ガン友読書会

ステージ4のガン宣告を受け、ガンに関わる人たちの痛切な不安と悩みを少しでも軽くしようと、本を通して少しでも心が触れ合える読書会を開催。読書会に参加した方の感想を綴っていきます。https://gantomo.hp.peraichi.com/

ガン友読書会

ステージ4のガン宣告を受け、ガンに関わる人たちの痛切な不安と悩みを少しでも軽くしようと、本を通して少しでも心が触れ合える読書会を開催。読書会に参加した方の感想を綴っていきます。https://gantomo.hp.peraichi.com/

最近の記事

8月23日読書会の報告

先月25日のテーマを深める為に久松真一の「無神論」を課題図書とする 参加者は前回と同じ老人の集い。この課題図書を通して宗教学的アプローチを超えて、(含めて)自分の生き方として探究したいという立ち位置。 青年期(20代の前後)の時代と社会の影響を全身に受け考え、行為してきた。その過程で人生最後まで引きずる、あるいは若くして出会いがあった。ある人か、ある書物か、あるいは風景、もっと激しい体験(生老病死に関わる出来事との遭遇。理由を告げられず、問答無用に死に投げ込まれる運命に翻

    • 7月25日の読書会

      今回は再び椎名麟三最後の作品「懲役人の告発」の課題を巡って、禅仏教の唯識と故久松真一の「無神論」から椎名麟三が追求した「本当の自由」という思想を理解したい。対象論理としてでなく 一つの公案として考えてみたい。世界解釈の異同はいかなる普遍性が浮かび上がるかどうかというのが私のスタンス。参加者は在家禅を修行中の方。方やキリスト教、内村鑑三に造詣が深い方さてどうなることか楽しみです。

      • 6月21日読書会の簡単な報告

        引続き「実存と社会と」の関係を考えるのがテーマ。社会から歴史、そして宇宙までの広がりを感じさせるものだったかもしれません。ドストエフスキーの見た自然(作品世界で例えば悪霊のキリーロフのスターブロキンとの会話から アンネ•フランクが絶滅収容所前に暮らしたオランダでの美しい自然との交流。そして同じ収容所でV フランクルが他の収容者とともに見上げ包まれる荘厳な夕焼けの沈黙。 事實であると同時にメタファの深さに感じ入りました。絶望、祈り、そして希望への旅。知り合いが先月チェコのテレジ

        • 6月21日読書お知らせ

          絶望と希望について 先の読書会のまとめは後日ということで。日々の生活と読書、人との出会いや映画、美術鑑賞から融合した思念をざっくばらんに語ってみようというスタイル。参加者もごく少数、気楽に語りそれぞれのコアに触れ共感出来たらよろしいかと。先日国立新美術館に兄弟が展示する美術展に見に行きました。大型の和洋絵画からユニークな素材で創る造形物、ユーモアあふれる昭和レトロ街に出現する世界の芸術家と絵画のカーニバルが所狭しと出現し闊歩する。怪しげでおかしげなイラスト。写真かと錯覚するほ

          5月24日読書会報告

          参加者は4人。椎名麟三との出会いから内村鑑三の研究に至る文芸批評家。在家仏教徒として公案禅を生活の中に組み入れ修行を重ねる人。社会学を学びながら「社会的コンフリクトと恩寵の関わり」という問いを提示する学徒。司会を担当する私の独断で「実存と社会」というテーマで人間の認識論•存在論のそれぞれの二重性/2極性を考察することで進められた。「地下室の手記」が描かれた国と時代と社会の違いを超え、日本では1970年代に思想潮流の一つとしてマルキシズムと実存主義の対立関係と混融の中で、知的流

          5月24日読書会報告

          5月24日読書会のお知らせ

          課題図書/ドストエフスキー:地下生活者の手記、罪と罰 自意識の迷路から他者との出会い。つまるところ「愛」が自他とも救う事の可能性と罪を考えてみたい。しかし自分に愛を語る資格がどの程度あるのか?

          5月24日読書会のお知らせ

          哲学と認知症

          認知症の世界を案内する良書「認知症世界の歩き方」筧裕介著。重いテーマを構えることなく世界の旅歩きシリーズに習って、年取れば誰もがなり得る認知症の理解と対策の大きな一助となるだろう。専門的知見を踏まえた認知症のメカニズムとその世界にイメージ豊かなイラストが認知症の世界へ旅心を誘ってくれる。Noteの哲学・宗教ジャンルコーナーはプロ級の哲学好きの方が多いものと推察。これから語る事は一知半解で誤解、牽強付会の類の想念と思われる事を承知で語らせてもらいます。認知症で挙げられる主な症状

          少年と老人

          森鴎外の「妄想」を読む。10歳の少年がキリスト教関係のある記事にこんな思いを綴る「はじめまして。ぼくは小学3年生の男の子です。ぼくには疑問に思うことがあります。考えてもわからないので教えてください。一つ目は人間は生まれる前にはどこにいたのか。2つ目、人間は死んだらどこへ行くのか。3つ目、やりたいことをやっても、どうして死んでしまうのか。考えると暗い気持ちになります。よろしくお願いします」。そして明治の医者であり文学者でもあった森鴎外は明治43年50歳の時「妄想」で老人(自ら)

