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【速報レポート】ADHD特性をハックする、キャリア開拓の秘密|障害学生対象オンラインOBOG訪問キャリアセミナー 岩切健一郎さん

障害学生ライフキャリア支援プロジェクトGATHERING(ギャザリング)では、3月1日の就活解禁に先駆けて、さまざまな障害当事者の先輩の就活の話を聞くことができるOBOG訪問形式のオンラインセミナーを開催しています。

この記事では、3月7日に開催された岩切健一郎さんへのOB訪問(主にADHD等発達障害学生向け)の一部をお伝えします!

岩切さんプロフィール写真。ウェーブのかかったショートカットヘアーに黒縁メガネ。素敵な笑顔です。白シャツも爽やか。
岩切健一郎さん

1986年5月1日生まれ。宮崎市出身、新潟在住。新潟大学卒業後、コンサルティング会社から外資系保険会社営業職を経て、現在は保険代理店にて勤務(今年で業界12年目) 。ADHDの診断を受けたのは、外資系保険会社に勤務していた29歳の時。2020年5月からは発達障害専門のFP事務所、合同会社ひなたを設立し経営。 主にSNSやネットからの問い合わせにて全国で活動中。年間100世帯以上のご相談に乗る。 2022年12月、企業に働きかけることで発達障害の職場環境を改善するために合同会社mojoを設立し活動中。 また(株)DERTAにてSNS運用やマーケティングの仕事も請け負う。

コンサルティング会社に1度目の就職

最初の就職先はコンサルティング会社でした。はじめの方は仕事が全然上手くいかなくて、成績も下から数えた方が早いくらい。そこから試行錯誤して、3年目には営業成績がトップになりました。

コンサルティングと聞くと、企業の社長さんに総務とか財務についてアドバイスするような仕事を想像すると思うんですが、実際はほとんどが営業です。アドバイスする相手も自分で見つけてくるんですね。「御社の顧問にならせてください」「契約をしてください」とお願いしなければいけないので、まずは営業が必要なのが一般的なコンサル会社です。この営業をするにあたって、本当にたくさんの失敗をしてきました。例えば、話しすぎてしまう。聞かれたこと以上にたくさん話しちゃって、結局何の話だったか分からなくなってしまう。あるいは、まだ相手の話が途中なのに喋りたくなっちゃって割り込んでしまうとか。こんな感じだったので、営業が全然うまくいかなかったんです。そこで、今までの営業のやり方を見直すことにしました。

営業に必要な力って具体的にどんなものなのか考えてみましょうか。営業と聞くと、1対1で圧力をかけて「これ必要ですよね」「お願いします、入ってください」って話をする、テレビに出てくる営業マンみたいなイメージが強いかなと思うんですが、これがすべてではないんです。話を聞いてもらう力、説明を上手にする力、そのお客様が欲しいものを探る力、それを提供する力。営業には総合的な力が求められるんですね。そして、この営業力は全ての仕事において必要になります。内勤であっても、誰かにお願いごとをするときに気持ちよく動いてもらうために必要ですし、システムを作る人であれば、仕事を取ってくる営業さんとの間で納期を交渉したりするのに必要になるんです。

ADHDの方がこの営業力を身につけるためには、「余計なことを口に出さない」「ちゃんと話を聞く」。この二つが重要です。余計なことを口に出すと、失敗する確率がぐんと上がっちゃいます。余計なことは言わない、途中で口を挟まない。でもずっと我慢するのも疲れてしまうので、頭の中で会話したり、メモを取りながら聞いたりして、相手の話に集中できるように持っていくんです。忘れそうな質問があってもその場で口に出さないで、メモしておく。営業力と言っていますが、空気を読む力と言えるかもしれませんね。これが非常に大切になります。

営業のスタイルを変えていったこともそうですが、その他にも自分のアイディアを活かして提案や仕事のやり方を工夫したり、マーケティングを意識したり本もたくさん読んだりと、さまざまな努力をしたことなども影響しています。あとはとにかく休みなしに働いていたことも影響して(笑)、3年目にトップの営業成績を獲得できました。


生命保険会社への転職

その後、私が所属していた外資系生命保険会社の営業職は、お給料が完全歩合制でした。ほとんど個人事業主と同じ働き方ですね。お客さんに会いに行くときのガソリン代とか、喫茶店でお話するときのコーヒー代なんかもすべて自分持ちなのでとてもお金がかかります。首を切られることはないですが、お客様がいなくなって収入もなくなって辞めていく人は沢山います。

