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夜逃げしたあなた、今いずこへ
コロナ禍で浮き彫りになる中小企業の経営のリアル、やはり普段からの取り組みが大切、という話。
昨日の投稿でコロナ禍における経営の姿勢、というようなことで書かせていただいた。簡単に言うと、有事だろうが平時だろうがやるべきことを積み重ねるべし、的な内容であった。
と、次の日、経理を管理している事務員から『○○会社』様からのご入金が確認できておりません、との一報があった。
確認してみると支払いの期限が過ぎている。金額は数万円(取扱額の中では最小の部類)だが、付き合いの長い地元の法人様だったこともあり、社長に連絡を入れた。すると電話口に出たのは社長の親族の方で、こちらの事情を話すと色々と事の顛末を話してくれた。
まず、その親族の方は社長としばらく連絡が取れず、心配して様子を見に来たところ(事情を話して大家さんに鍵をあけてもらったらしい)、ゴミ屋敷のように荒れた部屋には放置された携帯電話、消費者金融からの督促状、未払いの請求書などが散乱していたということだ。
当然、家賃も滞納していたそうで、大家さんとはゴミ屋敷化した部屋の対応も含めて誰が処理するのかなど話し合いがなされるという。置き忘れた携帯電話にひっきりなし督促の電話が鳴り、その度に関係のない親族の方が対応しているとのことだった。中には数百万単位で未払いの業者もいたようでなかなかの丸焦げ具合。当の本人は数回の違反により車の免許が失効中にもかかわらず、車で逃げてしまったということだ。おまけに飲酒運転で物損事故を起こして警察からも逃げているとのことで自暴自棄もここまでくると手に負えない。捕まるのも時間の問題だろう。
この親戚の方の話がどこまで信用に値するかはわからないが、その瞬間、自社の数万円の請求は損金として処理だな、とあきらめた。
今回は父の代からお付き合いがあった会社様だったが、最近の同行や、会社の経営状況などは正直把握していなかった。取引きする以上、与信管理は徹底するに限るが、年数回、取引金額も数万円(5万円前後)の会社にはあまり手間をかけていられない現状だ。昔からの地元という馴染みからお取引していた関係から、正直お付き合い程度の間柄だった。
しかしながら、損金として処理する最後に、なんだか中小、零細企業のリアルを久しぶりに感じて気持ちが少しチクりと傷んだ。
一層の与信管理の強化も心に誓ったのもそうだが、この会社に限らず、現在状況が苦しい会社も、もう少しなんとかならないものか、とも考えてしまう。まずは自社のことをしっかりとやれ、という話だが、社長業とはプライドや見栄が邪魔をしてマズイ、と感じてはいるものの相談できる相手があまりいないという人も多い。
経営者は孤独だ、とはよく言うが、あえてプライドや見栄で囲いをして孤独にしてしまっている人は多い。ギリギリまで我慢して全てを放り投げて夜逃げしてしまうくらいなら普段から腰を低くし、どんなところからも学びを得る、という相互の姿勢を心掛ける必要がある。
今回のケースは人の振り見て我が振り直せ、という反面教師的要素も含んだ例だが、久しぶりに会社経営の暗い部分を垣間見た事案であった。
悪い予兆に蓋をしても、よくなることは一つもない。最悪の事態も想定して普段から準備を怠らないのが正解だと思う。