【読書感想文】気になったワークマネジメント本2冊。読んでみた感想

僕は坂井風太さんという方がかなり好き。

前職では、会社全体としての人的トラブルが多いというか
とにかくどうしようもないしょうもない仕事とか
自分が「何やってもしょうがない」と思うような
組織的によくわからない仕事が多く降ってきていたため
ストレスが溜まることも結構あったのですが

偶然SNSで流れてきた坂井さんが、自分が思っていたモヤモヤ感を
ピタッと言語化されているのを見て
なるほど〜と思って、坂井さんのyoutubeなどを見るようになりました。

また、この人のめちゃくちゃ調べたし実践した結果
「両者の意見はわかるけど自分としてはこの立場をとっている。」

みたいな雰囲気を感じ取れるのもすごく好きです。
ものすごく深掘りしたからこそ、いろんな人に刺さったのかなと思います。

この人、無料で公開している資料ですら莫大にあるので
すごく勉強になるのですが、
YouTubeの動画の中で
「ワークマネジメント(行動管理・KPI管理)でおすすめなのが、KNOWLEDGE WORKER MANAGEMENTとHIGH OUTPUT MANAGEMENTです。」
と語ってらっしゃいました。

※ただし、この動画ではもっと重要なのはピープルマネジメントであるとご指摘されていますし、本動画の論点は全くもってこれらの本ではありません。

せっかくですし、最近就活で企業のマネージャーと話す機会もちょっとあり、どんなもんなのかな?と思って2冊とも買ってみて読んでみました。

ボリュームから言えばHIGH OUTPUT MANAGEMENTの方が多く、本当に源流的なイメージというか、ちょっと経営哲学的な考えなのかな〜とも感じます。

KNOWLEDGE WORKER MANAGEMENTは、発展・応用編のようなイメージでした。

僕の学びのことも含めて、軽く内容を書いてみようと思います。


HIGH OUTPUT MANAGEMENT

概要

この本の著者は、アンドリュー・S・グローブというインテルの社長が自身の会社を運営している際に実践しているマネジメント理論について書いてある本で、
実際に一番初めに発行されたのは1984年らしく40年前のものです。
インテルというメーカーの、特に工場での生産をベースにしたであろう考え方と、人材の管理方法・組織編成の方法について詳細にかつ例えを綺麗に入れてくれていて全くマネジメントのことを知らない僕でも比較的わかりやすかったです。

印象に残ったこと

この本で印象的なのは、工場の生産ラインの考え方を大前提にしていて、いかに各工程のどこに注意してモニタリング・チェックする工程を設け、またその頻度をコントロールするのかということが前提に置かれているところです。

マネージャーの仕事のアウトプット(成果)は、他のメンバーのアウトプット量を最大効率化するために、自分の業務を最適化することにあるのだそう。

そのためにはいかにしてプレーヤーである従業員のパフォーマンスを視える化して、もっとも付加価値の低い段階でモニタリングをしながら、そのモニタリングのフェーズをその人の仕事内容を見て調整していく必要があるみたいだ。

この本で頻出していて重要そうな言葉が3つあります。
【ブラックボックス】
原材料から、労働力が加わり、商品(サービス)として提供されるというもの。ここの「労働力」をどういう方向性で使うのかが重要であると本著で述べられている。

【てこ原理】
エネルギー(労力)をかけた時にどれだけの成果が出るか。これを様々なフェーズに当てはめて考えることが重要であるということらしい。ここを見極めてマネージャーは自分自身や従業員、業務アウトプットを調整するため結果が常にブレると書いてある。

【リミティング・ステップ】
すごく簡単にいうと「納期」。ただ生産活動における重要な納期のことであり、営業で言えば一番大切なプレゼン資料を1週間で仕上げるために、見積もり(金額試算)・各部門との調整・上長への確認など様々な工程をどのように進めてクリアにして、納期に間に合わせるかを考えるという思考っぽい。

とにかくこの考えが土台にあるように感じました。
この考えをとにかく個人〜企業にまで拡大していっているのが本著の特徴な気がします。

こんなに昔の本であるのに、僕の前職で去年くらいから急に言われ始めた「1on1」の重要性を主に二つ説いています。
1つは従業員に密度の濃いミーティングを設定させることによって
能動的な課題解決やノウハウ提供をマネージャーに提供することを
強く意識させるようにすること。
もう一つはトラブルを発見することにあるみたいだ。

ただ、それもあくまで手法の一つであり、他のコミュニケーション手段を選ぶことも重要で、とにかくてこ原理に基づき最も効率の良いアクションをとるべきだとも書いてあります。

そして、マネージャーは部下に責任を譲渡することについても言及されていて、その見極めもフェーズによって変わるので非常に重要だと説いた上で、組織図における理論も展開されています。

