中古の本を通して過去の読者と繋がった時
久々に手に取った本。
数年前に相当本を読み漁った時期があった。
最初は店頭に並んでいる人気のありそうな本に
目が止まり、手当たり次第に購入していた。
読者が習慣になると、次第に店頭の本には
目が向かなくなっていき
幅広い分野の本を読むようになり
気づけば中古の本、いわゆる一昔前の
価格落ちした本ばかり購入するようになっていた。
そして今日、手に取った本もそんな中古本の一つだ。
ちなみにドラッカーの言葉を集めた仕事の哲学という本。
いわゆる、自己啓発本だ。
最近仕事に刺激を感じなくなっている自分に気がつき
家の本棚を眺めていたときに
たまたま1番最初に目がついた本だった。
過去に本を読み漁っていた時代の私は
この本が勉強になったという記憶はあまりなかった。
しかし、かの有名なドラッカーの本だ。
必ず為になることを言ってる筈だ。
そう思い、3年ほどの月日を経て
再び手に取った本。
何気なく読み始めると
ページをめくる度に目から鱗な言葉が詰まっている。
なんと。
同じ本なのに全く違う本になっている。
更に読み進めていくと本の角が折れていた形跡がある。
中古の本だから仕方ない。
綺麗好きな私は折れたところが気になり
真っ直ぐにシワを伸ばしながら
読み進めていた過去の自分を思いだした。
しかし、久々手に取ったこの本に
時間を忘れるほど読み入るとは思ってもいなかった。
ドラッカーが残した特に重要な言葉の部分を
著者が抜粋した物だが
特に私が気になるページではよく手が止まる。
ん???
ふと、私は違和感に気づいた。
私が先程から手を止めているページの角が
折れていることに気がついた。
私が折ったわけではない。
このときようやく気がついた。
過去の読者が気になるページを
すぐに読み返すことができるように
角をわざと折っていたのだと。
なるほど。
私はようやく過去の読者に近づけたのか。
そのページの言葉を通して
過去の読者と繋がった、むしろ本を通して会話をしている
気分になり不思議な感覚に陥った。
その読者はもしかしたら、もうこの世にいないかもしれないし、現役でバリバリ働いているのかもしれない。
本を通して繋がったこの読者には会ってはいないが、親近感が湧く。
そんな新しい読書の嗜みを感じた夜
出会った過去の読者に乾杯に代えて
この文を贈らせて頂きます。
2021.08.24 Thursday
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