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【この靄を抜けて】

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当時世間にまだ知られていなかった、重度の発達障害を抱えて生まれてきた「私」の半生を描いた自伝小説。 社会から迫害されないように「普通」でいるために、様々なライフハックを編み出し自…
当事者しか描けない必死で自閉症を生き抜いて、大学まで卒業した人生を追体験できます。社会からの迫害の…
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#エッセイ部門

自閉症と自尊心【この靄を抜けて】小説

自閉症と自尊心【この靄を抜けて】小説

私は価値の低い、大切に扱われなくて当然の人間なんだ。

これは被害妄想とかではなくて実際にそうだった。

周りが動き回る中、ただ何もせず、ぼーっと傍観しているだけのまま何年も経っていくのがわかった。

そんな事を相談したって「そんな事ないよー何言ってるのよー」と言われて終わるだけで、親は何も見えてなかった。

私がただ止まっている事も周りが動いている事も

親からちぁんと注意してないからーと言われ

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発達障害だけど不登校になれなかった訳 【この靄を抜けて】小説

学校は刑務所だと感じていた私が、不登校にはなりたくなかったのには理由がある。

発達障害傾向が生活に支障をきたしているレベルの人は、学校生活も会社生活も好奇の目に晒され苦痛を伴うものになってしまうだろう。

私自身も自尊心はズタボロになったし、自分が輝ける場所ではないとことに長時間拘束されている生活は刑務所のように感じていた。

学校には行きたくない。しかし、当時不登校には絶対になりたくなかった。

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小説 TMSの効果【この靄を抜けて】

小説 TMSの効果【この靄を抜けて】

TMSの効果をまだかまだかと待っていた頃にはきがつかなかったが、ふと気づくと「普通」に過ごせていると感じる事が多々あるのだ。

そういえば、物語のように、語りたい事が頭に浮かんでいくのをメモに走らせるという事がなくなった。

前は重い浮かんで仕方がなかったのに。
これが発想が浮かばなくなったという事なのだろうか。

前まではやるべき事が目の前にあっても、他のアイデア(例えば小説のストーリーや服のデ

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アスペが大企業に新卒就職したら大変な事になった話

アスペが大企業に新卒就職したら大変な事になった話

大学の4年間ずっと心配で悩んでいた事がある。

それは就職した後に、会社でどうやり過ごすかという事だ。

私は、半年間就職活動の末に、大手一部上場企業に内定をもらい、内定者懇親会や、内定者研修、資格取得をクリアして、新卒で同期100人ほどの民間会社に入社した。

しかし、実はこの私、重度のアスペルガー症候群と重度のADHD患者だった。

それまでの学校生活では、周りの目を誤魔化しながらとりあえず、

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私というアウシュビッツ【この靄を抜けて】小説

私というアウシュビッツ【この靄を抜けて】小説

私の脳は飛蚊症に侵されていていつか気が狂う日が来るのではないか。

子供の頃からそんな恐怖心に見舞われる事があった。

時間にも場所にも構わず、私の頭にはめちゃくちゃにアイデアがさく裂して、爆発が起きていた。

ピアノのレッスン中でも、朝礼中でも、家でトイレにいるときでも、お風呂にはいっている時は、その脳内と格闘し、永遠と一人で脳内の誰かと議論を戦わせていた。

いつだっている場所、やっている事は

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人生が開けた!? 【この靄を抜けて】 小説

人生が開けた!? 【この靄を抜けて】 小説

子供の時はどこへ行ってもいじめられたり、段差のない所で転んでばかりの心が傷だらけの私だったけれど、それを克服したくて真剣に成長しようとしていた。

私はなぜ事あるごとにトラブルになるのかと小学校の頃はよく分析していた。

何がいけないのかわからないまま、時間の経過とともに卒業して人生が年齢だけ更新されていくけれど、そうはいかない時期がやってきた。

大学受験だ。

はじめて自力で突破しないといけな

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