工場の考え方に則り
いかにブラックボックスでの工程を
自社の強み(経営理念など)を最大効率化するための
リミティング・ステップを見出し、てこ原理の考え方から
いかに余計な労力をかけずに組織図面に落としていくか。
これが重要だと書いてあります。

そうなると組織図には正解はないものの、企業が一つの目標を掲げているのであれば、「使命中心方式」と「機能別方式」の両方の特徴を持つハイブリッド型が好まれるそうだ。
使命中心型というのは、すべての部署が類似する決定権を持っていることによって、ミッションに対して柔軟な決裁権(責任)がある代わりにサービスのクオリティを担保しずらいというタイプで、
機能型はその反対。サービスのクオリティを担保する代わりに柔軟な決裁権がなく、部分最適化ができないということだ。

これらを組み合わせると、2重所属するマネージャーが現れ始めるのだそう。
イメージで語られているのは、地域の牧師さんだけど、プロテスタントの会員であるみたいな感じらしい。
詰まるところその土地の住民のことをよく知っていながら、プロテスタントのミッションをきちんと理解した上で布教活動している人ということになる。

実際、僕の本著に関する理解度はかなり低い。
名著によくある理解に時間をかけないといけないやつの典型例に近い気がする。
なので、現在の解釈も二度三度読んでいくと変わりそうだ。

でも、モニタリングの観点や納期・目標を据えるということに対する意味や考え方、そして定点観察という手法においてもコントロールがいるという意味では
大変勉強になった。

そもそも何かを決めることは、何かをしないということを決めることであるという言葉は特に頭に残った。
新しいことを始めるためではなく、何かを止めるために意思決定を行っているという著者の考え方は、今の僕に特に必要な概念であるような気もする。

頭の中に染み込ませるにはかなり難しい概念だが、そうじるとこの本はかなり良かったと思う。ただ、経営者向けの本であるような気もする。社長クラスの決定権がない人だと興味が湧かないテーマもそれなりにある。

ただ経営側に近かったり、人事の
人間は頭に入れたほうがいい本だなとは思う。

KNOWLEGE WORKER MANAGEMENT

概要

すごく乱暴に言えば、すべての部門を一企業として捉えるように仕組みを作れという内容の本。
この本はいわゆるアウトプットを定形で測ることの難しいホワイトワーカーの仕事をどう評価するのか?というところから出発している本です。

結論から言えば利益の考え方として人件費を固定費として捉えるところを、
そのプロジェクトに投資した人件費分として変動費として計算することホワイトワーカーの労力をプロジェクトごとに見える化させることで業務効率化を測るというものです。

おそらく考え方にかなり近いのは、副業で委託された動画を編集している個人事業主がどうやって生産性を高めているかを企業に当てはめたような、そんなイメージです。
1本5000円の仕事に対して10時間かかっているのか、30分で終わっているのかで時給換算すると全く違う。こういう考えを全てにおいて適用させてみよう。
そんな内容かと今の所思っています。

印象に残ったこと

これは営業をやっている人、特に決裁権が大きい営業をやっていた人だとかなりわかりやすい内容だなと思ってしまいました。
営業の仕事が1つの契約をとってくることであれば、その契約にかかる労力は、事務処理的には大体一緒です。

それでも売り上げが数千円〜数千万円まで違うことが僕ではありましたので
それにかけている労力一緒でも、生産性は全く違うよな。
と常日頃から思っていました。
だからどの営業も基本的には自分が想定できるところの、でかいところを狙うんです。笑

ただ、確かに企業としては固定費で考えてしまうところをプロジェクトとして変動費、仕入れ値として計上することで生産性を見える化するというのは面白いなと思いました。

そしてそれをすべての部門、いわゆる管理部門や企画部門にも適用しろといっているのです。
そうすることで、彼らも営業として活動することになり、部門内の生産性を意識せざるを得なくなるということでした。

詰まるところ、企画部門が営業部門のために提出する顧客アタックリストを「仕入れ」として営業部門は企画部門から買います。そして、そのリストの質が悪く、結果がでなければ「リストの値引き」や「返金」のような交渉をしても良い環境にするのだそう。

もちろん、企画部門もこの「リスト作成」のプロジェクトの生産性の管理を、プロジェクトごとにしているので、このリスト作成のスピードが遅く、かつ質の悪いものであれば改善しないと部門運営において「赤字」になってしまうわけです。

だから企画部門が提供するサービスは常に改善されていかないといけないし、営業部門が満足する商品を開発するために必死にならないといけないという良いサイクルが生まれます。

これらはすべて、人事部門・経理部門などにも当てはめられており、とにかくすべての部門が自分たちで経営と運営を小規模ながら繰り返している企業になるわけです。

こうなることで、非営利的部門の取り組み方が変わるのだそう。
こちらも一方的な僕の理解であるのと同時に、まだ理解ができるのですがその分勘違いも多そうなのでまた読み直さないとな〜とは思います。

