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何を得るかよりもどこを目指すかを重要視する
仕事において利益を考えることは重要。しかし最も重要視すべきは、どこを目指すかの『状態』をゴールに定めることが大事、という話
小さな会社であれ、経営者であるならば会社の血液とも言える利益の確保を重要視することは大事である。
だがしかし、その利益を確保する、つまり儲かり続けるということは会社の存在意義として最重要課題ではない。なぜなら利益とは仕事において問題の解決や解消、はたまた価値提供を実現したのちに受け取る代価の一部であるということに過ぎず、必ずしも代価を支払う側の顧客の意向に合致するとは限らないからだ。
正直、顧客からすればその会社が儲かっていようがなかろうが、あまり関係はない。体裁として儲かっている方が会社の見栄えや商品(製品やサービス)の充実、細部にわたるフォローなどの点において質の担保を期待できるのは確かで、それらの維持には利益が割り当てられるからだ。
そして、その利益には適正値がある。その適正値は商品(製品やサービス)の価値に対して定められると思うのだが、価値を提供できている自負や顧客が価値を感じ、気持ちよく支払える代価の額によって決まるものと思われる。
であるならば、まず目の前の顧客にフォーカスしたい。その顧客が何を望んでいて、何を求めているかという点を考える必要がある。そして自社のリソースを最大限投下して施す仕事によって価値を感じてもらい、顧客が満足する『状態』を作り上げなければならない。その結果としていただく代価の一部が利益ということになるので、間違っても利益を最優先するという考え方を持ってはならないと思うのだ。
もちろん、仕事は慈善事業ではない。価値に相当する代価をもらわず、安いまたは無料という方法で喜んでもらえる『状態』は不健全であり、価値を生んでいるようでまったく価値を生んでいないことを自覚しよう。
何が言いたいかというと、会社は顧客の求める『状態』を提供する為に存在し、そこを目指したのちに最後に残る残りカスが利益であるということ。利益がいくら確保できた、儲かったというのは会社側の都合であり、会社は何をどれだけ得る、ということよりも何をしてどこを目指すかという『状態』を最優先して考えることが大事だと思うのだ。
結果的に会社が儲かる、売上げが上がる、というのはやるべくことをやったあとの副産物であり、副産物を得ることを最重要課題として掲げるはやはりおかしなことだろう。
そんな思いに至り、弊社の中長期の目標に掲げた「何年までに年商○○億円」という滑稽な設定を外した。ひとつの指標として頭には入れておくが、年商が何億になろうが、そこにしっかりと顧客に対する価値提供という『状態』が作り上げられていなければ絵に描いた餅に過ぎない。
まずは目の前の顧客に集中し、価値をお渡しできているかという点だけを考えることで、利益はあとからついてくるという感覚が今やっと腹落ちした次第である。
利益は会社が価値を提供する『状態』を作るための単なる燃料である