          2月27日ガン友読書会のお知らせ

          ★2つのヘーゲル研究に学ぶ 西研「ヘーゲル•大人のなり方」/NHK出版と山田有希子の「逆さまの世界ヘーゲル哲学」/東大博士論文から ①再読して見えてきたことはこの間の読書会で取り上げてきた椎名麟三、トルストイ、キルケゴール、カールバルトの各人がその著作を通して生涯追求してきた課題領域と彼らの立ち位置が、漸く見えてきた。彼らにとっての究極的課題、根本対象が如何なる他の世界(自然•他者•社会•歴史)にか関わるか、また関わらないのか。問いの立て方は其々異なる。各人の立つ偶然の場所

          2月27日ガン友読書会のお知らせ

          1月27日ガン友読書会のお知らせ

          15時30分から17時まで zoomで開催 新年おめでとうございます。私事で恐縮ですが3回目の肝臓ガン摘出無事終え自宅にて静養中。年末にラジオ番組で写真家 杣田美野里(そまだみのり)さんを知りました。北海道最北の離島、礼文島に夫と移住、子供をもうけかの地の植物を撮り続けた。ガン(肺から脳にも転移)を抱えながらも、写真集の表題となる「キャンサーギフト」として受け入れ2021年10月までいのちを全うする。享年66歳。年末に予約し退院後に目を通す。短歌を愛し、若かりし時、恩師の1

          1月27日ガン友読書会のお知らせ

          ガン友読書会に

          今月はお休みです。 この間少数で読書会が出来てありがたいことでした。しかも何人かの方々からスキとかフォローまで頂きありがとうございます。余命いくばく、残された時を抱きしめながら 1日を過ごしています。前向きさと後ろ向きが交互に訪れます。清濁/自己肯定と否定が 形而上と形而下とが分かちがたく、自由と拘束、善と悪 が美と醜悪、そして永遠と有限個物が双面の様相を呈しているようです。またガンの再発で入院、摘出。つくづく 私の場合に限っての話しですが、「キャンサーギフト」をしみじみと味

          ガン友読書会に

          ガン友読書会のお知らせ

          11月29日(水)16時から17時30分/オンライン 指定図書/唯識とEHフロム「自由からの逃走」、椎名麟三の諸作品 私は岡野守也著「唯識心理学/トランスパーソナルサイコロジーで学んでいます。切り口はどこからでもOK。そのわけは唯識思想そのものが示してくれるでしょうから。 私の切り口はエーリッヒフロムの「自由からの逃走」と椎名麟三の文学の異同です。フロムはヒットラー政権下のフランクフルトでフロイトとマルクスを学ぶ。ユダヤ人迫害を逃れるためアメリカに亡命。その後マルクスと

          ガン友読書会のお知らせ

          10月26日読書会のお知らせ

          椎名麟三と反出生主義 10月26日午後3時から4時30までオンラインでの読書会。年配の方なら聞いたことある戦後文学者。すでに遠い記憶の一人の作家が今日の反出生主義と共振していることに気付く。とはいえ、現在と彼が生きた戦前•戦中•戦後の世界は100年近い時の断絶を感じる。暮らしの骨格と細部の暮らしの姿、風景を生む時の流れに驚かずにはいられない。日本近•現代史のエネルギー革命の変遷や軍国主義から大正デモクラシー、再び滅びに向かう世界と日本の政治。史上初の共産党政権の樹立後の革命

          10月26日読書会のお知らせ

          看取りのドォーラ

          愛する人に伝えたい。マイレガシー 豊富な事例。一人一人の人生のラストシーン、その死に方はこれまでの生き方が凝縮。各事例に立ち入り深く関わりたい衝動に担当ドォーラは駆られる。しかしケジメを付ける時を告げ、後は遺族に託す儀式が含まれており用意周到。 *特に印象に残る事例4つ。 ①カソリック教徒で犯した罪で悔い改め切れぬ信者 ②死の床に着いた時点で牧師にも関わらず神を見失い、誘導イメージで恩師牧師との再会を子供に戻り、夕暮れまでに告白し神はいつも心にある事を気付かされる牧師 ③

          看取りのドォーラ

          カフカ、「変身」

          「変身」のザムザ一家は孫たちにいかなるレガシーを残せるか ある日等身大の昆虫に変身したグレゴール、兄思いのグレーテル、そして両親。理由は不明。あたかもヨブを襲った悲劇のように。家族に救いを理解を求めるのだが、語れば語るほど、昆虫となった身体の音声も昆虫の声帯となってしまった。不気味な音をギシギシ、軋む異様な音を発するだけで、伝わらない。口から異様な体液が糸を引いて床に落ちる。もう人間ではないのだ。なぜ分からないのだと。兄の変身により生活が困窮。やれることはやった。父は銀行の

          カフカ、「変身」

          8月29日の読書会お知らせ

          午後7時30分から8時30予定。*多少延長の場合もあり。 人は「死」にます。でも死ぬのは人間だけかしら。人間は他の生き物と違って、生きながら死ぬことを意識して生きる不思議な生き物。そして厄介なことには、自分でどう死ぬか、最期を迎えるか、一人ひとり決めねばならない。面倒くさい存在。もう知らない、アンタに任せたと言うならそれはそれで自己放棄を選ばないといけない。本当に厄介な生き物。生まれる時も、死ぬ時も、誰かの世話にならねばいけない、他者との助けが必要なんですね。じゃあ、どうした

          8月29日の読書会お知らせ