曇り空は少女の憂鬱…『ベルベットイースター/松任谷由実』【思い出の曲】



松任谷由実さんの歌といえば、

『春よ、来い』や
『あの日に帰りたい』が有名どころでしょうか?


この『ベルベットイースター』という曲は

「松任谷由実さんといえば、ああね、あの曲だよね…!」

曲名がすぐにパッと思い浮かぶような

メジャーな曲ではないかもしれません。

けど、

休日の朝、


曇り空…


今日は何も予定はなく、


目覚ましをかけてもいない


朝の早い時間帯に


ぽつりぽつりと窓をうつ、やけに耳につく小雨の音で


ぼんやりと意識が浮上してくる。


重い瞼に逆らわないまま
「今日くらい
たまにはのんびり過ごそう…」

と漠然と考えながらも

うつらうつら

そのまま二度寝に落ちる。



そんな
ちょっと気だるい日の朝ってありませんか?




私にとって



この曲は


そんな朝を想像させてくれる、

妙に感情移入できる曲です。

(作詞作曲:松任谷由実
2019/4/05. 松任谷由実『ベルベットイースター』Music Video.https://m.youtube.com/watch?v=l-tEOKJVoKoからの引用) 

ベルベット・イースター
小雨の朝
光るしずく 窓にいっぱい
ベルベット・イースター
むかえに来て
まだ眠いけどドアをたたいて






何でもこの曲は

大人になる前の少女の不安定な気持ちを

曇り空や
イースターの季節を使って

表現しているとか。


絶妙ですよね…






この曲は

曲の始まり方も素敵です。


まるで深い森の中の、


澄んだ独特の空気だけがただよう静謐な空間で、


湖面に雫がぽつり落ちる音しか響かない…
くらいの静けさ。



すごく静かで…

なのに、
目の覚めるような、
凛とした幕開け。



その後に続く、
依然として静かな、



心が洗われるような美しい旋律…



「サビが盛り上がりに欠ける…」

と思われる人もいるかもしれません。


私も

初めて聞いた時は




「なんて癖の強い曲!

それにめっちゃ静か…」



と感じたものです。



ですが、

何回か聞いていると

この静けさが癖になるんですよね。








私の家には
松任谷由実さんのCDがあるのですが、

松任谷由実さんのCDを流しっぱなしにして
作業するときは、

毎回1回は聞きたくなるような曲です…

空がとってもひくい
天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節
いつもと違う日曜日なの

この歌詞を聞くと、

曇り空の、


雲間から
反射した眩しい光が少しだけ漏れて

地上に差し込んでいる様子が

目に浮かぶようです…

珍しい景色ではありませんが、

"天使が降りてきそう"という歌詞も相まって、

神秘的ですよね…



どことなくロマンを感じます☺️



どこかふわふわしている歌詞も

掴みどころがなくて良いです…


ベルベット・イースター
きのう買った
白い帽子 花でかざり
ベルベット・イースター
むかしママが好きだった
ブーツはいていこう

"昔ママが好きだったブーツ"


この表現を聞いて
この女の子はお母さんが本当に好きなんだね…
と感じます。

ですが、それだけでなく、

どこか小さな不安を覚えるのはなぜでしょうか。



この子の

お母さんは今どこにいるのでしょうか?


恐らく

会えないところにいるのでしょう…

この曲の中に

少女以外の登場人物が暮らしている気配は

感じられないからです。



この曲を聞いていて
ふわふわしていて掴みどころがなく感じるのは、

この曲に
この子以外の人物が誰も登場しないからではないでしょうか。






この曲が

少女の
空想の世界の出来事のように
感じるからではないでしょうか?





憂鬱な気分の少女。



彼女は何を抱え込んでいるのでしょうか…


けれど、
何となく


この少女が感じている憂鬱な気分は

寂しさからくるものではないでしょうか?


それも一時的ではない、
彼女は
もうずっと何年も寂しい思いをして過ごしているのです…



そんな憂鬱な気分の少女ですが、


"今日はいつもと違う日曜日"。


白い帽子を被って

精一杯お洒落をして

"今日"どこかに出かけることを楽しみにしているようです。

突発的に出かけるのではなくて、

前から決めていた予定だと

少女の様子…歌詞の端々から感じられます。


日々の生活の中に母の面影を探して

母親の好きなブーツを履いていこうとしたり
まだ甘えたい盛りの少女…



そんな少女にとっての一番の幸せは他でもない、


母親に会えることではないでしょうか?







この日は


彼女が

何かの事情で離れ離れになってしまった、
母親と

会える日なのではないでしょうか。




彼女はこれからどうなるのでしょうか…

結末が見えないままホワイトアウトしていくのが

この曲をよりミステリアスにさせています。



何かが上手くいかなかったとき、

憂鬱な気分の時に聞いてみると

より深く主人公の気持ちがわかるかもしれません。


私にとっては

聞いていて

目が覚めたと思ったら、まだ夢の中だった…

みたいな感覚になる不思議な魅力のある曲です。

空がとってもひくい
天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節
いつもとちがう日曜日なの
ラー、ララララ………

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