遮熱塗料と室内温度_エコ効果について
塗料の選定で、遮熱塗料を使用しようかと考えたときに、どのように考えればよいかについて、調べてみましたので以下に記述します。
室内温度について、夏の冷房機器と冬の暖房機器に対するエコ効果です。
遮熱塗料と室内温度の関係については、環境省HPの実証済み技術一覧の051:ヒートアイランド対策技術分野(建築物外皮による空調負荷低減等技術)に各メーカーの塗料データが確認できます。
今回使用した株式会社アサヒペン アサヒペン水性屋根用遮熱塗料のデータ 実証番号051-0850を以下に抜粋引用します。
7頁目に延床面積1000m2(平方メートル)のモデル的な工場が想定されています。条件は以下の本文をご参照ください。
https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h20/02_e_50.pdf
12頁目、数値計算上、東京都 夏季6~9月に 冷房負荷低減効果が2275kWh/4か月。
13頁目、逆に、東京都 冬季11~4月に 暖房負荷低減効果が-2224kWh/6か月。
遮熱塗料により室内温度が下がるので、冬季は、暖房負荷は低減ではなく逆に増加します。
1年を通してみると、熱量負荷で、夏季の効果を冬季に打ち消して±0です。(2275kWh-2224kWh ≒ 0)
計算上は、東京都で、室内の熱量負荷の収支でみると、遮熱塗料の効果は無いということです。
では、北海道ではどうでしょう。沖縄ではどうでしょう。信州の山の上ではどうでしょう。
単純に、暑い所であるほど、遮熱塗料の室内温度に対するエコ効果は高いと思われます。
遮熱塗料の室内温度に対するエコ効果は、次の3点が関係すると思います。
(1)居住地域
(2)機器のエネルギー効率
(3)家の断熱・蓄熱性能
総括的には難しそうですが、個人的には、夏の冷房機器と冬の暖房機器、どちらの機器を多く使うかは把握できると思いますので、その観点から、遮熱塗料の室内温度に対するエコ効果を把握できるということだと思います。
気象データからモデル計算ができるようですが、各地の夏と冬の機器の使用エネルギー量を調査して、結果を地図上に落とし込みをすれば、その地図は、遮熱塗料を使用したほうがお得かどうか一目でわかる地図になります。
あるいは、ある地域で、家の断熱・蓄熱性能の違いに対する、夏と冬の機器の使用エネルギー量を調査して、結果を地図上に落とし込みをすれば、その地図は、その地域での家の断熱・蓄熱性能をどの位にしたほうがお得かどうか一目でわかる地図になります。
調べるのはたいへんそうですが、大学での論文題目として、良いのではないでしょうか。
あるいは塗料メーカーや住宅メーカーとその結果をどう生かせるのかうまくまとめられれば、研究費を出していただける可能性があるかもしれません。