態から行動に結びつけるのがコーチの役割なわけですが、そう感じる時のパターンを4つに整理してみます。
行動変容を阻害する4つの K
1.感情
2.解決策
3.環境
4.関係性
最初の K は感情。こういう風になりたい、あそこを目指すと言うが、心の底では変わりたいと思っていない、もしくは、変わることが怖いと思っているケース。こういうケースは、「○○すべき」という無意識の固定観念や、「○○したほうが周囲から認められそう」という価値判断が自分の外にあることが多いように感じます。頭(顕在意識)ではそう言うけれど、心(潜在意識)ではそうは思っていない。頭(顕在意識)と心(潜在意識)が相反した状態では、勝つのは常に心(潜在意識)です。
2つ目の K は、解決策。目の前で何をやるのかが抽象的なケース。「英語を話せるようになるために、時間作って勉強します」、「部下と対話する時間を増やします」といった漠としたアクションプランを立ててしまう。「では、そのためにまずは何から始めます?」という問いを投げかけても、一向に具体的になっていかないケースが少なからずあります。私の問う力に問題がある場合も多いとは思いますが・・・。
3つ目の K は、環境。人は周囲の環境に知らず知らずのうちにものすごく影響を受けています。なので、行動を変えるとともに環境も変えた方がよい。環境を変えずに行動だけを変えようとすると、うまくいきません。甘い物を食べないようにするには、甘い物を売っているお店には行かない。甘い物を買って家に置いておかない。タバコを止めようとするときは、一時的でもいいから、お酒を飲みに行くのを止める。たばこを吸う人との接触を減らす。人は環境に影響されやすいので、行動を変えるとともに、環境も変えたほうがよい。
4つ目の K は、関係性。家族やパートナーがその変化を認めていないと、変化に向けての行動は阻害されます。「嫁ブロック・夫ブロック」が典型的なケースです。転職や退職など、パートナーの反対で断念してしまうケースは結構多い。私は大学で仕事をしていますが、就職先の決定に親の影響が大きいことに驚かされます。特に、30代くらいまでの女性の選択に母親との関係が影響を与えているケースはしばしば観察されます。
三日坊主になる可能性を減らす4つのポイント
そこで、結論です。新年の誓いが三日坊主になる可能性を減らすためには、以下4つのポイントを意識してみてください。
1.心からやりたいことを目標にする(感情)
2.目標実現のための目の前の一歩を具体的にする(解決策)
3.行動を変えるのも大切だが、環境を変えることも重要である(環境)
4.パートナーの理解を得るために、時間をかけて対話する(関係性)
※すぐに理解されなくても、キレたりすることなく時間をかけて理解してもらえるようにする。それでもダメなら、最後は自分のやりたい方向に進む。
読んでいただいたみなさんにとって、2025年も良い年でありますように!
参考資料:
吉田賢抗『論語』明治書院, 1976
マーク・サビカス『サビカス キャリア・カウンセリング理論』福村出版, 2015