プロセスを愉しむ農業と結果を愉しむ農業 ~子ども食堂支援の気づき~
農業メンターの方からの依頼
ちょうど仕事で松山市に行って自宅に向かって高速道路を走っていた時に、携帯着信があり、ハンズフリーで会話をしたのが、農業メンターの方でした。
その方は普段から私の子ども食堂への食材提供に協力してくれていて、農作物を提供してくれています。
今回は蕗(ふき)や茗荷(みょうが)、生姜など日差しに弱い農作物のグリーンカーテンとして栽培しているぶどうが鈴なりに出来たので収穫に来てほしい・・と言った依頼でした。
まずは、子どもが食べて美味しいと思ってくれるか・・実食してみてほしいと言われたので、帰りに圃場にお邪魔しました。
急ぎだったのは、台風の進路にあり、数日のうちに台風が通過するとぶどうが落ちてしまう可能性が高いからです。
品質の高いぶどうが出来る理由
圃場に着いて、ぶどうを見せてもらいました。品種は3種類ありましたが、最もたくさん収穫できそうなのが「ナイアガラ」でした。
同じく緑ぶどうの代表格「シャインマスカット」。
そして、粒が小さく、着色不良が多いので収穫しなくてよい(そのまま圃場で廃棄する予定)と言われたのが巨峰でした。
グリーンカーテンのためのぶどうなので、水やりもせず、ほとんど剪定もしない。1,2度植物由来の薬品(有機農薬)を少量散布しただけで、種抜きや果実の肥大化用のホルモン剤(ジベレリン処理)もしていません。
そんな状況のぶどうなんですが・・・
「甘い!」
「味が濃い!」
「うまい」
正直、ここまでとは思いませんでした。
普段作っている野菜のクオリティが高いので、一定の水準を超えるぶどうだろう・・とは思っていましたが、
「この人が、それなりに力を入れてぶどうを作ったら、ぶどう農家のクオリティを超えてくる」
と感じました。
昔ながらの農業方法と現在の新しい農業をうまくミックスしながら(ネットで検索しながら)研究熱心な方なので、仮説検証を繰り返して、美味しい農産物を作り続けています。
ぶどうの提供先
私にぶどうの収穫を依頼してくれたのは(収穫したぶどうは全量寄付していただいています)子ども食堂や福祉施設等に提供することで社会貢献として活用されることに賛同していただいているからなのですが、果物は青天井で価格が上がり続けていて、一般家庭でも季節の果物を買うのは高根の花になってきています。
私の肌感では(スーパーの小売価格)コロナ前の倍ぐらいに上がっています。(この季節では桃、ぶどう、梨、メロンなど)
ちなみに7月の消費者物価指数ぶどうBは172.1で、食品の中で最も高い指数でした。
子ども食堂にせよ、自立支援ホームや若年グループホームにせよ、果物を購入する余裕はありません。それでも季節の果物を食べさせたいですし、子どもたちも食べたいと願っています。
なので、私としても願ったり叶ったりなのです。
提供先は新居浜市内子ども食堂(中村松木新居浜子ども食堂、角野子ども食堂、宮西みんな食堂、川東みんな食堂、ねこの手子ども食堂、オレンジキッチン上原子ども食堂)四国中央市子ども食堂(子ども食堂のあ)自立支援ホームてぃーだ、グループホームまぜ、放課後デイサービスえーる、えーるきた、えーるいーすと・・・3日ほど収穫して12か所に提供に伺いました。
毎日1時間ほど収穫してから(仕事帰りなど)翌日朝、配達してから出勤みたいな感じです。
プロセスとコンセンサス
配り終わって、未だ圃場に収穫しきれていないぶどうがありました。
翌日の朝、出勤前にぶどうの収穫に行くことを妻に伝えると、思わぬ回答が返ってきました。
「収穫するのが好きなのね」
別に嫌味でもなんでもなく、私の家には家庭農園もありますが、作り始めていつも草刈だけになり、うまく農産物を育てられないのです。でも農家の方から収穫の依頼があればいつも嬉しそうに出かけていきます。時間も自分で作って出かけていきます。
逆に今回提供してくれた農業メンターの方は、収穫に興味が薄いのです。
農業は仮説検証の繰り返し。といつも言われていますが土づくりから拘っていて菌床椎茸の榾木や、地元の有機たい肥、回虫など独自に研究しながら一人で勤しんでいます。
収穫物が出来始めて、さあ!収穫できる! タイミングになると、仮説検証が終了し、収穫するのが面倒になるのです。
次の仮説検証に気持ちが行ってしまうんです。
産直市に安すぎる値付けで大袋に入れて販売していますが、収穫の手間を省いて(とはいえ見た目を良くするように工夫されています)売り切れるように出荷されています。
※高品質で安心安全な農作物を価格破壊的な安値で出荷されるので他の生産者は快く思っていない方もいらっしゃいますが(;^_^A
まとめ
収穫をさせていただいて、必要なところに提供する・・・とてもありがたいことだと実感しています。
収穫するのが嫌い・・と言ってしまえば失礼な話ですが、農業メンターの方は野菜作り、果物づくりを楽しんでいて、一部の収穫は(間に合わないから・・といってくれますが)私に依頼してくれます。(しかも収穫物は全て提供してくれるのです)
何かいいことしている気分になっていた私ですが・・・・。
妻のひとことの気づきで、
「果物狩り」「野菜の収穫体験」が
つくづく好きなんだな~ と理解しました。
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