ただこちらは先ほどの本よりも抜本的に組織を編成し直す際にエネルギーがいる概念だと思いますし、こちらのマインドを非営利部門にいた人たちに意識させ切ることはかなり時間がかかるとは思います。

ただ、見ていたら夢のような仕組みだなと、こういう組織にいると面白いだろうなと感じてしまいました。

本の内容と前職との仕組みを比較してみて

学生の頃、こんな本を読んでも「ほ〜ん」くらいで何も思わなかっただろう。
ただ、今は違う。意外に比較ができる。

HIGH OUTPUT MANAGEMENTと比較して

前職の組織は、まず「機能別方式」の組織図だったが
営業色が強かったため、途中まではハイブリッドとも取れるような編成をしていた。
いわゆるアフターサービスの部門も、営業部門に入っていた。
ただそうするとトップのマネージャーが下手をすると50人くらい部下がおり
それらの管理があまりにも膨大だということで分離した経緯がある。

そして、うちの会社は親会社があったため
基本的なマネジメント施策はすべて親会社の意向に沿ったものになっていた。
なので1on1などの最近はやり?なのかそういった概念が急に入ってきて
マネージャーの業務を圧迫していたことを覚えている。

実態はどうか。ただどうしようもないタスクとして
無視しているか、やってる体でしかやっていないマネージャーしかいなかった。

この本の理念から考えると、この1on1や自分のような社員の観察においてもマネージャーがコントロールして頻度の調整をしながら社員のアウトプットを最大化させる必要がある。

ただ実際のところはできていないというよりも、本著で出てきていたような管理部門が調査しても良いような内容がすべて現場のマネージャーに降りてきていたため、ぶっちゃけ部下のアラートを見る余裕はなさそうだし、カスタマイズするなんていう柔軟な対応も明らかに難しそうだった。

そして特に良くなかったのはこの機能別方式の組織体制であったような気がする。
柔軟性がなく、とにかく決まったことを現場にタスクとしてとにかくおろしていくことでマネージャー手一杯。
なので大体のマネージャーが現場からの出なため、一番簡単でクリティカルな売上の管理を徹底するようになっていたのかなと思う。

本当に、人のマネジメントをするんじゃなくて、上から落ちてきたエクセルの数字を管理するだけで手一杯って感じ。

KNOWLEGE WORKER MANAGEMENTと比較して

こちらは良くわかる。
営業部門での社内売り上げで運営していた部門が確かにあった。
ただ、それぞれのプロジェクトに関する生産性の意識はなく
結局のところただの受動的な生産しかしていないため
アウトプットの質がどうであれ彼らのデメリットはほぼなかった。

なんなら自社売り上げで、営業は彼らに頼るしかない。
そのため営業部門に強気で交渉してくる。
そのくせ自分たちのデメリットになる内容になると
断ってくるかタスクとして塩漬けにされるため
営業はいかにして彼らと信頼関係を気づき
人の情という縛りでなんとかするか
これを常に意識する必要があった。

僕はこの現象の理由を、KPIが部門ごとに違っていて
仕事に対する見え方が違うからだと常に思っていた。

特に、管理部門と営業部門は見えているものが全く違っていた。
営業はとにかく売り上げを上げるために活動しているのに
管理部門はとにかく売り上げを残すための活動をしている。

健全ではあるのだが、不健全に仕入れを絞りすぎたりするので
結局歪に感じることがすごく多かった。
こんなこともあり、ある意味普通だから
どうしようもないことだとも思っていた。

ただこの本の概念が入ってしまえば、
社内の全てにおいて顧客関係を築くことができ
十分な交渉とサービスの向上を期待できる。
全社が仕入れと売り上げという概念を意識することができるため
かなり意味合いが変わるだろう。

その代わり、評価の方法が全く違う概念に見えるので
全員がものすごい勉強をすることになりそうだとも思うし
ルート営業のような体系の商売だと
なかなか生産性が伸ばしづらく評価も難しいようにも思う。

最後に

ぶっちゃけ、全くのマネジメント無知の僕が読んでも
納得するし、すごい奥深い良書だったと思う。

ただ、両方ともものすごくエネルギーのかかるマネジメント・評価方法だし
この本で既存企業を改革しようものなら半端ではない労力をかけないと
実現は難しいだろうと思った。

ただ、これらを考えていくと
想像以上に経営とは難しく、人や仕事を管理していくというのには
変数の絡み方が複雑だし、捉え方一つでここまで目線が変わるのだなとも感じた。

特に組織図なんてものはぶっちゃけどうでもいいだろとか思ってみていたものの考え方がガラッと変わりそうだ。

僕にマネジメントの機会があるとは到底まだ想像がつかないが
それ以上に就活のために、マネージャーの意図を汲む必要もあると思うし

坂井さんの考え方の源流を少しでものぞいてみたいとは思うので
引き続き勉強はちょこちょこして、今回みたいに残していければいいなと思う。







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