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孤独と孤高を極めしものが次世代を制す

【超訳】社会的課題とビジネスは両立する。昔は少数派で取り上げられなかった問題を、ジブンゴト化しやすい時代であり、多くの共感を呼び込むことができる。まだ誰にも発見されていないアジェンダを最初に掲げたものがリーダーとなり、社会を牽引する時代、それがクリティカルビジネスパラダイムなのだ

クリティカル・ビジネス・パラダイム 山口周
超訳まとめシート

noteのアウトプットを書く際、まずこのまとめシートから埋めるようにしている。書き始めたシートがバシッとハマると非常に心地がよい。この書籍は何の迷いもなく、筆が進んだケースだ。私がいま取り組んでいる「ハラスメント」という課題もある意味での「クリティカル・ビジネス」に該当する。しかし、何でもハラスメント扱いで世間が騒ぎ、大衆化しすぎたこのテーマに、どうやって批判的な視点をいれ、視座を高めることで、ビジネスとして格上げすることができるのか。今回は論旨に沿って紹介していきたいと思う。

クリティカル・ビジネス・パラダイムとは?

WHAT=
社会運動・社会批評としての側面を強く持つビジネス

WHY=
従来のアファーマティブ・ビジネス・パラダイムでは競争優位も持続可能性も保てないから

HOW=
哲学的・批判的な考察によって新たなアジェンダを生成し、アジェンダに共感して集まったアクティヴィストと共同することで


従来のマーケティングとの違いは、「顧客便益の向上」とは関係ないことに主眼が置かれている。事例で紹介されているフェアフォンの哲学には、サステナビリティそのものかしか説かれていない。そもそものビジョンに顧客や市場という概念が含まれていない。彼らが追究する「『修理する権利を取り戻す』という社会運動」というメッセージに強い支持を得ているのだ。

クリティカル・ビジネス・パラダイムにおいては、顧客は欲求を満たす対象ではなく、むしろ批判・啓蒙の対象となり、ステークホルダーは経済取引の対象ではなく、社会運動を担うアクティヴィストという位置付けになるのだ。

ソーシャル・ビジネスとクリティカルビジネスの違いとは?

社会運動は原理的に必ず「少数派から始まる」ことにある。多数派のコンセンサスが取れているアジェンダは、推進のモーメンタムは生まれており、多数のコンセンサスが取れた途端に後乗りして声高に主張するのは実にダサい振る舞いである。本当に考えるべきことは、少数派である立場を踏まえて、

「SDGsの17個は実行あるのみ。あなたは18番目に何を掲げるか?」

結局、これはブランディングの話につながる。ブランディングというのはアジェンダの旗取り合戦であり「最初にそのアジェンダを掲げた人・組織」のものになる。この話は、「売れるもマーケ 当たるもマーケ」(アル・ライズ/ジャック・トラウト)のマーケティング最重要項目として挙げられて、時代を経ても変わっていない。詳しくはこちらの記事もご覧いただきたい。

重要なのは、「問題」は「現状」の中に内在していない。私たちが認知的に生成して、初めて問題の存在が詳らかにされる。「あるべき姿」を提示し、多くの人の共感を得て新しい問題を生成してビジネスを生み出すことがクリティカル・ビジネスなのだ。

本当の顧客志向は顧客の要求水準をアップデートするような教育や啓蒙

購買意欲を喚起することだけを目的にビジネスを成功させる企業はもはや時代に支持されない。顧客はその要望、欲求を伺って充足させるべき相手ではなく、ライフスタイル全般に関わる思考・行動様式を改めるために批判・啓蒙の対象なる。顧客は社会運動の価値共有者としてのパートナーであり、ライバル企業は同じ社会問題の解決を志す同志の側面をもつ存在になるのであり、ど定番3Cの考え方もアップデートした見方が必要といえそうだ。

アルベール・カミュの「反抗的人間」の言葉が紹介されている。「われ反抗す、故にわれらあり」。「私」という孤立した個人が、反抗を通じて「私たち」という連帯を生み出し自らの価値観を社会に表明することから全ては始まる。

クリティカル・ビジネス・パラダイムによる構造転換

資本主義においては、「社会問題」は解決されにくい。なぜなら、「問題の普遍性(≒重要度)」と「問題の難易度」のマトリクスで考えた場合、利潤の大きい部分から優先的に投資せざるをえない。そうなると、必然的に利潤が少なく目先の難易度が高い社会問題は置き去りにされがちだからだ。

しかし、物資的な余裕、情報量の増加により、「小さな個人的問題」と「大きな社会問題」を多くの人が自分ごととして捉えらるようになってきた。すると何が起きるか?経済合理曲線は無効化し、市場原理の外に追いやられていた問題は内部で解決を図ることが可能な問題に転換されるわけだ。他山の石だった社会問題を自分ごと化できる機会が増えたことは、少数派の声や課題にこそ、ビジネスのヒントが詰まっていることを意味する。

さらに驚くことに、私たちの社会は「未来の問題」を「現在の問題」として取り組むことが可能になった。このことは「未来の他者」の問題をいかに先取りできるか、先行者利益をめぐる戦いを制することがビジネスを制すると
言い換えることもできそうだ。

アクティビストのための10の弾丸

最後にアクティビストになるために紹介されている手法を紹介しておきたい①多動する
②衝動に根ざす
③難しいアジェンダを掲げる
④グローバル視点を持つ
⑤手元にあるもので始める
⑥敵をレバレッジする
⑦同志を集める
⑧システムで考える
⑨粘り強く、そして潔く
⑩細部を言行と一致させる
山口周氏は私の好きな著者の一人、過去のレビューも一読の価値ありです!

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