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自分を躾けるための言葉を持つ

気を抜いたら楽な方に流れてしまう。そんなとき、自分を鼓舞する言葉を持っていると土俵際でなんとか踏ん張れる、という話

人それぞれある程度生きていると人生の分岐点、いわゆるターニングポイントに出くわすことがあるかと思う。

人との出会い、転職、結婚、出産など大きく人生を左右する出来事により人生観や行動習慣が以前とはガラリと変わってしまうなんてこともターニングポイントではよくあること。

私の場合はと言うと、結婚と小さな会社を引き継いだ時期がターニングポイントに値する人生の転換期となる。

結婚については大概の既婚者にとっての大転換期になるのではないだろうか。一人の成人から夫や妻、または父親や母親と役割が変わることによって今までとは違った視点からものごとを捉えるようになり、考え方や価値観が大きく変化する意味でもターニングポイントと位置付けても大げさではないだろうと思う。

そして私にとってはその結婚から6年後、3人の子供にも恵まれ小さいマイホームを35年ローンで購入したタイミングで、その住宅ローンより多額の負債というオマケ付きの万年赤字零細企業を引き継ぐ、というターニングポイントに出くわすのである。

そして試行錯誤というより、手探りの日々が始まった。

何から手を付ければいいのやら完全に舞い上がっていた私は、自身の資質の無さを呪いつつも時間だけでも味方につけようと、生活を夜型から朝方にシフトして早起きの習慣を始めることにした。

早朝に起き、経営の勉強に毎日1時間こなせば少しは商売もラクになるだろう、という安易な考えではあったが、そのくらいのことしか自分にできないことも理解していたので、その1時間だけは死守しようと自分に課して毎日休まず実行した。

そしてそんな習慣は6年間続いている。その6年間の早起き習慣で商売に十分な成果があったかはわからないが、6年前より少しだけ前進できていることは確かだ。

何より、自身で課したルールを実行し続けているという、自分に対しての信用度が格段に増したように思う。

自分に対しての信用。誰からも期待されていない、そして求められてもいないこと、自分が辞めようと思えばいつでも辞められることを続けているということを、自身が自分に対して裏切らない行為として日々信用度を積み上げているのだ。

しかし、毎朝シャキッと起きられるわけではない。冬の寒い日などは暖かい布団にくるまり、二度寝してやろうと何度思ったことか。だがその度に言葉で躾けるのである。くるまった布団の中で『おい、自分を裏切るのか?』と心の中で言葉をつぶやくと勢いよく起きることができた。

この他にも日常生活の中で楽な方に流されてしまいそうなときに発動させる言葉を持っている。この言葉を発動させることでなんとか軌道修正するシステムは私の様な根が怠け者の人間にとっては有効に働いている。もう一人の俯瞰した見方のできる自分(何故かコイツは上からものを言う)が言葉を投げかけ尻を叩くという感覚なのだが、言葉で自分を躾けるという行為は単純なようで意外に効くのだ。

どうしても続けたい習慣や頑張ってきた積み重ねなどで心が折れないようにいくつかの言葉を自分の中で用意してみるといいだろう。

逆にネガティブな言葉を発動させると面白いくらいに簡単に落ちていってしまうのでやせ我慢してでもポジティブな言葉を使うようにした方がいい、というのは経験談から確信して言えることなので言葉選びは慎重に行ってほしい。

自分を律するオカンの小言のような言葉を自身に仕込んでおくことで頼りない克己心が折れてしまうのを未然に防ぐ。



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