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与謝野晶子生誕祭2021・前編

着物でちん電どんぶらGO!
大好評のためシリーズ化決定!


「着物でちん電に乗ったら、いつもの何倍もさらに楽しい!」
ということに気づいちゃったわたくしは、調子に乗ってその後8月にも浴衣で、さらに10月にはついに着物で、「ちん電どんぶらGO!」するツアーを企画・実行いたしました。

このときはそれぞれ旧暦の節句をお祝いするという趣旨で、8月は旧暦七夕、10月は旧暦重陽の節句をそれぞれお祝いしました。
七夕まつりでは、参加者のみなさんがそれぞれ願い事を紙に書き、大和川に流すというロマンチックな趣向で演出しました。(水に溶ける特殊な紙を使用しました)

重陽の節句では、菊の着物や帯でコーディネートし、ランチは菊酒や菊御膳を用意。安立の嶋屋喜兵衛商店さんの和室をお借りしてティータイムを楽しみました。

どちらも、着付けとヘアメイク、スナップ写真は石原写真館さん、着物レンタルと着付けはkimono刀屋さん、ランチはてぃーだ・カントリーさんにそれぞれ担当していただきました。

与謝野晶子生誕祭2021のため
ちん電沿線ツアーを企画…のはずが


これらのツアーは参加者の方々に大変ご好評いただき、今後も定期的な開催のご要望をいただきました。
というわけで、12月は与謝野晶子生誕祭ツアーを企画しました。
与謝野晶子は12月7日に堺の甲斐町に和菓子屋の娘として生まれ、20代前半までの少女時代を堺で過ごしました。やがて与謝野鉄幹と出会い、処女歌集「みだれ髪」で鮮烈なデビューを果たすと同時に鉄幹の妻となり、歌人・与謝野晶子が誕生しました。
与謝野晶子生誕祭というのは、毎年与謝野晶子倶楽部で開催されていますが、昨年よりのコロナ禍で今年も開催見送りとなっていました。
ならばせめて個人のツアーで!と今回私が(勝手に)敢行することにしたのでした。
与謝野晶子が生まれ育った和菓子の老舗、駿河屋は阪堺電車の宿院からすぐの、いまの阪堺線の線路わきあたりに位置していたそうです。現在は大道筋が大幅に拡張されたため、道路わきのところに晶子生家跡碑が立っています。

晶子はこの生家から宿院小学校、開口神社境内にあった堺女学校へ通い、新明町の河野鉄南や綾之町の河合酔名と文学的交流を深めました。

そして、与謝野鉄幹が来堺したときは浜寺公園と住吉大社で会っているのです。
つまり、晶子の少女時代の青春の軌跡は、ちん電沿線で展開されていたのですね。
(※注:ただし、当時はまだ阪堺電車は開通していませんでした。残念…)
というわけで、当初はこの王道路線のちん電沿線晶子スポットツアーを計画していました。
だったのです…が、いろいろありまして、諸般の事情により突然当初の計画を変更せざるを得ない展開となりました。
日程と参加予定者はもう決まっているため、迅速に対応する必要がありました。
時間はせまる、気は焦る・・・(なつかCM笑)そこで代替案として突如ひらめいたのが、こちらでした!
題して、

与謝野晶子生誕祭2021
~ ネオ・ウルトラモダン
百選会風コーデファッションショー ~


百選会とは、大正2年に始まった高島屋の呉服催事で、着物の最新流行モードを提案する、今でいうパリコレのような存在でした。
他の百貨店とは一線を画した高島屋の百選会は毎回その斬新さと大胆さが話題を呼び、「ウルトラモダン」とも評されました。
与謝野晶子は、この百選会の顧問を務め、年2回の流行色の命名を担当していました。それだけでなく、自身が命名した流行色やそれをもとに完成した着物のデザインを詠みこんだ詩歌を発表していたのです。
晶子がたいへん着物を愛していたことは、「私の生い立ち」などのエッセイからもうかがい知ることができます。

たまたま、今年は大阪高島屋資料館でこの百選会の資料を展示した「キモノ・アラモード」という企画展が開催中でした。この展示を一緒に見に行ったkimono刀屋さんと私は、「百選会風のコーディネートをやりたいね!」と意気投合しました。
しかしそれはまだ、いつかできたらいいね~ぐらいの軽いノリだったんですけども。