完全歩合制のメリットの一つは、ノルマがないので自由な時間で働けること。とはいっても、研修などをやらなくてはいけないので朝7時半には出社していました。他には、収入が青天井なのも良かったですね。でも注意しなければならないのは、大金を手に入れた時に、お金に対して正しい価値観を持っていないと破滅しちゃうってことです。あればあるだけ使ってしまう方とか、お金の管理が苦手なADHD気質を持ってらっしゃる方にとっては特に危険だと思います。これは保険会社に限らず、大きいお金が入ってくる場合は気をつけた方がいい部分ですね。


二度の転職を経て、現在の働き方

現在は5つの仕事を並行してやっています。1つは保険の販売の仕事。2つ目は、発達障害専門のFPとして、お金周りのことについてライフプランを立てたりとか、セミナーに登壇させていただいたりとかしています。3つ目はライティングの仕事ですね。週刊誌に寄稿したりしていて、12月頃には本も出る予定です。4つ目はSNS運用で、企業とか個人のアカウントを運営しています。最後の5つ目として、発達障害理解のための研修を行う企業を立ち上げています。企業の規模を問わず、発達障害への理解が足りないところがほとんどですので、発達障害の方との話し方や指示の出し方などを伝えていきたいと思っています。

このように色々な方面で働けているのは、本業の会社が自由を認めてくれているということがとても大きいですね。もし多様な働き方をしたいなら、ある程度融通が効く所を本業の会社として選ぶと良いと思います。また、はじめから全く新しいことを一気にやるのではなくて、まずは目の前の仕事に打ち込んでいくことが大切ですね。僕の場合も、一社目、二社目とそれぞれの仕事に打ち込んで、少しずつできることを増やしていきました。全く繋がりがない単発の仕事ではなくて、例えば「営業」みたいに軸を一つ持って、その幅を広げていくような意識を持つといいんじゃないかと思います。


————就活で苦労されたことはありますか?

就活していた当時、面接の通過率は9割ぐらいで、実は苦労したことはあんまりなかったですね。それは独自の面接対策があったからだと思います。僕はADHD気質があるからか思考が飛び飛びになりがちなんですが、その思考のクセを逆に利用することにしました。あらかじめ、飛び飛びになる思考をマインドマップにしてまとめておいたんです。自分が学生時代にどんなことをやってきたか、どんな事を考えていたかというエピソードから、「リーダーシップ」「素直」のようなキーワードや要素をどんどん連想していく感じで。面接のときには、それぞれの企業が求める要素に合わせて、同じ要素を持ったエピソードを伝えてアピールするんです。その会社の理念や大切にしている事と自分との間に共通のキーワードがあることを示しながら、自分のエピソードをぶつけていくことで面接を乗り切っていました。自分のシナプスと会社のシナプスがつながるような瞬間は気持ちがいいし、相手にも良い印象を与えやすくて僕には合っていました。


当日は岩切さんのADHDらしい危機的エピソードや、それを経て編み出した自身の働き方についてのお話がわかりやすく、ADHDではない私でも、今後の活動の刺激をもらえるような時間となりました。まだまだ書きたいことはありますが、岩切さんのお話はぜひセミナーで直接聞いてみてください!

ということで、3月15日に開催予定の岩切さんをお招きした特別オープンセミナー「キャリアとお金の考え方」は、すべての皆様にご参加いただけることにしました。また、申込み期日も当日まで受け付けることになりました。

今回のセミナーでは、この記事でも少し触れた「お金の管理」について、更に詳しくお聞きします。奨学金って社会人になるとどうするの?障害者雇用におけるお給料の心配は?障害年金ってどうなるの?などなど、障害とキャリアに関連したお金にまつわる疑問を少しでも解消していただく機会にしてもらえたらと思います。
とてもお話がわかりやすく、そして楽しく伝えてくださる方なので、みなさんのお役に立つこと間違いなしです。ご興味ある方はぜひお申し込みください!

特別オープンセミナー「キャリアとお金の考え方」開催概要

日時:2023年3月15日(水)19:00〜21:00
会場:オンライン(YoutubeLiveを使用・申込者限定公開となります)  
   ※日本語字幕を設定する予定です。
参加費:無料
ゲスト:岩切健一郎さん

お申し込みはこちら
すべて下記フォームよりお申し込みをお願いいたします。
https://forms.gle/xsLjrtYLtxRK1ykYA
締め切り:3月15日(水)18時


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