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絆創膏と「痛いの痛いの飛んでいけ~」は魔法の薬

『かさぶたくん』かがくのとも絵本
やぎゅう けんちろう(著)

かさぶた、できたことがありますね。「ひざこぞうをすりむいたときに、できた」「ナイフで切って、できた」などなど。かさぶたは、血でできた傷のふたなんだよ。まるで、しぜんのバンソウコウみたい。ほら、かさぶたのしたでは、新しい皮膚がどんどん作られています。こどもに身近なかさぶたをめぐってユーモラスに展開しながら、身体の不思議をときあかしていく科学絵本です。

子どもたちが幼い頃、絆創膏は魔法の薬になってくれてました。
転んで擦り剝いた足や手に、血が出て「わ~ん」と大泣き。
怪我の痛みのせいもあるけど、
血が出たことのショックが涙を誘うようで(笑)
そりゃあもう毎度大泣きでした。

でも私には魔法の絆創膏を持っているので、
「ちちんぷいぷい いたいの いたいの とんでいけ~」
この魔法の呪文と共に傷の手当てをしてあげると、よほどの大けがでない限り途端に涙は止まってくれました。

この絆創膏は万能薬で、なんと頭痛を訴える子どものおでこにペッタン。
もちろん病院へも連れて行きますが、どんな体の痛みにも絆創膏の効果は絶大でした(笑)

そして傷が治ってくると自然に出来るかさぶた。
痒くなってどうしても剝がしてしまいたい衝動に襲われます。
そんな時にこの絵本『かさぶたくん』が大活躍してくれました。
怪我した傷がどういう仕組みで回復していくのか、かさぶたを剥がしてはいけない理由など、分かりやすくユーモアをもって教えてくれます。
うちの子どもたちは絵本を読んで以来、傷ができると治っていくまでの過程を観察するようになっていました。
かさぶたを剥がすタイミングもわかってきて「あと2日くらいしてからかな」とか、剥がすのを楽しみにしてるようでもありました(笑)

幼い子どもが自分の体に興味を持ち、痛みからの回復が理解できると、他者へのいたわりの気持ちが生まれるようになります。痛みが共有できるようになるからです。

私が育児電話相談員をしていた時に受けた講義で、ネグレクトという虐待を受けていた若者の話を聞き愕然としたことがありました。
ネグレクトとは、育児放棄によって栄養不良や発達障害などを引き起こすほか、人格形成に多大な影響を与える可能性がある虐待です。

転んで膝小僧を擦りむいて泣いても、抱き起し「痛かったね」といたわってもらったこともない。まして傷を消毒して絆創膏を張ってもらっり、風邪をひいても病院へ連れて行ってもらったこともない。
不潔な環境で食事もただ餌のように与えられるだけ。

そうした環境で育った子どもは、自分が怪我をしても傷を消毒したり、薬を塗ったりという手当てをすることができないそうです。
治療をするという発想が育っていない為です。
情緒的な感情に欠如しているので、他者も自分も大切にすることができません。

子どもが転んだらすぐに駆け寄り抱き起す。
怪我して泣いていたら「痛いね」と労りの言葉をかけ、泣くのを我慢しているようなら「えらいね」と褒めてあげる。
そして怪我の程度にあった手当てをして、頭をなでたり抱っこをしてあげる。
そうしたぬくもりが情緒を育て、生きる喜びに繋がるのです。

絆創膏は魔法のアイテム。
「いたいの いたいの とんでいけ~」は魔法の呪文。
そして絵本『かさぶたくん』を読んであげてください。
自分の体に興味を持ち、自分を大切にできる大人に成長してくれるはずです。



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