『黄泉への扉』読み終えて
10/27文学フリマ福岡にて、私の中で意外性を持って購入した本が『黄泉への扉』だった。
noteを始めた当初からコメント欄で交流をさせて頂ていたジェーンさんとRyéさんのコンビで完成したウミネコmini文庫だ。
マリーアントワネットのように可憐で気品のあるジェーンさんと、私が言語学者だと思い込んでいたRyéさんがゾンビをテーマにしたと知った時から、私の触手がビンビン反応していた。
美しく気品のある装丁の本を手に取る。
『黄泉への扉』 Maryé Jane 著
タイトルと著者名を見て気分が上がる。
1作目の『死人のおれとオニの指導者』はジェーンさんの作品。
ゾンビはどんな物語で書かれているのか?と期待を胸に読み進めると、ユーフォルビア プラティクラダという植物名が登場した。
すぐに検索しましたよ。
ゾンビのような干乾びた人間の指にも見える不気味な姿をした多肉植物だった。この植物がキーポイントになり、主人公である研修医のおれと、指導医のオニ村との心温まるエピソードが描かれていた。
私はてっきりマイケル・ジャクソンのスリラーのように墓からうじゃうじゃ這い上がってくるゾンビが登場するのだろうと思っていたものだから、思いがけず胸にジーンと暖かいものが広がっていった。
読後がとても優しい物語だった。
2作目の『赤い瞳のヘレン』もジェーンさんの作品。
ジェーンさんが大好きだった『大草原の小さな家』の時代と場所を想定したと、あとがきに記されています。
読み進むにつれて、私はある漫画を思い出していた。
萩尾望都先生の『ポーの一族』だ。
人知れず、永遠の時を生きつづける吸血鬼「パンパネラ」ポーの一族…。その一族たちと現世人たちとの葛藤を描いた漫画なのだけど、『赤い瞳のヘレン』の主人公ヘレンも、ゾンビと吸血鬼との違いはあるが、美しく哀しい存在であり、人間との関わりに葛藤を抱いているという点で共通している。
『赤い瞳のヘレン』を読み終えて、この続きが読みたい、ヘレンの半生を読んでみたい、書いてくれないかなぁ~。私は昔の少女漫画の王道をいくような続編を渇望していました。
3作目の『鳥魂の夢』はRyéさんの作品。
Ryéさんがnoteで連載されていた『こぞうと将軍』シリーズのスピンオフとして誕生した時代劇ミステリー。
歴史上の人物によく似た名前の登場人物たちが事件の解決を図る。
『鳥魂の夢』は江戸を舞台にした捕物帳活劇で、物語りにどんどん引き込まれていきました。
子どもの頃テレビ番組で観ていた『大岡越前』や、2025年NHKの大河ドラマでも登場する平賀源内のイメージがリンクし、脳内でしっかり映像が浮かび上がる。
この『鳥魂の夢』はRyéさんがnoteで連載されていた創作童話『こぞうと将軍』のスピンオフ作品なので、本作も是非合わせて読んで欲しいです。