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私に初めて彼女ができた話


高校時代、彼女ができた。
私にとって初めての恋人だった。


私は私のことを好きな人が好き。彼女が自分のことを好きだとなんとなく気づいていたから、告白は二つ返事で了承した。同性同士とか世間の目だとかは、その時の私たちにはどうでも良かった。


いざ付き合ってみると、いわゆる「普通」の恋愛とは違った大変さがあった。

当時の彼女は男の子のような見た目だったし、男の子になりたがっていた。スポーツも万能だったので、同級生の女子たちが「かっこいー!」「(彼女)となら付き合える!」とふざけて言う。

冗談じゃない。もう私と付き合ってるよ、なんて同級生に直接言うことなんかできるわけもなく、やり場のない怒りを彼女にぶつけてしまうことがままあった。



一方、彼女の方は男にも女にも嫉妬、嫉妬、とにかく嫉妬。私に近づく人には誰であろうと暴言を吐いたり、睨みつけたりする。そのせいで、一時期私の周りから友人が離れていった。もちろんこの出来事も喧嘩の火種になった。


それでも、幸せな時間もたくさんあった。かっこつけの彼女が自分の前でだけ可愛い顔になるのがたまらなく嬉しい。同じ部活や同じ性であることを利用して、合宿先のベッドで一緒に寝たり、トイレの個室に一緒に入ってイチャイチャ…なんてこともあった。若気が至りすぎていたなと思う。


そして幸せすぎると周りに言いふらしたくなる。どうにも止まらない時期、口が滑ったというか我慢できなくてつい言ってしまったというか、軽い気持ちで一番仲の良い3人にカミングアウトした。



1人目は「そんな気がしてた。気持ちはわからないけど否定はしないよ」と言ってくれた。
2人目からは「バレバレだから、隠すつもりならもうちょい頑張れ」と言われた。隠せていなかったらしい。高校生なんてそんなもんだとも思う。

そして3人目からは「えっ気持ち悪っ」。



忘れていた。同性と付き合うことに対して、自分にはあまりにも抵抗がなかったから。

それに、心の内は分からないが、先に話した2人は少なくとも否定をしないでいてくれたから。
忘れてしまっていた。

私と彼女の関係は、はたから見ると気持ちが悪いんだってこと。


「世間の目」が原因で衝突し続けた結果、ケンカ別れの形で私と彼女の恋愛は終わった。短い1年と数ヶ月だった。


あれから数年。

私には結局異性のパートナーができたけれど、あの時ほど情緒が振り回されることはない。大人になったからだろうか。それとも、性別か。

大人になった今、彼女と付き合ったとしたら上手くいくだろうか。そんな未来はきっと来ないけれど、次はもう少し優しくありたいと思う。

今後は私も彼女も堂々と、楽しく恋愛ができますように。

#忘れられない恋物語

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