アートやカルチャーの発信地
71labo閉店の衝撃ニュース


ここにいきなり浮上したのが、71Labo閉店のショッキングなお知らせでした…。

71Laboは、大和川近くのもとタクシー会社倉庫だった古い建物を再利用したレンタルスペースでした。7人のオーナーが共同経営し、子供たちやアーティストたちの活動の場を提供したいという想いで開始し、スピニングマーケットなどの大人気イベントのほか、カフェ、バー、ハンバーガーショップの3店舗が時間・日替わりで入って営業するようになり、とても人気が出て地域の人たちにも親しまれてきました。
それが、11月初旬に突然、年内で完全閉店のお知らせが流れました。建物の所有者の意向であるとのことで、立ち退かざるを得なくなったようなのです。
4年ほどかけて、地域の人たちにここまで愛されるスペースに育ってきたのに、残念でなりませんでした。木~土曜営業のsocial good caféさんは、「ちん電どんぶらGO!」をとても応援してくださっていたのに、突然ご縁が切れてしまうことも非常に無念でした。

こういったさまざまなことが重なり、今回12月のちん電どんぶらGO!ツアーのプランを再考するにあたって、突然ひらめいた案が、この71Laboのステージを使用したアンティーク着物のファッションショーだったのです。

71Laboはもともとレンタルスペースとしてオープンし、店内の手前側に厨房・飲食スペースがあり、カフェやバーはそのスペースで基本的に営業していました。
奥にはスクリーンを備えたステージが設置されていました。ただ、建物に防音などされていなかったようで、実際にここで音楽ライブなどの公演はあまり頻繁にはなかったようです。

私は12月のツアーで10人程度のランチ予約可能なお店を沿線エリアから急遽探さなければならなくなったのですが、今年はなかなか大人数での席予約を受け入れてくれるお店がありませんでした。ふと、ツアー当日はsocial good cafeさんの営業日であることに気づき、すぐに問い合わせてみるとOKが出たので、71Laboを使うことに即決しました。
すると、私の中に、あの店内奥にあるステージの存在が浮かび上がってきました。
ランチの場所にステージがあるのなら、利用しない手はありません。
しかも、あの大きなステージを使用できるのは、もうこれが最後のチャンスでした。

そうだ!!着物ファッションショーをしよう!!

ケガの功名。禍を転じて福と為す。
転んでもただで起きてはいけません。
この天才的プランが天から降ってわいたように私の前にあらわれたのも、すべてはちん電の神様のお導きに相違ない。
こうして私はさっそく、与謝野晶子生誕祭の内容を大幅に変更し百選会風コーデファッションショーの企画を大至急でまとめ始めたのでした…

(後編へつづく)

石原写真館
堺市堺区宿院町西1丁1-25
072-223-1800
営業時間: 10:00〜18:00
水曜日定休

kimono刀屋
大阪市住吉区長居東4-9-14 レジデンスマツダビル506
https://kimono-toya.com/

てぃーだ・カントリー
堺市堺区市之町東2-1-3(山之口商店街)
営業日: 水〜土曜日、第4月曜日
営業時間: 11:00〜17:00

嶋屋喜兵衛商店 嶋屋カフェ
大阪市住之江区安立3-8-4
営業日: 木・金・土(祝日休)
営業時間: 11:00〜17:00

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【萩原久実子・プロフィール】
大阪・堺市出身。
生後まもなくアトピーを発症し、血まみれの暗い悲惨な幼少期〜思春期を経験。おとぎ話を心の支えに成長する。
26歳で一念発起して兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター)演劇学校へ入学。才能のなさを思い知り、3年目で卒業。以後演劇の道を断念。
その後体調を崩し、ひきこもり生活に。仲間とともに「ひきこもりーノ大作戦」を立ち上げ、ボランティア活動を通じて自立の道を探る。
阪堺電車(愛称ちん電)の魅力を発信するフリーペーパー「ちん電マップ」の発行に携わり、その後独立して「ちん電どんぶらGO」を発行。ちん電沿線をまち歩きしながら、SNS等で勝手に発信し続けている。


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